- イベントレポート
「好きな服を好きなだけポケットに詰め込んで宇宙旅行に行ける」 服を手のひらサイズにする圧縮技術の実験
これからの100年をつくる、U35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」。3カ月目と活動期間終了のタイミングで、どのような実験を行ってきたかを発表する実験報告会とメンタートークを実施しています。
2022年4月の実験報告会には、メンタートークに株式会社HEART CATCH 代表取締役/プロデューサーの西村真里子さんが登壇。ご自身が最近追いかけているWeb3やブロックチェーンといったテーマを踏まえながら、100BANCHの魅力について語りました。
西村:株式会社HEART CATCHの西村真里子と申します。日本や海外で新しいことを起こそうとするような企業、個人、あるいはスタートアップ等の方が「もっと新しい繋がりが欲しい」という時に相談を受けて一緒に成長していったり、クリエイターやアーティストの方も新しく企業などと繋がりができてうれしい、みたいな。そういう人と人をつなげるような取り組みを行っています。
西村さんのプロフィール
国際基督教大学卒。日本アイ・ビー・エムでITエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、アドビシステムズでフィールドマーケティングマネージャー、バスキュールでプロデューサーを経て2014年に株式会社HEARTCATCH設立。ビジネス・クリエイティブ・テクノロジーをつなぐ“分野を越境するプロデューサー”として自社、スタートアップ、企業、官公庁プロジェクトを生み出している。2020年には米国ロサンゼルスにHEARTCATCH LAを設立し、米国でのプロジェクトも進めている。
肩書は「代表取締役/プロデューサー」ですが、西村さん自らは「ポリネーター」とも名乗っているそうです。
西村:「ポリネーター」というのは「蜂が授粉する」みたいな意味です。私は企業やスタートアップ、クリエイター、アーティストなど、すごく熱量を持ってらっしゃる方々のところにブブブーンっと飛んでいって、そこでちょっと素敵な花粉をもらって、それをまた別の方に繋げることでまた花が開くとか蜜ができる、みたいな感じで、自分が蜂であるといったメタファーで活動しています。
100BANCHでのメンターも務める西村さんですが、その100BANCHの中でのメンバーの活動は、ご自身が興味を持ってウォッチしているNFTやWeb3の流れと近しいものがある、と感じているそうです。
西村:私は、テクノロジーの進化みたいなことが大好きで、最近だとNFTとかWeb3に関する海外のカンファレンスに行ったり、自分自身もDAOといわれる分散型の組織に入っています。
最初は、元々の自分のキャリアの中の一つであるデジタルクリエーションってところが価値化できる点が面白いなと思ってNFT好きになったんですけど、そこでどんどん面白くなってたのがWeb3とかブロックチェーンの分野なんです。
この分野では、デジタル資産を買う私みたいなコレクターだけじゃなくて、その資産は価値があるよっていうふうに盛り上げる、100BANCHみたいなコミュニティが Discord の中で起こっていて、それがすごく面白いなと思ってます。
例えば村上隆さんみたいな元々有名な方がNFTの世界に入って行くと当然盛り上がります。だけど、有名でない方もデジタルの中で人々が繋がれるようなおもしろいしかけを作ると、それだけで盛り上がる、というのがNFTの世界で起きているんですよね。
100BANCHも、1人の主役でやるんじゃなくて、みんなが一緒に助け合ったりとか盛り上げたりとかしながら成長していくってところが、これからのWeb3型にも近いのかな、なんて思っています。
今まで私達は、大企業に対してトップダウンの流れで動いていました。でも、ブロックチェーンの世界って、トップダウンの動きだけじゃなくて横同士のつながりで、その中の誰か1人が承認したら、その人が安心して活動できる。
100BANCHでも、例えば、私がメンターをしている滝本さん(The 21st century da Vinci)を面白いと思って信頼してるから、彼はここに来て、みんなで彼の挑戦を見守ろうという空気ができている。すごく優しい世界ですよね。
同じようなことがブロックチェーンおよびWeb3の世界でも起きてるんです。だから、100BANCHが、このWeb3型の動きの一つのモデルになるかも、みたいな考えでみんなに広めていくのもアリなのかな、と思っています。
西村:ここにいらっしゃる方にはスタートアップの方も多いと思います。スタートアップにとって会社を大きくすることも大事なんだけど、それだけじゃなく、小さく回していく、小さな実験を繰り返したり、小商いでもいいから、とにかく自分でやってみる、ということが大事だと思っています。
私は、企業に向けてアート思考のワークショップみたいなこともやっています。どういうことかというと、やっぱり企業の中にいると過去のルールや上司が作ってきたものとかで、「本当は違うのに」ってモヤモヤ思うことがあっても、結局今までのルールからブレイクスルーできないことがあったりします。
このアート思考のワークショップは、フランスのビジネススクールで行われている「インプロバブルワークショップ(インプロバブルとは「ありえない」という意味)」から私が学んで日本でも展開してるものなんですが、その中身は、アーティストと共にビジネスマンのところに行って、パワポやKeynoteのプレゼンじゃなくて、とにかく物を作ってもらう。自分のやりたいことを3日間で作品にして表現してもらうんです。
例えば、「サステナビリティ」を言葉で伝えるのではなく、燃やしたプラスチックを嗅がせて「本当に私が嫌なのは、このプラスチックの、この匂いが嫌なんだ」というように、自分の思っていることをテキストではない形で表現してもらっています。
企業に対して新しいクリエイティブやイノベーションを提案するのも大切なんだけど、でもそもそもは、こういうプログラムがなくても、自ら実験してみようとか、できるような形になっていくのが本当に気持ちの良い社会だな、と思っています。
会社の立ち上げ、大学での非常勤講師ほか、様々な活動をされている西村さんのこれまでの転機について伺いました。
西村:いくつか転機があるんですけど、自分の会社を興したところが一番わかりやすいですね。私は最初はIBMのエンジニアとして勤めていて、その後、Adobeでマーケターをやり、クリエイティブプロデューサーをやっている中で、自分の力でゼロからブランドを作ってみたいと思ったんですね。それが「HEART CATCH」というブランドです。
それまでは、例えばAdobeとか、誰かが作ったブランドの中で活動していたんですが、せっかく今までいろんなものを培ってきたので、何か自分でブランドを作りたいという欲求が出てきて、その欲求に素直になってみようと思って起業した、というところが大きな転機ですね。
本当に欲求の赴くままに、とにかく面白いなと思ったところには、その段階で自分のスキルがなくても入っていく、というものがすごく大事になるのかなと思ってます。
実は今、スタートアップの立ち上げというか、アメリカ人の共同創業者と一緒にはじめているものがあるんです。私も海外に行ったりとかして英語はしゃべれたんですが、スタートアップのCo-Founderとしてやるほど英語ができない、と思っていました。
でも、「やりたい!」という気持ちでやっていると、英語もどんどん上手くしゃべれるようになってるんですね。最初は共同創業者にはちょっと迷惑をかけていたかもしれないけど(笑)。
チャンスだなと思ったら、自分のスペックが足りないと思っても、「テイク!」とか「チャンス!」みたいにそれをつかむのが、転機を迎えるためにはすごく大切なのかなと思います。最初は怖いとおもっても、どんどん自分の成長が楽しくなってくるので、自信がなくても、ビビッときたらやる方が、すごく自分の心に素直でいられますね。
西村さんは、自分が不得手な分野を担ってくれたり、一緒にできる仲間ができたときに「やりたい!」という気持ちが湧いてくると話します。その自分がやりたいことについての仲間づくりにおいて、どうしたらよいか、という点についても話してくれました。
西村:とにかく数を重ねる。そういう人がいそうな場所に実際に行くことです。誰かが探してきてくれたりとか、求人サイトとか、でも、見つかるかもしれませんけど、自分のチームメイトやパートナーなので、やっぱり自分で足を運んで、そこで出会った人の方が絶対確実なんです。
私は元々はIBMのエンジニアだったんですが、そろそろちょっと違うキャリアで働きたいなって思ってたときに、飲み屋でマクロメディア(後にAdobeが買収)の部長さんに偶然出会ったんですよ。
そこで「そろそろエンジニアをやめてマーケティングがやりたくて……」というような話をしていたら、「いま、募集してるみたいなので、ウチに来る?」と言ってくださったところから、面接などに繋がっていったりして。
だから、本当に自分が思ってることはとにかくいろんなところで話し続ける、というのが、すごくチャンスというか自分の転機を作ってくれていますね。
最後に、会場の100BANCHのメンバーから質問として挙がった「西村さん自身がどういう行動原理、ビジョンで人生を楽しんでいるか?」という質問に答えてくれました。
西村:ビジョンみたいなかっこいいものがあるわけではないんですよ。ただ、やっぱり私自身が新しい物好きだったり、ミーハー、というところもあると思うんですが、自分がちゃんとワクワクしていられるような形だったり、自分が情報を取りに行けるような形だったり、情報が入ってくるようなポジションをちゃんと作っていくっていうのは、けっこう大切にしています。
そのためには、例えば、海外に行くにも語学は必須だし、経済的なものも必要だし、だったら仕事をちゃんとしなきゃいけないし、とか、自分がやりたいことのためにいくつか積み重ねていく、みたいなところがあります。
ビジョンというか、とにかく新しい情報や自分自身が学びたいと思うことを、常にその欲求を満たしていられるような自分でいたい、っていうのがありますね。それが私の行動原理です。
(撮影:鈴木 渉)
GARAGE Programの成果報告ピッチレポートはこちら
100年先の未来を描く5プロジェクトがピッチ!
5月実験報告会&メンタートーク:高宮慎一(グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)パートナー/Chief Strategy Officer)
日時:2022年5月26日(木) 19:00〜21:00
無料 定員100名
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※ZOOMウェビナーでの開催になります。
Peatixの配信観覧チケット(無料)に申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
https://100banch2022-05.peatix.com
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『実験報告会』は100BANCHの3ヶ月間のアクセラレーションプログラムGARAGE Programを終えたプロジェクトの活動ピッチの場です。
また毎回100BANCHメンター陣から1人お呼びし、メンタートークもお送りいたします!
今回のゲストはグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officerの高宮慎一さんです!
【こんな方にオススメ】
・100BANCHや発表プロジェクトに興味のある方
・Garage Programへの応募を検討されている方
【概要】
日程:5/26(木)
時間:19:00〜21:00
参加費:無料
参加方法:Peatixの配信観覧チケット(無料)に 申し込みをいただいた方に配信URLをお知らせします。
【タイムテーブル】
19:00〜19:15:OPENNING/ 100BANCH紹介
19:15〜20:00:メンタートーク
・高宮慎一(グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officer)
20:00〜20:45:成果報告ピッチ&講評
登壇プロジェクト(現役)
・farmatería:雑談からはじまる“対話”と“つながり”の医療を『日常』へ
・Post-Graffiti:落書きを犯罪として無視するのでなく、その魅力を体験し、街の見方を変える
・DELIVERY DRAWING PROJECT:ギグエコノミーの実態と私たちが生きる社会に、美術作品を通じて問いを投げかける
登壇プロジェクト(延長)
・STREET ART LINE PROJECT:アートでつなぐ、視覚障碍者の新たな道。
・MOCK-PLAMO:プラモの様に手軽に、楽しく、カスタマイズできる国産木製家具キットをつくりたい
20:45〜21:00:質疑応答/CLOSING
【メンター情報】
高宮 慎一
グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP) パートナー、Chief Strategy Officer
プロフィール
GCPではコンシューマ、ヘルスケア領域への投資担当。Forbes 日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング 2018年1位、2015年7位、2020年10位。東京大学経済学部卒、ハーバード大学MBA。投資先には、メルカリ、アイスタイル、ナナピ、ランサーズ、ミラティブ、ファストドクター、グラシア、アルなどがある。