• イベントレポート

100年先の未来を描く6プロジェクトが登壇 2022年11月 GARAGE Program実験報告会

これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。3カ月目の現役活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会を実施しています。

2022年11月の実験報告会には、6プロジェクトが登壇。活動の報告と今後の方針や展望について発表しました。

Rulie

クリーン×カワイイ化粧品 人も環境も社会も美しい未来を創造する

登壇者:児玉 英里

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/Rulie

「Rulie」は、肌にも環境にも社会にも優しくカワイイ化粧品を作ることで、社会問題に興味はあったけれども行動に移せていない若者に大きなインパクトを起こそうというプロジェクトです。

児玉:100BANCHに入居してから9月にクラウドファンディングを実施しました。500万円の目標金額には届かず85%の達成率でしたが、267名の方より425万円という大きな金額をご支援いただき本当にうれしかったです。10月はそのリターンやお礼といった対応をしながら次の目標設定や組織の再編成を行い、11月にはここ100BANCHでRulie体験会を行う予定です。100BANCHでは大きな実験を二つ行いました。一つ目は私なりの組織の作り方を模索したことです。入居する前は組織作りをやるとは思っていませんでしたが、いまでは多くの仲間がいます。その仲間とクラウドファンディングをやっている際中、意思疎通がとれなくなり、精神が崩壊しそうになってしまいましたが、メンターの鈴木敦子さんに相談し、責任者を複数つくるなどで乗り越えてきました。二つ目の実験は外部への発信です。クラウドファンディングの実施以外にもEXPOに呼んでいただいたり文化祭に出展したり、毎日インスタライブをやってみたりと外部との交流をいろいろと体験できた3ヶ月でした。「こんな化粧品が欲しかった」というような声をいただき自分自身のモチベーションにもなり、私たちの存在意義を言語化することにとても繋がったと思っています。

     

「自分たちが若者でありゼロイチでやっているからこそいろいろと型破りなことができ、若者を巻き込んでいけるところが強みだと思っています。これからの化粧品がどうあるべきかを問題提起し、まわりを巻き込んでいくことでクリーンビューティーを広めていきたいと思っています。」と児玉は話しました。

 

RINGO PAY

電子マネー時代の財布ファッションブランドをつくりたい

登壇者:高橋 良爾

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/ringo-pay

「RINGO PAY」は電子マネー時代の財布を、非接触ICカードをつかって、ファッショナブルで100年先まで続く電子財布のスタンダードデザインを作るプロジェクトです。

高橋:100BANCHでは、決済リングの製造、販売やコラボなど販路の開拓、インスタやBASEなどECの開設という目標を掲げて活動してきました。決済リングの製造については、様々な企業に手紙を書いて連絡した結果、協力してくださる企業様が見つかりました。既存の製品は紙製だったので防水加工ができていませんでしたが、町工場の方にご検討いただいて防水チップにすることができました。現在は製品の性能や要件を満たしているかのチェックで時間を要していますが、1月の初旬にチップが完成する見込みです。販路については販売やコラボに向けていろいろな企画に積極的に応募しました。インキュベイトファンドさんから投資のお話があったのは、本当に100BANCHのおかげだなと思います。12月からは金型代の調達のためにグリーンファンディングでのクラウドファンディングをスタートする予定で、それに合わせて二子玉川の蔦屋家電での展示もさせてもらえるので、そこからも販路が切り開けるのではと期待しています。ECについては、インスタグラムやBASE、Shopifyで販売できるよう準備ができました。

「今後を見据え、LINEを開設し、ShopifyとInstagramの連携も行いました。ぼく個人のInstagramのショップからRINGO PAYが買えるようになりますので、よかったらフォローしてください。」と高橋は話しました。

Instagram:@ryojitakahashi.make

 

CACTUS TOKYO

ファッションブランドを媒介に人と自然や社会が繋がり、共生する文化を育てていく

登壇者:熊谷渓司

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/cactus-tokyo

「CACTUS TOKYO」は、サボテンレザーの革小物ブランドをたたき台に採用し、「サーキュラーエコノミーを実現する事業の構想」と「それを社会に実装するための、顧客目線で価値あるサービス設計」を探求するプロジェクトです。

熊谷:「衣類などに比べ、レザーはリサイクルの話が全然進んでないな」という課題から、100BANCHではユーザー体験をうまく設計してサーキュラーエコノミーを作れないかを考えてきました。リサイクルするとき、例えば財布の場合は革と金具と裏地という異なる原料で出来ているものを分解する必要があります。この分解の工程をエンターテイメント体験としてユーザーを巻き込めないかと考え、プロトタイプづくりなどをしました。しかし結果的に、ユーザーのニーズが全然なく成り立たないことが分かり、方向を変更しようという結論になりました。そこで後半は、財布やカバンなどレザー製品のブランドにユーザーが求めていることは何か、インサイトを深掘ってきたのですが、まだ出口がしっかり見えていなく、次の3ヶ月で探求したいと思っています。

「いま、都会の人の生活と自然の境目がとても明確になっているので、その境目が繋がるようなブランドを作れたら、人と自然の境界線が溶けていって問題が解決に向かうのではないかと感じています。環境に優しい選択がもっと自然に意識されるようになればとてもいいなと思っています。」と熊谷は話しました。

 

Online Yomikikase YOMY!

いつでもどこでも最高のコミュニケーションを。対話型オンライン読み聞かせYOMY!

登壇者:安田 莉子

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/online-yomikikase-yomy/

「Online Yomikikase YOMY!」は、オンラインでインタラクティブな絵本の読み聞かせ体験の提供を通じて、子どもたちの考える力、伝える力などを伸ばし、その可能性を広げていこうとするプロジェクトです。

「100BANCHにいる間にすごい勢いでサービスのブラッシュアップをしてきたので、皆さんに見ていただけたらなと思いピッチを用意してきました。」と安田さんは YOMY!のサービス説明のピッチからスタートしました。

安田:この中間報告までに、事業案の壁打ち、出版社との協議、アプリの再設計、教育的価値の発信、保育園、公教育でのヒアリング、グループ読み聞かせなどを行ってきました。その結果から一番必要なのはミニマムでサービスを開始することだと判断しました。そこで、11月のプレサービス期間に有償でサービスを利用してもらうこと、YOMY!の教育的価値をわかりやすく発信して保護者の心をつかむこと、という二つを後半の目標として定めました。11月2週目からサービスを開始した結果、現在有料会員が2桁になりました。TwitterやInstagramで宣伝をしている中で、読み聞かせをしたいけれども難しい、というお母さんが検索で探してきてくれていることがわかるなど、とても学びの多い期間でした。

「これから3ヶ月、100BANCHでの活動を延長させていただきます。そこでいろんな人にアプローチを広げ、もっと子育て世代に届けていきたいと思っています。春のローンチを目指して実装していきたいです。」と安田は話しました。

 

Blined Project

楽しさの垣根のない場所をつくることで、障害を生み出さない社会を目指したい

登壇者:浅見 幸佑

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/blined-project

「Blined Project」は「視覚障害のない人と視覚障害のある人の分断」という課題に取り組み、障害者も健常者も横並びな「Be Lined な社会」を実現していこうとするプロジェクトです。

浅見:これまで「分断」に着目してきましたが、多くの方々にアプローチする中で、ある程度福祉に興味がある人にはリーチしやすい一方、そこに興味がない人や「障害者」に対する思い込みにとらわれてお互いのありのままを受け入れることができない人が多いことが分かりました。その部分に取り組もうと考えディスカッションし、「楽しさを入り口とする障害の理解」が大事なのではないかと仮説を立て、大学生向けイベント企画と、社会人向け企業研修の二つの実践をしてきました。この3ヶ月間で471名の方々に体験していただき、毎週のようにイベントにも参加しました。結果、大学生向けイベントではいろいろ工夫した点がありいい感触が得られました。また、興味のない層に届けるにはどうしたらいいかということで実施した企業研修のワークショップでも、とても良い感触が得られたので、Garage Program を延長してさらに実験をすることになりました。

「次の3ヶ月では商品化と法人化をメインで行いつつ、企業研修や大学生向けイベント、グラマ体験会の開催も引き続きやりながら、視覚障害の世界をハックして、視覚障害の世界により彩りを作っていくことにフォーカスしていきたいです。」と浅見は話しました。

 

Academimic(Sci-Cology)

「研究×情緒」で大衆的な科学コミュニケーションを作りたい。

登壇者:浅井 順也

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/academimic-sci-cology

Academimic(Sci-Cology)は、研究者が提供したテーマをもとにクリエイターが作品を作って公開し、研究をエンタメとして伝え、科学とは縁遠い一般の方々に科学の一端が触れる仕組みをつくるプロジェクトです。

浅井:みなさんが研究に持っているイメージはどんなものでしょうか。まったく面白い印象がないかもしれませんが「宇宙怖い」「脳って不思議」など、エモーショナルな原体験を各自持っているのに忘れてしまっているのではないかと考えています。そこで我々はアカデミックがエンタメに擬態したらどうなるかという作品づくりをこの半年間取り組んできました。例えば「往復効果」という、行きより帰りの方が時間が短く感じる心理現象が論文にありますが、これをデートの行き帰りで感じる時間の変化として捉えるとしたらとてもエモーショナルなものになるのではんと思い作った「リターン トリップエフェクト」という作品があります。また、食べちゃいたいくらいかわいい、「cute aggression」という衝動についての論文があるのですが、バイオ肉の技術向上により実際に人肉が食べられるようになった未来の小説化もしました。活動の集大成として、作品のウェブサイトもつくりました。このような形で各研究にそれぞれクリエイティブのある世界があると素敵なのではないかと思っています。

「今後も作品を制作していきますが、マネタイズが課題です。最終的に研究者がクリエイターにお金を払って作品化してもらい、「この研究いいね」と作品を見た人から研究者にお金が流れるしくみをつくれたらと考えています。」と浅井は話しました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。

Rulie  https://www.youtube.com/watch?v=LDD6MXrzd0Q

RINGO PAY  https://www.youtube.com/watch?v=le7mk10-brw

CACTUS TOKYO  https://www.youtube.com/watch?v=EHWxSBdDjf8

Online Yomikikase YOMY!  https://www.youtube.com/watch?v=GGKsZng8Bgk

Blined Project  https://www.youtube.com/watch?v=4lPj12Ddo1w

Academimic(Sci-Cology)https://www.youtube.com/watch?v=BgHAXFOhg1E

報告ピッチ後は、各プロジェクトの登壇者とイベント参加者が輪になり、質疑応答や意見交換、今後のビジョンなどを語り合いました。

※登壇・集合写真の撮影時のみマスクを外しています

 

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