猫たちは方円の問いに随う?
〜にゃくてるアートでつくる問いのカクテル〜
NYACKTAIL
猫たちは方円の問いに随う?
〜にゃくてるアートでつくる問いのカクテル〜
猫×お酒のアート「にゃくてる」で問いや好奇心の入り口をつくる、プロジェクトNYACTAIL。日常に潜むさりげない問いや疑問について気づいたり語り合ったりする機会の創出に取り組んでいます。DESIGNARTでは100BANCH 2階に、にゃくてるがいるbar型のブースを出現させました。
かわいらしい猫のアートに、訪れた人はどんな反応を示したのでしょうか。NYACTAILの長廻くるみが振り返ります。
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このページにお越しくださりありがとうございます。作者のKuruと申します。
NYACKTAILは、イグノーベル賞を受賞した「猫は液体?」の研究からインスピレーションを受けて始まったキャラクターシリーズです。
作品を通して、研究に興味を持つきっかけになってもらったり、作品を眺めながらグラスを片手に談笑する中で、各々の考えがカクテルのように混じり合うことで新たな発想が生まれるのでは?という想いを込めて、猫(NYAN)×カクテル(COCKTAIL)×?→にゃくてる(NYACKTAIL)と名付けました。
※カクテルを冠したものを作ってるので、中の人は酒飲みだと思われがちですが、当人は下戸です。
NYACKTAILは今まで何度か展示をしているのですが、「かわいい」で終わりがちな課題を抱えておりました。
今回の貴重な展示機会、問いを考えてもらいやすい体験にするには既存のキャラクターを飾るだけだと完結しないぞ?と思い、bar「 」を設営しました。バーの概念です。
会場には棚を改造したバーカウンターと椅子、小道具としてグラス、酒瓶を置いてリアルに近いバー体験を意識しました。
NYACKTAILは展示の際、場に合わせた新作を必ず一つ制作するのですが、今回は「フローズンダイキリ」を制作しました。ラムベースでライムの香るフローズンドリンクです。
カクテル言葉は「希望」。未来をつくる実験区、というコンセプトである100BANCHでバーを開くとして、どんなカクテルがしっくりくるだろうかと考えたとき、凍った現状を溶かすような熱いエネルギー溢れる入居者たちの未来を応援するようなものが良いのではないか、とこちらを選定しました。
さらに、今回隣接する展示が死生観を問うようなものであったので、「100」にかけて「100万回生きた猫」に登場する白猫(主人公の猫が愛したキーキャラクター)もモチーフに加えて、導線からストーリーが繋がるように試みました。
これからの100年をつくる&100万回の輪廻転生の最期を締めくくるーー始まりと終わりが混ざり合うことで、皆さんどのようなことを思うのでしょうか。
さて、中の人は下戸ですが(2回目)、お酒に詳しくなりたい&カウンターの内側からの視点を観察して制作に活かしたいなと都内某所のバーで働かせていただいております。
展示期間、元ネタとなるカクテルを実際に作っていただきました。
本当は会場とこちらのお店をリンクさせてお客さんをそれぞれ行き来させられたら面白かったのですが、「もうちょっと長く勤務してからね」とお達しを受けて断念。今後の展示で実現できたらいいなと思ってます。
今回の反省点として、バー空間込みで一つの作品、としたものの、なかなかカウンターに座るところまでいかない事態が発生しました。在廊時にお客さんに作品を説明すると、概ねポジティブな反応をいただけたり、来場者の方から「猫は液体」に関する言及は多数いただけましたが、説明なしだとやはり「かわいい」で終わりがちな問題は継続しています。いっそかわいいでいいじゃないか、と攻めた方がいいのかも…。
もう一つは、バー設計など、自分一人で作れるものには限界があると感じた点です。
「バー空間を作ろう」とプランは立てたものの、当人はDIYスキルが皆無であったため、助っ人を召喚することになりました。彼がいなければ虚無の極地になっていたでしょう。集団プレーの大切さを学ぶ時期でした。ありがたや。
今のところ教育・ワークショップに知見のある方とはご一緒させていただいてるのですが、ハード面の人員がいないため、今後作品を制作する際、建築・プログラミング・料理など異なる専門性をもつ人たちと組んで活動をしていきたく願います。あと活動継続にあたる資金繰りが得意な方(切実)。
特定の誰かとずっと組み続けるのでなくとも、バーという「いる人・場所次第で全く意味性の変わる空間」のように、その都度その都度でメンバーを変えていく形式にしてもいいのではと検討しています。
また、私自身のバックグラウンドを活かすとするならヘルスケア分野にうまく繋げられると強いんですが、パッと思いつくのだとアルコール依存だとか、相性が良いか微妙なんですよね笑
個人的には、最近地域づくりに興味があり色んな土地を探訪する生活を送っているので、この方面でうまく展開していきたいです。より広域でコラボレーションしていくことで世界のあちこちで「NYACKTAIL」という現象を起こしていけたら未来が面白くなると思っていますので、もしコラボや制作依頼がありましたら、お気軽にお声かけください!