「研究×情緒」で大衆的な科学コミュニケーションをつくりたい。
Academimic(旧:Sci-Cology)
「研究×情緒」で大衆的な科学コミュニケーションをつくりたい。
「テレパシーは使えるようになるのか」をテーマに研究を「自分ごと化」
研究とポップカルチャーの融合を掲げる「Academimic」は、2023年3月17日に内閣府ムーンショットプロジェクトの一つである「Internet of Brains」との共催で「『Neu World』キックオフミーティング「テレパシーは使えるようになるのか?~脳研究の最前線~」」を開催しました。
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内閣府ムーンショット型研究開発事業は様々な研究プロジェクトによって構成されており、その中の一つである「Internet of Brains」は「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」を目指して活動しています。
もう少し噛み砕いていうと、頭に思い浮かべた言葉や行動のイメージをアバターと連携させて、誰もが自由でワクワクする新しい世界を目指して日々研究を進めています。
噛み砕けてないじゃないかとの声が聞こえてきますが、その言葉通りイメージしてもらうのが難しいテーマになっています。
実際はアニメや漫画の中で描かれているワクワクするような未来につながっていくのに、言葉や図解で説明すると難解になってしまう、そんなジレンマを抱えていました。
この研究プロジェクトを一般の人に知ってもらうこと(アウトリーチ)を目指して立ち上げたのが「Neu World」です。
研究のアウトリーチというと、研究者が研究に興味のある人たちに対して説明したり、一方的な発信になりがちです。Neu Worldは従来のやり方ではなく、研究者と参加者、そしてクリエイターが研究をもとに一つの作品を作っていき、その過程や作品に触れて感じたことを通して研究を身近に感じてもらうプロジェクトです。
Neu Worldのコンセプト開発やネーミング、ロゴ制作にあたって、プロデューサーや研究者の取材を通して伝えたいことを明確にしていくと同時に、様々な人に伝えていきたいという思いから、従来のアウトリーチにはない雰囲気を追及していきました。
言葉(word)で抜け落ちた隙間をニューロテクノロジーですくいあげ、表現したかった、伝えたかった、実現したかった新しい世界(world)を作っていくことをテキストと神経活動で表現してます。
「クリエイターと組んで研究を作品化する。」
そんな実験的な取り組みを、数多くの実験の場である100BANCHで実施することに意義があると思い今回キックオフイベントを開催させていただきました。
開催にあたり、どこまで行っても知識としか伝わらない研究をいかに自分ごと化してもらうかは大きな課題でした。
また、この研究はエンタメ文脈で語られることが多いですが、コミュニケーションに問題を抱える人に対してサポートになりうるということも知ってほしいという思いがありました。
今回、冒頭で研究の目指す先に共感してもらえるように研究者の実体験をモチーフにしたコンセプトムービーを作成しました。
https://www.youtube.com/watch?v=OwrlrA3gB1g
このムービーから始まったキックオフイベントは60人近くが参加し、Slidoを活用したトークセッションも活発に議論が行われました。
登壇者は研究者の笹井さん、漫画家のQuquさん、サイエンスコミュニケーターの宮田さん。
彼らのトークは研究の目指す未来が遠い先のことではなく、生活と地続きにある日常であることを強く感じられるものでした。
また、高校生や文系の方など普段研究に触れない人たちが、質疑応答やテレパシーという身近なテーマをもとにそれぞれの生活に落とし込んでいるように感じました。
今回のキックオフイベントでの意見をもとにした漫画を、現在Ququさんが制作中です。
その作品をもとにまた、参加者と議論することで知識ではなく体験として研究を感じられるようになっていくと思います。
今後も漫画家、小説家、イラストレーターなど様々なクリエイターと組んで、いろんな角度で作品を作っていきます。
ロジックを重んじる研究と、マジックを楽しむクリエイティブは水と油のような関係です。
しかし、丁寧に混ぜ合わせることで研究に対する楽しみ方や触れ方が広がるように思います。
このプロジェクトを通して少しずつですが、研究者に作家がつく未来が近づけばいいなと思います。