すべての人を対象とした、記憶に残るインタラクティブな体験ができる未来の博物館をつくりたい
Museum of the future
すべての人を対象とした、記憶に残るインタラクティブな体験ができる未来の博物館をつくりたい
100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験"を広くシェアするイベント「実験報告会」。
これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。
2024年9月26日に開催した実験報告会では、「政治」や「コミュニティ」をキーワードに18歳選挙権の実現やシェアハウス事業、モビリティ、自治体のDXなど様々な事業に取り組んできたGARAGE Program6期生「BUSHOUSE」の青木大和(株式会社パブリックテクノロジーズ CEO)をナビゲーターとし、GARAGE Programの計4プロジェクトが活動を報告しました。
本レポートでは、GARAGE Programの4プロジェクトの発表内容をお伝えします。
すべての人を対象とした、記憶に残るインタラクティブな体験ができる未来の博物館をつくりたい
登壇者:Sophie-Charlotte Bolinski
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/museum-of-the-future
「Museum of the future」は、視覚障害やその他の障害を持つ人々を含むすべての人にとって、インタラクティブで記憶に残る博物館体験の実現を目指すプロジェクトです。
Sophie:私はドイツ海洋博物館と協力して、インタラクティブな展示を博物館の文化に採り入れようと考えています。一般的な博物館にはインタラクティブな展示がありません。そのため、目の見えない方は展示を体験できず、楽しめません。目の見えない多くの人が、展示会に行く気になれない状態は、インクルーシブな社会ではありません。もし目の見えない友人がいたら、展示会には滅多に行かないでしょう。日本でプロジェクトを始めるにあたり、まず3Dプリンターを購入しました。3Dプリンターはデータを共有することができるので、世界中の博物館で出力できるようになったり、予算が潤沢ではない小さな博物館にも共有できると考えたからです。まず既存の3Dプリントのデータを実際に触ってみることが非常に重要だと思い、いろいろなものを触ってみました。3Dスキャンのデータを扱うのは難しいと思っていたのですが、非常に面白かったです。また、クジラのモデルをダウンロードしました。このモデルををインタラクティブな展示に修正するのはとても大変でした。「どうやってインタラクティブな展示にするか」を考えながらタッチセンサーをつけて、触れると音が出るように設定したので遊ぶことができます。また、ジャイロスコープ加速度計も導入したので、角度も感知することもできます。このようなインタラクティブなプロトタイプをつくってみましたが、将来的にはもっと発展させたいと思っています。
「今後は、取り扱うモデルの領域を船の領域にも広げ、触ることができたり、光ったりするようなインタラクティブな展示物も試しにつくってみたいと考えています。」とSophieは話しました。
社会に一つ、新たな軸を。
登壇者:松広航
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/ichigiku
「ICHIGIKU」は、ファッションのジャンルに新しく「宇宙(Universe)」を追加することを目標に、その第一歩として宇宙服をテーマにしたファッションショーの開催を目指すプロジェクトです。
松広:100BANCHでは「宇宙服 × ファッションショー」をテーマに、宇宙服を未来の日常着と捉えたらどのように考えられるのか、そしてそれはどのような形なのかを考えました。最終的にはファッションのジャンルに「宇宙」を新しい軸としてつくっていきたい、と活動してきました。100BANCHには今年の4月から入居し、3ヶ月延長したので半年間活動してきました。今年のナナナナ祭では【宇宙服の場合】というシリーズで「Vision1/ヘルメット」という展示を出展させていただきました。いきなり全身服をつくるのは難易度が高いと感じたので、パーツごとに分けて少しずつ検討していき、最終的にそれぞれのパーツをつなげて形にしていく流れで進めることにしました。まずはじめに、着目したものは、日常の衣服としては使われていないが、宇宙では当たり前にみんながつけるであろう「ヘルメット」です。「Vision1/ヘルメット」ではヘルメットで考えられるいろんな機能を分解して具現化した作品や、インスタレーションと映像を体験しながら「未来の宇宙服」に対してみなさんから意見をいただく展示を行いました。117人の方が意見のメモを残してくださり、想定していた以上のたくさんの人に体験していただけたと感じています。
現在の活動についてですが、来年の6月に照恩寺アートプロジェクトで単独個展を行うことが決まりました。他にも、100BANCHプロジェクトの「獅子舞生息可能性都市」の稲村さんと一緒に「月面での獅子舞生息可能性」を探っており、今後イベントの開催も考えています。 また、ICHIGIKUの活動は少しアート的な取り組みでもあるのですが、メーカーに提案したり、まちづくりや防災の教育に活かせないかなど、現在いろいろと考えながら活動しています。
「10月には100BANCHでのDESIGNARTにも出展させていただくことになりました。今度のテーマは指先で、『VISION2/フィンガーグローブ 』を鋭意制作中です。」と松広は話しました。
クリニックの口コミのお悩みを解決!!!〜クリニックMEOアプリMy Dr.〜
登壇者:堀川心之祐
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/my-dr
「My Dr.」は、手軽に円滑に口コミを集め、再来院を促すことができるクリニック向けMEOアプリ『My Dr.』の開発を通じて、クリニックの口コミ課題の解決を目指すプロジェクトです。
堀川:GARAGE Programの最初の3ヶ月間で検証したかったことは、医療機関の口コミニーズがどの程度あるのかと、アプリを導入して口コミが実際に集まるのか、でした。検証期間中には、お医者さんから患者さんにアプリを案内して2日間で15人中13人にアプリを入れていただき、100パーセントの方に星5つをつけていただけました。ですが、お医者さんが見ている目の前で評価するので、「全員が星5つを押すんだろうな」と思っていました。これまで、このアプリをいろいろな病院に導入していただけるように押し出していましたが、医療機関は保守的だったり、患者さんの個人情報を扱うために導入が難しいなどの課題が出てきたので、メンターの高宮さんに相談させていただきました。すると、「口コミがクリニックにおいて本当にクリティカルなのかもう1回調べてみてはどうか」とアドバイスをいただいたので実際に調べてみました。口コミがクリティカルであることは確認できましたが、クリニック以外の業界にも口コミに関するアプリのニーズがあることに気が付きました。今後はMEO事業者の方とタッグを組み、病院以外の、鍼灸接骨や飲食、インドアゴルフ、中古品買取といった、チェーン店で店舗数の多い事業者さんでの実装を目指していこうと考えています。
「現在、クリニック以外の業界への展開を考えていますが、いろんな事業に対してアプリをカスタマイズすることの費用対効果と価格設定の難しさに悩んでいます。みなさんにご意見をいただきながら進めていきたいなと思っています。」と堀川は話しました。
社会の分断を解消し、ONとOFFの境目をシームレスに
登壇者:安藤智博
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/onoff
「NOFF」は、地域コミュニティ、伝統と革新、人々の稼働と休息という三つの分断を繋ぎ止め、古ゴザを活用したピクニックシートの開発とピクニックカルチャーの企画、二本柱で実施するプロジェクトです。
安藤:私たちは、人々の“休息”に着目し、日本のピクニックカルチャーを推進しながらオリジナルのゴザシートを開発しています。ゴザをフェスや屋台などのイベントで使ってもらい、いろんな人に屋外で楽しんでもらうことを行ってきました。今年に入ってからは、自分たちで企画をしたり、いろいろなチームとコラボして企画を行うことにだんだんとシフトしてきました。例えば、池袋にあるお米屋さん「板五米店」の縁側に畳の空間を作ってシャボン玉を飛ばし、子どもたちと一緒に遊ぶようなコミュニケーションデザインをしました。また、ナナナナ祭では昨年に引き続き今年も、外に畳を持ち出して、和室の空間や休憩所を作りました。他には、CCC(Cleanup & Coffee Club)というコミュニティとコラボして、道端に休憩スペースを作り、いろんな人に寝転がってもらったり、「地ベタ音楽祭」という音楽フェスではオフィシャルパートナーとして特別なゴザシートを作らせてもらったりしました。
私たちは「創造的な行楽活動(Creative Outing)」を推進していきたいと思っています。私たちが考えている“行楽活動(Creative Outing)”とは、ピクニックよりももっともっと単純で、「外に出る」「楽しむ」それだけです。日常の中で少し出かけて楽しむ。自然に触れ、散歩をし、人と話す。そういった体験をもっといろんな人ができるように、企画やプロダクト、様々なコラボレーションを通して支援していきたいと考えています。
「2025年に、楽しくピクニックができる大きなフェス『野外ピクニックフェス by NOFF 行楽特区 』を計画しています。関心のある方はぜひInstagramを通じて情報を待っていただけるとうれしいです。」と安藤は話しました。
実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。
Museum of the future https://youtu.be/RYRbO4cynOk?si=MoEdG93IrgwQ896T
ICHIGIKU https://youtu.be/6ZvKyWR4W6U?si=Q7zzgWy6emLAg_M2
次回の実験報告会は10月23日(水)に開催。ぜひご参加ください!
(撮影:鈴木 渉)
【こんな方にオススメ】
・100BANCHに興味がある
・GARAGE Programに応募したい
・直接プロジェクトメンバーと話してみたい
・コミュニティに興味がある
・職人技術の継承に興味がある
・うどんパフォーマンスに興味がある
【概要】
日程:10/23(水)
時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)
会場:100BANCH 3F
参加費:無料(1ドリンク付き)
参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください
詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/65118/