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100年先の未来を描く6プロジェクトが登壇 2026年7月 GARAGE Program実験報告会

100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験”を広くシェアするイベント「実験報告会」。

これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。

2026年7月23日に開催した実験報告会では、日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作するGARAGE Program26期生「Virutal Currency Offering Festival」の市原えつこをナビゲーターとし、GARAGE Programを終了した6プロジェクトが活動を報告しました。

本レポートではその発表内容をお伝えします。

Childish

すべての子育て家庭に、頼り先を。「気軽に頼れる」セーフティネットをつくり直す。

登壇者:加治木基洋

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/childish

「Childish」は、すべての子育て家庭が「何かあったとき」に気軽に頼れる、きめ細やかなセーフティネットの構築を通じて、どんな時代でも「家族」が心身の安全地帯であり続けることを目指すプロジェクトです。

加治木:「チルディッシュ」は、LINEを通じて24時間365日いつでも独自の専門医「バディ」に相談できる、子育て家庭のためのセーフティネットです。僕たちは「すべての人生に家族という『追い風』を。」というビジョンのもと、家族の概念をアップデートすることを目指しています。既存の支援が届きにくい、いわゆる「制度の狭間」にある家庭の孤独や孤立を防ぐ役割と、家族の一次情報をプールしてエビデンスに基づく支援を可能にするデータベースの構築という、2つの役割を社会実装しようとしています。

GARAGE Programの3ヶ月間は、主に事業の根幹となる経営・財務戦略のブラッシュアップと、データベース開発に注力してきました。まず経営・財務戦略についてですが、これまでの30年間、既存の市場原理の中では家族の課題が解決しなかったという事実があります。だからこそ、抜本的にお金の流れからつくり直す必要がありました。株式会社でありながら支援を募る「ファミリーメンバー制度」を取り入れるなど、あまりロールモデルが存在しない中で、学者の方々も交えながら議論を重ねて戦略を固めてきました。進捗としては8割程度なので、さらに詰めていきたいと思っています。また、システム開発の面でも大きな変化がありました。これまではLINEアプリをベースにしていましたが、データ取得の制約などがあったため、自社のシステムとして全面的に改修を行いました。並行して進めている家族データベースの開発も、当事者だけでなく政策決定者や新規事業をつくる民間企業など、様々な使われ方を想定してベース部分を構築してきました。ファーストステップとしてはいいところまで仕上がってきたと思います。さらに、100BANCHの機材をお借りして独自ラジオの収録を週2回ペースで発信したり、法人の福利厚生としての導入に向けた営業や、採用活動をおこなったりと、地道に頑張ってきました。

「今後の展望ですが、チルディッシュを全国のご家庭に届けられる状態にしていくため、システムの開発継続と導入の拡大を進めていきたいと思います。」と加治木は話しました。

 

Taro Jiro Architects

地域の資源で空間を「調律」し、つながりが生まれる場をともにつくる。

登壇者:浦井祐次郎

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/taro-jiro-architects

「Taro Jiro Architects」は、空間の「調律」を通して、循環とつながりを生む場づくりを目指すプロジェクトです。

浦井:私たちは、兄弟でライフワークとして、ふるさとの和歌山県橋本市にサードプレイスをつくるプロジェクトをおこなっています。普段、私はテクノロジーを専門に働いているのですが、これからのAI時代において、人はより温かみがあってリアルな場所を求めるのではないか、と感じるようになり、生まれ育った橋本市で仮説を確かめようとプロジェクトをはじめました。プロジェクトの舞台である和歌山県は、空き家率全国ワースト1位、人口は29年連続減少、そして転出超過が30年続いている、など課題の最前線です。これらは日本全国共通の課題でもあるため、私たちの取り組みは横展開できるのではないかと思っています。実証拠点である橋本市は、大阪の中心地から電車で50分で帰れる田舎ですが、近くて遠いが故に、住まない、泊まらない、通過される、という状況です。だからこそ、帰る理由のデザインが問われます。そこに私たちが場所をつくることで、少しずつ関係人口を増やしていき、そのつながりから、橋本市の若者たちがワクワクするような新たな仕事を生み出したいと考えています。

この3ヶ月間は、色々と紆余曲折がありました。どうすれば人を呼べるかと考え、当初は共創施設、カフェ、ワークスペースなどを検討していましたが、「どこかの誰か」を呼ぶという視点では、どのアイデアもパッとしませんでした。そして、兄と議論する中、原点に立ち戻ることにしました。かつて、私たちの祖父が奈良の山に、自分の好きなものを集めた自給自足の場所をつくっており、そこには意図せず自然と人が集まっていたんです。このことを思い出し、呼ぶべきターゲットは「どこかの誰か」ではなく、街を出た私たち自身だということに気づきました。そこで、私たち自身が帰りたくなるような、自分たちという主(あるじ)のいる場所をつくることに決めました。そこから先はワクワクしながらスムーズにアイデアが出るようになり、兄弟で「好き」を出し合って「主」の気配が感じられる場をつくりはじめました。私たち兄弟は普段は都会にいるため、常時オープンはせず、お祭りや地域会合などへ開放したり、合宿の受け皿になる場を目指しています。和歌山の旧国名「紀伊」、地域再生の鍵(キー)、そして「帰」りたくなるという想いを込めて「KII」と名付けました。この空間を実現するにあたり、紀州材やパイル織物などを用いて、地元の自治体職員、事業者と共につくることで、小さな経済の循環を実装していきたいです。普段は都会に住む同世代の建築家や空間デザイナーにも参画していただき、ともにデザインを考えることで、企画段階から都会の人たちの関係人口を少しずつ増やしていきます。

「これから、橋本市を知らない人たちのまっさらな視点で地域リサーチをおこなって、空間デザイン、施工まで自分たちの手で行うつもりです。竣工後は、自分たちの帰省回数や来訪者数で、シビックプライドがどういう状況になったかをしっかり測っていきたいと思います。」と浦井は話しました。

 

AccessSync

移動支援をデジタルでつなぎ、障がい者の「行きたい」を広げる

登壇者:大平悠翔

プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/accesssync

「AccessSync」は、障害を持った人たちの電車移動における不便を、デジタル技術を通じて解消し、より便利でスマートな移動体験を届けることを目指すプロジェクトです。

大平:僕は生まれつき身体障害があり、高校を卒業したときから車椅子で生活するようになりました。群馬から大学進学を機に上京し、電車を利用する生活が非常に増えたのですが、そこで直面したのが駅での移動にかかる不便さです。「あそこに行きたいけれど時間がかかるから」と断念したり、待ち合わせで人を待たせてしまったりすることが日常的に起こっています。皆さんも駅で駅員さんにスロープ板を出してもらう光景を見たことがあるかもしれません。実は、あれを出してもらうまでにものすごい時間がかかっているのが、当事者にとって大きな課題なんです。現状では毎回窓口改札に行かなければなりませんが、窓口が1つしかないため、他の方の対応中だと待たされたり、駅員さんが不在でわざわざボタンを押して呼んだりする必要があります。さらに、そこから降車駅の駅員さんに連絡して受け入れ体制を確認してもらってからでないと電車に乗れません。降りる駅で別の車椅子の方の対応中だったりすると「すぐに出せないので待ってください。」とその場で足止めされてしまうこともあり、結果として15分、長ければ40分ほど待つこともあります。

こうした現場のオペレーションの課題やユーザー側の心理的な負担を減らすために、僕がつくっているのが事前予約プラットフォーム「AccessSync」です。仕組みとしては、利用者が事前に行き先や乗りたい時間、そして「こんな介助をしてほしい」といった自分に合った介助タイプを入力して送信すると、駅員側の管理画面に届き、依頼状況や行き先が一元管理されるようになっています。事前に介助内容を伝えられない現状は利用者にとって大きな課題ですが、駅員さんにとっても事前に状況がわかることで不安の解消につながると考えています。実際に障害当事者へヒアリングをおこなったのですが「1駅だけのちょっとした移動で待たされるのを避けたい」「対応に時間がかかるJRで使いたい」「1本逃すと長く待つことになる地方の特急路線で使いたい」といった切実な声が集まりました。鉄道会社側にもお話を伺ったところ、駅員の方々も「お待たせして申し訳ない」「できるだけ早くご案内したい」という強い思いを持たれていることがわかりました。

「これまで見えていませんでしたが、ヒアリングを通じて、現場のオペレーションをより改善していく必要を感じました。今後は現場の駅員さんのオペレーションをより効率化できるよう改善していきたいと思います。」と大平は話しました。

 

Youth Active Mates

気づいたら、集まって、動いてる。心と体のマチのブカツ。

登壇者:山内皓貴

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/youth-active-mates

「Youth Active Mates」は、渋谷を起点に、運動不足の若者が「気づいたら体を動かしている」カルチャーをみんなでつくるプロジェクトです。

山内:僕は愛媛県西条市の出身で、ずっとサッカーをやってきました。上京して教育を学び、日本最大の通信制高校である「N高」で教材制作や新規企画を担当する中、自由な時間を使って圧倒的に自己実現をしていく生徒たちをたくさん見てきました。しかしその反面、好きなことや得意なことがあっても、途中でバーンアウトしてしまう子たちがいることにも、すごく悔しい思いをしてきました。そんなとき、ある生徒から「将来、通勤や通学できる体力がないことが本当に不安なんだよね」という言葉を聞き、これを解決する事業をつくらなければと決意して起業しました。AIが「何をどうやればいいか」を教えてくれる時代だからこそ、ワクワクするココロと動けるカラダが本当に大事になってくると考えています。現在、会社としては、通信制高校と連携して家の中からでも楽しく体を動かせるオンラインの「体育」を届けています。100BANCHでは、学校の外で若者が集まる場づくりに挑みました。「運動しよう」と呼びかけても届かない層に対して、「気づいたら動いてた」という状態をどうつくるか、高校生や少し上の世代のメンバーたちと一緒に3ヶ月間の実験を重ねてきました。僕は根っからのスポ根なので、最初は「やっぱ、運動やるでしょ!」とガチの運動企画を立てたのですが、これがほとんど集まりませんでした。今週土曜日に開催するはずだった運動会も、応募はたったの1人です。「予定がある」「バイトがある」といった理由で見事に断られました。

逆に、若者たちに刺さったのは、モルックのようなゆるい運動や、まちの魅力的な場所をみんなで歩くような企画でした。例えば、代々木にあるモスクへみんなで歩いて行く「渋谷でトルコ旅行」や、新大久保で外国っぽい写真を撮ってくる「グローバルフォトミッション」といったイベントです。すごく暑い中にもかかわらず11人が集まってくれて、普段同世代と関わる機会が少ない子も「楽しく自然と交流できてよかった。」と言ってくれて、本当に嬉しかったです。どうしても運動してほしい僕はこっそり歩数を測っていたのですが、イベントの往復を含めると大体みんな7,000歩ほど歩いてくれていて、健康的な歩数を導き出すことにも成功しました。計8回の実験を通してわかったこととしては、同世代と集まりたいニーズは確実にあるけれど、ガチな運動は届かない、ということです。そして、「おさんぽ × 何か」が最強なのではないか、ということです。スポ根の僕としては少し寂しいところもありますが、代々木公園のタイフェスに行ったり、フリマを歩いてみる「お散歩 X(クロス)」という取り組みをやっていきたいです。

「歩きたくなる場所を用意して、無理に話さなくてもいい。ただ最後にみんなで感想を共有しよう。そんな『気づいたら動いてる』という場を、日本中に広げていきたいです。」と山内は話しました。

 

WANDO

流動するコンクリートで、都市の中に「ゆるやかな共在の場」をつくる

登壇者:澁澤舞香

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/wando

「WANDO」は、流動的なコンクリートを用いたオブジェクトを公共空間に配置することを通じて、都市の中に「ただそこに居られる空間」の創出を目指すプロジェクトです。

澁澤:私たちWANDOの目標は、都市の中に安心してただそこに居られる場所をつくることです。私たちは普段、日常的に何らかの役割を担いながら生活していると思います。しかし、例えば街中で犬や猫を見かけたり、公園で池を眺めたりするとき、人は一時的に自分の役割から逃れて「ありのままそこにいられる」感覚になります。そして、同じものを見ている他者と空間を共有し、居合わせる状態、私たちはそれを「ゆるやかな共在」と捉え、その実現を目指しています。過去には同じテーマで「fluid」という先行作品を制作しました。これは、コンクリートが持つ長い時間軸と、その中に組み込まれた二足歩行ロボットの断続的な時間軸を併置し、鑑賞者自身の時間感覚に触れるためのオブジェクトとして展開しました。今回のプロジェクトではそこからさらに発展させ、中に機構を入れるだけでなく、コンクリート自身を動かすことでコンクリートそのものに生命感を付与する作品づくりに挑戦しました。

この3ヶ月間は、主に要素技術の検証と駆動機構の制作を進めてきました。まず技術検証として、コンクリートに本来あるはずの鉄筋構造を高強度ネットに置き換えることで、布のようなたわみを生み出しました。さらに、コンクリートを5×5マスに分割して成形することで、しなやかに動くコンクリート板を実現しました。その上で、コンクリートをブロック状に編み込み、内側に直動のアクチュエーターを組み合わせた駆動機構を設計・制作しました。当初の計画では展示と改良まで行う予定でしたが、設置して人の行動を観察する段階にはまだ至らなかったため、GARAGE Programを3ヶ月延長します。次の3ヶ月では、実際に完成した作品を空間に設置し、人々がどのように距離をとり、身体を動かすのかを観察していく予定です。

「新しい設置場所の検討として、ケア施設などとの協働も視野に入れています。作品を介することで生まれる新しい居場所や、関係性の可能性を検証し、展示を進めていきたいです。」と澁澤は話しました。

 

be♭

人と人の間にある「アイス」を溶かし、仲良くなれる世界を探究する研究所

登壇者:伊藤詩奈

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/beflat

「be♭」は、人と人との間に生まれる気まずさを溶かすアイスブレイクの研究を通じて、「楽しい」でもっと仲良くなれる世界を目指すプロジェクトです。

伊藤:私たちは、いつでもどこでもワイワイできるというのをチームの合言葉にして、ワイワイできちゃうバッグチャーム「MelTOY」を開発しています。例えば、「パレットピック」というゲームは、めくると「1年前のピンク」といったお題が出てきて、スマホのカメラロールから1年前ぐらいに撮ったピンク色の面積が多い写真を探して見せあい、どちらがピンクの面積が大きいかで勝負するゲームです。他にも、価値観の順位付けをする「どんぐりの背くらべ」というゲームや、お題に対して早く答える「『あ』からはじまる国の名前」というカードゲームがあります。しかし、カードではどうしても表現できなかったゲームがあり、新しくスマホにタッチして遊ぶ「たっちょん」というシリーズを開発してきました。友だちと答えが合うか試せる「たっちょんMATCH!」や、参加者の中からシンデレラを探す「たっちょんCinderella」というゲームを開発しています。

MelTOYをつくろうと決めてから3ヶ月ほど経ちますが、これまで色々とテストをしてきました。一番大きな成果は「ゲームマーケット」への出展で、持ち運べることがすごく共感を得て、予定の60個を完売することができました。メインターゲットは20代女性、ボードゲームのライトユーザーを想定していたのですが、先日ナナナナ祭に出展したところ、意外にも老若男女に楽しんでもらうことができました。特に印象的だったのが、1日に50回も「たっちょんMATCH!」をプレイしてくれた少年がいたことです。その様子の動画を、少年に許可を取ってInstagramで公開したところ、15.4万回も再生されました。色々な人が応援してくれることがうれしくて、これからも頑張ろうと思えました。

実は100BANCHへの入居は今回が2度目です。前回は別のプロジェクトで、「内省を促すアプリ」の開発に取り組んでいました。当時は今よりも少し堅いアプローチだったのですが、ふと思いついて企画した「ハッピーな瞬間を聞く神社」が思いがけず多くの方に喜んでもらえました。その経験を通して、自分たち自身が楽しみながら取り組むことの大切さを実感しました。それ以来、形は変わっても軸は変わらず、人と人が自然につながり、楽しいコミュニケーションが生まれる場をつくり続けています。

「この6ヶ月で一番感じたことは、私たち自身が誰よりもMelTOYを楽しんでいるということです。これからも私たち自身が楽しみながら、皆さんにも『楽しい』を届けられるよう、販売に向けて頑張っていきたいと思います。」と伊藤は話しました。

 

次回の実験報告会は8月26日(水)に開催。ぜひご参加ください!

(撮影:鈴木 渉)

<次回実験報告会>

【こんな方にオススメ】
・100BANCHに興味がある
・GARAGE Programに応募したい
・直接プロジェクトメンバーと話してみたい
・ブランディングに興味関心がある
・クリエイティブ領域の事業に興味関心がある

【概要】

日程:8/26(水)

時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)

会場:100BANCH 3F

参加費:1500円(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

 

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/81898/

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