Z世代の視点で落語を楽しむ新しい「寄席」のカタチを渋谷の街を舞台にデザインする!
- イベントレポート
Z世代が作る新時代の寄席 「"YOSE"#01 by Z落語-東京」イベントレポート
Z世代の視点で落語を再定義、発信する落語クリエイティブチーム「Z落語」プロジェクトが2020年12月19日(土)・20日(日)に、チーム初となるイベント「"YOSE"#01 by Z落語-東京」を100BANCHで開催しました。
この企画では、江戸時代各町内で集会所のような役割を持っていた寄席小屋を現代に再定義し、新しいコミュニケーションが生まれる場、新しい刺激に出会える場となることを目指し制作しました。
1995年〜2000年代生まれのZ世代を中心に幅広い来場者で盛況となった本イベント。その様子を「Z落語」プロジェクトの桂枝之進が紹介します。
Z世代の価値観
Z世代の価値観の一つにDIY精神が挙げられます。自分たちの作りたいものを自分たちの手で作り、自分たちの手で発信し届ける。本イベント「“YOSE”#01 by Z落語-東京」も内装物やグッズのパーカーなど、ほぼ全てをセルフメイドで制作しました。
イベント開催前は毎日その日の作業内容をZ落語のTwitterやメンバーのSNSに載せ、それを見た人が手伝いに来てくれる、そうやっていつの間にかオープンなコミュニティが出来ていました。
パーカーは手触りのある質感を意識し、シルクスクリーン印刷で1枚1枚手刷りした
新しいカルチャーを創る
Z落語は、文化の役割は言語に近いと思っています。人と人がコミュニケーションをとる手段が言葉だけでなく、それを奏でたり描いたりして生まれたのが「文化」だと。
“YOSE”という一つの共通言語に集まった人たちが互いにアイデンティティを持ち寄り、刺激が走り、また新たな文化が生まれていく。そんな空間を目指し、会場の空間設計にZ世代の”寄席”とも言えるクラブカルチャーを取り入れ、DJブースやネオンアート、ステンシルスプレーで手ぬぐいを作るブースなどを設置しました。
手ぬぐいの白生地に布用スプレーを噴射して作ったアート。最終的に切り出して手ぬぐいになる
その場その瞬間にしか生まれないもの
イベント当日、開場の時間になると続々とお客さんが入場し、いよいよ人が寄せて集まる”YOSE”の輪郭が浮き上がってきました。今回のイベントでは来場者の90%がZ世代と、従来の寄席と比べると圧倒的に若い年齢層が中心となりました。
同じ世代観をもって集まることで、会場内で偶然的な共通点を見つける出会いも多々見られ、あるようでなかったZ世代の集会所のような光景が広がりました。その場その瞬間にしか生まれないもの、それこそが寄席の従来の価値であり、そしてこれからも変わらない部分だと思っています。
100BANCHの1F・WIRED SHIBUYAで“色が変わるモクテル”も提供した
落語は時空を超える
ゲストDJとして、初日は都内のクラブやイベントで活躍するbetiとZ落語のカメラマンでもあるsora a.k.a釈迦ハムが、2日目は海外からも注目を集めるDJ WAKONと三味線奏者の岩田桃楠ことmomoxが参加。それぞれ落語の出囃子をターンテーブルで表現してもらい、曲調の違う4つのネオ出囃子が生まれました。
一方で、今回は初めて落語を耳にする参加者が多いなか、敢えて普段の寄席と変わらないネタ選びを意識しました。また、最後にはZ落語が準備しているAIを使った落語生成プログラムのプロトタイプを披露。将棋の電王戦のように、AIと人間が落語の腕前を競う日も近いのかもしれません。
落語を演る桂枝之進
客席をZ世代が埋め尽くす前例のない企画でしたが、終始新鮮な反応や笑いが生まれ、イベント後の参加者によるアンケートでは満足度91%を記録しました。
客席を埋めた参加者
400年前から受け継がれる古典落語を聴いて笑うということは、400年前の人と同じポイントで面白いと感じ、400年前と繋がっているということ。
「落語は時空を超える。」
改めて落語の可能性を確認し、次へ繋ぐ手掛かりとなり得る未来的な2日間となりました。ご来場頂いた皆さまありがとうございました。
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