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混ざり合いの中から縁をつなげ、未来に“異彩を、放て。":HERALBONY 松田祟弥(株式会社ヘラルボニー)

これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。プログラムを終えたメンバーは、現在どんな活躍を見せているのでしょうか?

「HERALBONY 」プロジェクトの松田祟弥(株式会社ヘラルボニー)にGARAGE Programでのエピソードや、現在も続く100BANCHとのつながり、ヘラルボニーのはじまりや今後の展望などをお聞きしました。

松田祟弥  株式会社ヘラルボニー代表取締役社長。

1991年岩手県生まれ。双子の弟。小山薫堂率いる企画会社オレンジ・アンド・パートナーズ、プランナーを経て独立。「異彩を、放て。」をミッションに掲げる福祉実験ユニットを通じて、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーのクリエイティブを統括。日本を変える30歳未満の30人「Forbes 30 UNDER 30 JAPAN」受賞。著書「異彩を、放て。―「ヘラルボニー」が福祉×アートで世界を変える―」。

 

知的障害のイメージを変えたい。

「Let It Be」小林覚(るんびにい美術館、岩手県)

松田:私たちヘラルボニーは現在、日本全国の福祉施設でアート活動をされている作家さんとアートのライセンスを契約し、2,000点以上のアートライセンスを扱い、そのアートデータを使った製品などを様々な形で展開しています。

現在、国内外およそ40の福祉施設と契約をさせていただいており、最近ではアメリカやアジアの施設とも契約を結んだり、ディズニーさんとも一緒にアパレルやグッズの製品化をしていたりします。

Disney|HERALBONY

ヘラルボニーは、東京拠点の私と、岩手にいる双子の兄とで岩手で創業し、活動してきました。なぜこのような会社をやっているのかというと、重度の知的障害を伴う自閉症の4歳上の兄の存在があります。親戚から「お前たち双子は兄貴の分まで一生懸命生きろ」などと言われることもあり、居心地の悪さを感じてきました。知的障害そのもののイメージを変えたい、という想いから、30歳までに起業しようと決めていました。勤めていた会社のおかげで私が著作権やIPの経験があったことや、100BANCHとの出会いがきっかけになり、結果的に27歳で創業することになりました。

幼少期、私の家では兄がわーっと騒いだりするため、百貨店や三ツ星レストランのような場所にはなかなか行けませんでした。そのような昔行けなかった場所に積極的に出店していこうと決めており、現在は百貨店を中心に出店のチャレンジをしています。最近ではディズニーさんとコラボレーションすることもできました。知的障害、アートについて私たちが訴えるのではなく、ミッキーマウスが当たり前に語っていくような、そんな日常を作っていきたいと思いながら活動しています。

 

100BANCHのプロジェクト同士から繋がる縁

続いて松田は、当初豪華なメンター陣との向き合い方にとても悩んだという、100BANCH時代のエピソードを話してくれました。

松田:当初、(メンターの)横石さんに採択いただき「いいね。やってみなよ」と言われたのですが、その後一切関わることがなく、「メンターって手取り足取り何かしてくれるわけじゃないんだ」と衝撃を受けました。最初のメンタリングから4ヶ月ほど経ったころに焦り「横石さんに何かしてもらわなきゃ」と連絡をして、ヒカリエへ食事に行きました。そこで「福祉のことはよくわからないけどすごく良い事業で面白そうだから」と色々な方に繋げていただくことができたのです。

横石さんとのランチ後、勝手に「お願い事項」や「実施事項」をあれこれと書いて送ったところ、渋谷区副区長の澤田さんとお会いしプレゼンする機会をいただくことができました。ちょうど、建設現場の仮囲いを美術館にするという事業を立ち上げたばかりで、それを成し遂げるべく澤田副区長を紹介していただきました。そこから東急不動産の方に繋いでいただき、渋谷区の東急不動産の現場仮囲いプロジェクトをやらせていただくことができました。そこから全国107箇所に展開するプロジェクトとなり、本当にうれしい思い出として記憶しています。

当初いただいたお話では、20メートルほどの設置でしたが「最大どれだけ設置できますか?」と確認をして、自腹で40メートル、合計60メートルの仮囲いの設置をしました。なぜ自腹でやったのかというと、やはり初動が大事だからです。松下幸之助さんの本にも、自転車用ランプが普及してないときに1万個を販売店に無料で提供するという話がありますが、私は一発目のローンチは身銭を切ってでも華々しくやることが重要だと思っていたので、40メートル分は自腹で設置しました。

他にも、横石さんがメンターをされていた「Paper Parade」(当時Papertype)というプロジェクトでへラルボニーのロゴマークを作っていただき、今現在も一緒にお仕事をするパートナーとしてお世話になっています。

このように、100BANCHに入居しているプロジェクト同士から繋がる縁もありますね。

 

「渋谷文脈」としての、100BANCH

100BANCHでの縁から、活動を広げていった松田。他の観点でも100BANCHが活動の後押しとなったそうです。

松田: PR観点でも100BANCHのパワーを感じます。やはり渋谷の文脈は非常に強く、スタートアップにはありがたい機会でした。例えば、日本財団と渋谷区が一緒に行っている「SIW」というイベントでは、渋谷区で活動しているということで、イベント登壇をさせていただけました。東急不動産さんとの仮囲いの空き区画を美術館にしていく企画でも、「渋谷区のスタートアップとの共創」という観点から実現ができました。渋谷区は非常にスタートアップに寛容なエリアで、長谷部区長も100BANCHを応援してくださっていますし、様々な可能性が広がっています。

 

推進力となる、パナソニックの力

松田:また、やはりパナソニックさんが主催しているパワーも感じています。私がイベントで「こういう未来を描いてます」と、まだ何にもない状態、何も実装されてない状態で未来の話をしていたときに、それを聞いてくださった「Panasonic Laboratory Tokyo」で新オフィス改装プロジェクトのリーダーをやっている方から「面白いね」とリアクションをいただくことができました。そこから100BANCHオーガナイザーの則武さんにお繋ぎいただき、パナソニックのオフィスの壁紙やクッションなどを手がけさせていただきました。

これが創業半年目のタイミングでしたが、私たちにとっても非常に転機となるプロジェクトになりました。大企業にようやく振り向いていただきとてもありがたいことでしたが、この場所100BANCHの採択プロジェクトだから、パナソニックが応援してくれているから、という背景があったと思います。一度このような機会をいただけると、それをきっかけにどんどん進んでいくことを実感できたありがたいお話でした。

 

迷惑?挑戦?分け隔てなく横の声が聞こえる100BANCH

松田:すでに退いてはいますが、私は「未来言語」というプロジェクトの共同立ち上げもやってきました。100BANCHの4プロジェクトが一緒になって、「見えない、聞こえない、話せない」をカードゲームにするプロジェクトを実施しました。第1回目のナナナナ祭でワークショップをやったところ、そこからトントン拍子に進み、 パナソニックさんのオリンピック・パラリンピック企画の一環でワークショップをやらせていただく機会にも恵まれました。

吉本興業さんにもご協力いただき、次長課長 河本さん、ゆりやんレトリィバァさん、麒麟 田村さんなど著名な方に来ていただき、見えない・聞こえない・話せないを体験してもらいながら「笑いの未来言語」をやりました。集まった100BANCHの4プロジェクトは、難民の方に日本語を教える「NIHONGOプロジェクト、手話をコミュニケーションツールとした謎解きゲームを提供する「異言語Lab.」プロジェクト、触れる点字の「Braille Neue」プロジェクト、そして私たちHERALBONYで、「みんなで知恵を出し合ったらなにかできるかも?」と話していくうちに、「じゃあカードゲームするか」とノリではじまって、ノリでイベントをやって、大成功にたどり着いたという形でした。その中で自分自身も多くの気づきや学びがあり、とてもありがたい機会を得られました。

100BANCHは、副業としてやっている人もいれば、フルコミットしている人もいます。また、区画がないため、「なんかこの人、めちゃめちゃクライアントに詰められているな」「キレられてるな」「すごい謝罪してるな」「どうして株式会社じゃなくNPOでやってるの?」「どうしてNPOじゃなく個人事業主でやってるの?」など、みんなが混ざり合って分け隔てなく横の声が聞こえる環境であることが一番刺激的でした。自分がモヤモヤと迷っているときでも、100BANCHにはいろんな人たちがいて、たくさんの選択肢を見た上で、自分たちの未来を選択できたことが、一番ありがたいことだったと思っています。

 

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