みんなの考えを形に!
AIと3Dプリンターでかなえる自分だけのモノづくり!
AI3D
みんなの考えを形に!
AIと3Dプリンターでかなえる自分だけのモノづくり!
100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験”を広くシェアするイベント「実験報告会」。
これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。
2023年11月22日に開催した実験報告会では、独自の「環境移送技術」を活用して海の見える化を推進し、人類発展と環境保全を両立する、持続可能な世界の追求に取り組むGARAGE Program 12期生「INOCA」の高倉葉太(株式会社イノカ CEO)をナビゲーターとし、GARAGE Programの計4プロジェクトが活動を報告しました。
本レポートでは、GARAGE Programの4プロジェクトの発表内容をお伝えします。
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みんなの考えを形に!AIと3Dプリンターでかなえる自分だけのモノづくり!
登壇者:田川晴登
プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/ai3d
「AI3D」は、生成AIと3Dプリンターの統合プラットフォームを開発することを目指すプロジェクトです。
田川:100BANCHに入居した当初に思っていたのが、「そもそも3Dプリンターって一般向けじゃないのでは?」というテーマでした。プリンターで何かを作っていくプロジェクトなのにプリンター自体が手元にないとプラットフォームがあっても使えないため、まずはものづくりの手軽さを紹介し、3Dプリンターを普及させていこう、ということになりました。手始めに「会いに行ける科学者フェス」(通称JASS)という科学者フェスにブースを出展し、二次元の絵をAIに描いてもらってそれを3Dプリンターで出力する実演イベントを行いました。お子さんや親御さんたちも3Dプリンタにすごく興味を持っていただく反応を見て、これから3Dプリンタはもっと浸透していくものなんじゃないかと再確認することができました。次に京都府の京田辺市の市民祭り「たなフェス」で子供向けの工作教室をさせていただきました。ぼくが3Dプリンタやレーザーカッターを使わせていただいている施設が京田辺市の大学にあり、そこの職員さんや商工会のみなさんがブログを見て声をかけてくださって実現しました。MDFやアクリル素材のプラモデルのようなものをつくる、ものづくり体験の教室を実施したところ、お子さんたちを中心にたくさんの方々からご好評をいただきました。
「100BANCHのGARAGE Programは3ヶ月延長させていただき、ソフトウェアやプラットフォーム開発、3Dプリンターの販売会社との連携、研究や教育分野への活用にもチャレンジしていこうと考えています。データを蓄積してファインチューニングをおこなったAIを実用的に活用できるか検証の上、最後には100BANCHでもイベントをさせていただこうと思っています。」と田川は話しました。
寄り添わない支援を行い、家庭環境に悩む少年少女が居場所を見つけるための「環境構築」を実現する
登壇者:奥村春香
プロジェクト詳細: https://100banch.com/projects/daisan-no-kazoku
「Daisan no kazoku」は、情報支援やコミュニティサイトなどのオンラインサービスを通じ、家庭環境に悩む少年少女が居場所を見つけることを目指すプロジェクトです。
奥村:第3の家族では、家庭環境に悩む少年少女が居場所を見つけるためのオンラインサービスを展開しています。少年少女からの満足度は高いのですが、ユーザーの流入に悩んでいました。そこで、家庭環境に問題があっても少年少女たちは「傷ついている」ことに気づけていないのではないかという仮説を立て、表現によるアプローチで気づくきっかけを作ることを目指しました。家庭環境データの調査に取り組み、視覚比喩で表現し、当事者が傷ついてることに気づくきっかけづくりになるような展示を行いました。15歳から25歳の若者400人に、「今のあなたにとって家庭は居場所になっていますか?」と質問して、結果をグラフではなくグラフィックで表現しました。「心の病気を発症しやすい」というデータを崩れ落ちそうなジェンガで表現したり、「結婚に億劫になりやすい」というデータを人生ゲームのピンが歪んでいるようなグラフィックで表現をする、といった感じです。これらを見ることで「私はこのジェンガかな」とか「こういう問題があるんだ」と共感してもらうことに注力しました。展示だけでなく、いろんな支援者の方を呼んでトークイベントも行いました。その結果、サイトの訪問数や寄付の売り上げ、イベントの申し込み数などはある程度数字が出て、イベントの満足度自体も高かったです。しかし、やはり少年少女が来てくれないという大問題がありました。その一方で当事者外からの手を差し伸べるための機会づくりになるのでは、という新たな仮説が生まれました。「身近に家庭に問題がありそうな人がいる」「塾の生徒がそんな感じ」といった、来場者の方からのフィードバックが印象的で、それが希望に思えました。
「いろんな人に話を聞きに行ってパブリックな場所での展示も引き続きやっていくのですが、100BANCHでの活動を通して、当事者たちだけのものではなく、周囲の人からケアをするためのしくみづくりになる可能性も感じたので今後も続けていきたいと思います。 」と奥村は話しました。
まちの中の感性を可視化し、若者の居場所をつくりたい
登壇者:林愛子
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/emobby
「emobby」は、まちで起こっている人々の行動と趣味嗜好を可視化し、居場所になり得る場所の発見の機会を生み出すことで若者の居場所づくりを目指すプロジェクトです。
林:100BANCHの入居期間は、都市の均質性・感性を2つのアプローチから調査をした3カ月間でした。emobby には4つのフェーズがあるのですが、100BANCHでは、まちの感性を可視化するフェーズにフォーカスして活動を進めました。まちの感性の要素として今回選んだのはファッションの色と形です。女性のスカートの長さから国の経済の動向が読み取れると言われるように、ファッションからまちの個性を抽出することができるのではないかと、仮説を立て実験しました。具体的には渋谷区7地点において地点別に動画を撮影し、動画に映る人々から色と形の分析を行いました。結果、代々木公園では緑や自然に馴染む色が多かったり、閑静な代官山ではベースカラーが多いというようなことは分かりましたが、表層的な傾向が見られただけで、まちの感性の可視化というのはまったく達成されていないと考えています。100BANCHで行ったもう1つのアプローチですが、利便性と固有性を両立するまちのあり方について東京大学で研究をさせていただきました。均質性は利便性と表裏一体であり、利便性を追求したいという人間の欲求はこれからもどんどんまちの均質化を促進するであろうことから、利便性と固有性を両立するまちはどのようにあるべきか、ということを考えました。実際に千葉県我孫子市において住民がその町のまちらしさ・固有性をどこで捉え、どんな感情を抱いているのかという調査を行いました。その結果、自然的地形である手賀沼と、コミュニティ活動の中心地である我孫子駅前にサンプルが集中しました。そこで抱いている感情は非常にポジティブなものが多い、という結果を得ることができたので、その成果をロジックモデルとしてまとめました。
「私はまだ高校生なので何かに絞るつもりはないのですが、これからも研究やプロジェクト、様々な面から、建築と都市について、探究、追求していきたい思いです。」と林は話しました。
猫たちは方円の問いに随う?〜にゃくてるアートでつくる問いのカクテル〜
登壇者:長廻くるみ
プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/nyacktail
「NYACKTAIL」は、「ねこは液体?」という研究から着想を得た、猫とカクテルを合わせた「にゃくてる」というキャラクターをきっかけに、日常に潜むさりげない問いや疑問に気づき、調べたり、語り合うことを楽しむ機会を増やすプロジェクトです。
長廻:初期のにゃくてるは教育分野に力を入れていて、9月には大泉高校でにゃくてるを用いたワークショップ・展示を行いました。しかし、そのあり方に対してどこか閉塞感を感じており、もっと楽しく、ぶっ飛んだことができないかなと考えるようになりました。そこで、にゃくてるのあり方の再検討のため、スキマバイトの「タイミー」を活用して、日替わりでいろんなバーやレストランに潜入し、どういう場で乾杯や対話が生まれているか、場の観察をしてきました。10月には実際の店舗さんににゃくてるのコラボ作品を置かせていただき、その作品がある空間ではどんな感じになるかを検証しました。同時期に100BANCHには実際にバーのような空間をつくって展示しました。しかし、なかなかバーカウンターに座ってもらうところまでいかず、問いに繋がらないという挫折を感じつつありました。それで、11月にはバーの構成要素から考えなおしました。どんな人がいるのか、どこにあるのか、どういう装置があるのか、といった場所性で大きく変わってくると考えた結果、今月、西荻窪のカフェで、にゃくてるのアップデート版を展示させていただいています。写真と絵を融合した作品群、西荻窪ではない場所で撮った西荻窪っぽい写真、生成AIで西荻窪にいる架空のペルソナをつくり、彼らが繰り広げる西荻窪の日常、のようなものを展示し、来場者に西荻窪の場所性を考えてもらうことをやってます。
「今回の西荻窪でのチャレンジがうまくいけば、他の地域でも同様の展示でそれぞれの場所性について考えてもらうことをやっていくと、もっと面白くなるんじゃないかと思っています。どんどん場所を拡大して世界中を猫浸しにしていけたらいいなと思います。」と長廻は話しました。
実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。
AI3D https://youtu.be/SRe8EHArIJY?si=4PsMYwao9Al7g3ZP
Daisan no kazoku https://youtu.be/JIe-uEr0ZLo?si=iHdP6KJYgLDSNXNn
次回の実験報告会は12月21日(木)に開催。ぜひご参加ください!
(撮影:鈴木 渉)
【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・GARAGE Programへの応募を検討されている方
【概要】
日程:12/21(木)
時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)
会場:100BANCH 3F
参加費:無料(1ドリンク付き)
参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください
詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/55143/