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臭いものに蓋はしない。納豆を起点に個性が輝く社会を:鈴木真由子(納豆インフルエンサー「なっとう娘」)

「この先も納豆パックは発泡スチロールのパックが主流なのだろうか?」、そんな疑問から出発し、今では「なっとう娘」としてさまざまなチャレンジをして「自分の存在価値を実感しやすい社会づくり」の実現を目指す、一人の挑戦者がいます。

GARAGE Program 37期生「natto pack 2.0」の鈴木真由子は、2020年8月に100BANCHに入居。環境に配慮した納豆パックの開発や全国の納豆が買えるECサイト「納豆天国」の開発・運営に取り組みました。その後も納豆をテーマにしたイベントや、テレビやラジオなど各種メディアへの出演を通して納豆の魅力を伝え、納豆を起点にいきいきと生きられる社会の実現に向けて活動を続けています。
そんな鈴木が100BANCHとの出会いや、現在の活動について語りました。

鈴木真由子|natto pack2.0

1995年横浜生まれ。B型。身長166cm。「納豆を食べることが仕事」の新卒フリーランス。【”自分の存在価値”を実感しやすい社会づくり】を目指し納豆を切り口として、日々活動中。納豆に関する企画プロデュースが主な事業内容。

 

納豆の魅力を広める「なっとう娘」

鈴木:私は、普段「なっとう娘」という名前で納豆インフルエンサーとして活動しています。 色々な種類の納豆を食べて「こんな納豆があるよ」と発信をしたり、納豆パスタや納豆オムライスなど、実は日本全国にたくさんある納豆グルメを食べたり、納豆の工場を取材してSNSで発信をしたり、「納豆天国」という納豆専門の通販サイトの運営をしたり、さらには納豆に関するイベント企画をおこなったりしています。

 

 

——社会課題に興味があって「なっとう娘」としての活動をスタートさせたという鈴木。「社会活動」と「納豆」、その2つが繋がるまでにはどんなストーリーがあったのでしょうか。100BANCHとの出会いのきっかけに触れながら、当時のことを振り返ります。

鈴木:私が100BANCHの存在を初めて知ったのは「ナナナナ祭」のレポート記事でした。「しいたけは飛び、そうめんは流れる。」という企画で、垂直に3階に垂直にしいたけが飛んでいって、そうめんが流れてくるというもので「なんて場所があるんだ、すごくイケてる集団だなぁあ」と思ったんですね。それが今から6年前くらいで、私がなっとう娘をはじめたくらいのときです。そこから、知り合いの方のツテでご紹介いただき面談を受け、100BANCHに入りました。すごく楽しそうな集団にまさか自分が入れるとは思っていなかったので、その時はとても自信がつきました。当時、すでになっとう娘として2〜3年活動していたので、100BANCHでは「納豆で何かしらやろう」と思い「natto pack 2.0」というプロジェクトをスタートさせました。

「なっとう娘」としての活動を始めた理由は、社会課題に興味があったからです。大学生のころに社会課題に興味を持ったんですが、特定の社会課題というよりは、世間の社会課題全体に対しての無関心や距離感を感じ、何か架け橋になるような活動ができないかと模索していました。そこで大学を1年間休学をして色々なインターンをしました。

最初に社会課題を解決するインターンに行ったんですが、そこにはもともと社会課題に興味ある方がたくさん来ていたので、「もっとみんなが興味を持ってくれるのはどんなことだろう」と考え、イベント会社にインターンに行きました。そのイベント会社で自分なりに考えたところ、「食」という分野に引きがあって、色々な層の方が来てくれると感じたので、次は「食」関係のインターンに行きました。そこで気づいたんです。「食」の中でも例えば、お肉食べ放題と納豆食べ放題だったら、納豆の方がちょっとマイナーで面白そうだからいろんな方が来てくれるっていうことに。自分自身も納豆が好きだったので、「納豆で活動ができれば社会課題とそれに無関心な人たちの架け橋になれるんじゃないか」と思い、「なっとう娘」の活動をスタートさせました。

 

やさしさにつながる「知る」をつくる

——これまでにない納豆パックのカタチを模索して、社会に提案する「natto pack 2.0」。そのプロジェクトは、100BANCHでの実験や出会いによってどんどんと可能性を広げていきます。

鈴木:私が活動の信念としているのが、「やさしさにつながる『知る』をつくる」、という考え方です。知ることでその人にとっての新しい思いやりだったり、何か困っている人に対して、自分からアクションできるようなやさしさに繋がるきっかけを作れたらいいなと思って活動をしています。私は、ずっと納豆を食べる時にパックがかさばってしまうのが気になっていたんです。それをどうにかしたいという思いと、もっと環境にいい納豆パックが作れるんじゃないかと思い始めたのが「natto pack 2.0」の活動です。

 

100BANCHの人と話すたびに新しい世界が広がっていく

鈴木:入居してからは、ほぼ住んでいるんじゃないかというぐらい100BANCHにいました。インタビューやメディア用の撮影をさせてもらったり、スタッフの方とも仲良くさせてもらったり、とにかく100BANCHにはたくさん来ました。最近でもたまに来ると知っている方たちばかりですごく楽しいなと思います。

鈴木:通販サイト「納豆天国」で販売している納豆は、、100BANCHでいろんな人に食べ比べてもらったり、アンケートをとったりして決めました。

 

鈴木:100BANCHの3階で、納豆巻きで文字を作ってみんなで食べる会も開催しました。納豆巻きをたくさん作り、それで文字を作って、最後に集合写真を撮って、みんなで納豆巻きを食べるイベントです。また、「納豆ご飯っておいしいけど納豆を炊き込みご飯にしたらどうなんだろう」と思ったことがあって、炊飯器をお借りしてお米と一緒に納豆を炊いたこともあります。炊飯器の蒸気が全部納豆の匂いになって、2階がすごく納豆臭くて大変なことになりました。そんなことをやっても度が過ぎなければ怒られることもなくて、100BANCHではすごく自由に実験をさせてもらっていたと思います。

鈴木:「natto pack 2.0」では、袋型の納豆容器も試作しました。袋の中に納豆とタレを入れて揉み込んでいくんですが、納豆を混ぜるかわりに揉めば粘り気が出るんじゃないかというアイデアで作りました。テープの部分を引っ張ると納豆が出てきて食べられます。ゴミも少なくかさばらない容器を目指して作った最初の試作品です。今見るともうちょっと改良点があったように思いますが、当時は一生懸命考えて、かさばらず環境にも負荷の少ない容器がいいと思いこのような試作品ができました。

鈴木:そして、ナナナナ祭にも参加させてもらい、納豆アイスを出展しました。納豆とバニライスの組み合わせは厳しいという方もいらっしゃいましたが、意外とおいしいと言ってもらえることが多く、私もお気に入りの食べ方です。納豆とお醤油とバニラアイスが入っているので、みたらし団子のような味わいになります。すでに袋入りの納豆を作っている会社さんがあり、そちらと協力して出展しました。

鈴木:次の年のナナナナ祭では「竹紙納豆」を出展しました。今、竹の成長スピードが早すぎて伐採や処理が追いつかず、竹林の手入れが間に合わない「竹害」という問題があります。その取り組みでは、竹を使って紙を作っている製紙会社さんと協力して「竹紙納豆」を作りました。紙容器の納豆はこれまでもあったんですが、竹紙の容器を使った納豆は今までなかったんです。また、竹紙の容器の中で納豆を混ぜることができるように工夫すれば、「お皿も不要で洗い物が減る点もすごくいいな」と思いこの商品を作りました。「竹紙納豆」ということで、ブースも竹で組んで作って販売を行いました。

 

夢中にがむしゃらになれる場所

鈴木:ナナナナ祭も含め、100BANCHに入って本当にたくさんの出会いをいただきました。自分が通っていた当時のメンバーはもちろん、ナナナナ祭などのイベントに参加するたびに、さまざまな価値観に触れることができ、新しいプロジェクトに挑戦している方たちと繋がることで自分のモチベーションも上がります。色々な方とお話するたび、新しい世界が広がっていく100BANCHは本当に素敵な場所だと思います。 

100BANCHにいると徹夜でプロジェクトを進めている方々がいたり、私も終電ぎりぎりまでひたすら竹を切って組み立てたりしていたんですが、そういったがむしゃらさ、1つのことに没頭できる点では、すごくありがたい環境です。まわりに頑張っている方がたくさんいるおかげで、自分もより頑張ろうと思えるんです。

鈴木:また、当時私は四国に行ったことがなかったんですが、100BANCHがきっかけで徳島の神山に行くことができました。自然豊かな場所で田植えや稲刈りなど大変な作業を一緒に体験することで、色々なプロジェクトの方と仲良くなれたり、100BANCHに帰ってからも、そこで出会ったメンバーとの距離感が縮まったり、すごく貴重な思い出になりました。今日も3つのプロジェクトが登壇してくださるので、内容を見ながら「natto pack 2.0」と接点がないかなとか考えたり、その他色々なイベントの中でたくさんの出会いがあって、そこで化学反応が起きて、今後一緒にイベントができたりするといいなぁと思っています。

 

納豆の容器自体がいらなくなる?

——最後に、鈴木は「natto pack 2.0」の今後のチャレンジについて話してくれました。

鈴木:「natto pack 2.0」としては、納豆の容器について、「竹紙ではなく竹の筒の中に納豆を入れるのはどうだろうか」と考えたり、「柿の葉寿司のように柿の葉っぱで納豆の容器が作れたらいいのかな」など、たくさんのことを考えてきました。しかし、100BANCHに入って3年近く経つのですが、そもそも容器って必要なのだろうか?という考えに行き着きました。

鈴木:きっかけは、去年の9月頃にドイツで行った納豆のワークショップです。私の納豆友達がドイツのフランクフルトで納豆屋さんをやっているんですが、昨年ようやく行くことができて、その際にみなさんに繰り返し使える容器をお渡しして、その中で納豆を作っていただく体験会をやりました。何度も繰り返し使える容器を渡すことで、納豆の容器というもの自体がいらなくなるんじゃないかと考えたんです。

鈴木:先月も、わら納豆のワークショップを行いました。わらは土にも還るので、そういう点でもすごくいいなと思って、わらを作っていただくところから納豆を作っていただくところまで体験してもらいました。作った後は、発酵させるのに持って帰ってもらうのですが、発酵させるのがうまく行った方とちょっと難しかった方がいたので、その辺を改善しながら、今後も納豆ワークショップを開催していけたらと思っています。

鈴木:これからも納豆ワークショップをたくさんやっていきつつ、いろんな方が納豆を買わなくても自分で気軽に作れるようになったらいいなと考えているので、身近に手軽に納豆が作れるようなキットの開発にも力を入れて頑張っていきたいと思います。

私自身、100BANCHからたくさんの刺激をもらえたので、同じように私も、みなさんの何かしらのきっかけとなっていけたら嬉しいです。

 

今回のお話の内容は、YouTubeでもご覧いただけます。

https://youtu.be/Da4jUMcvx4I?si=8HUwj8MmQkNQQp9L

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