VR×Space Education Project by Yspace
宇宙×VRで、新しい教育の形を実現します。
「VR × Space Education Project by Yspace」プロジェクト(法人名:合同会社Yspace)は、ナナナナ祭2020でZoomを用いたオンライン宇宙教室「親子で宇宙の冒険に出かけよう!」を開催しました。
2020年7月25日、26日、8月1日、2日の4日間で全10回開催したオンライン宇宙教室の様子を、プロジェクトリーダーの木村亮仁がレポートします。
私たちのプロジェクトは元々、VRを使って子供たちに宇宙の不思議を擬似体験してもらうことで、宇宙や科学を好きになるきっかけを提供していました。
2019年8月の宇宙教室の様子。子供たちは夢中になって宇宙VRを体験中
しかし、2020年3月ごろからは新型コロナウイルスの影響で、今まで行なってきたようなリアルな場での宇宙教室を開催することが難しくなってしまいました。
全国の科学館などの施設も通常営業ができなくなる中で、一体どうすれば子供たちの世界を広げてあげられるのか。Yspaceが辿り着いたのは、VRを使わないZoomを用いたオンライン宇宙教室でした。
Yspaceは2020年4月末〜6月頭にかけて、延べ100名以上の小学生にオンラインで宇宙教室を提供することに成功し、教室開催後のアンケートでは嬉しいメッセージもいただくことができました。そこで、今回のナナナナ祭ではこのオンライン宇宙教室をさらにバージョンアップさせて実施することに。
従来のオンライン宇宙教室では、参加してくれた子供たちの手元に形として残るものはありませんでしたが、ナナナナ祭では「宇宙の魅力が詰まった絵本」をお届けすることにしました。絵本の内容は、私自身が小さい頃に出会ってワクワクした宇宙のお話や、最新の宇宙開発の動向をひとつの物語としてまとめたもの。
読み手と同じくらいの子供がこの物語の主人公です。夢に突然、宇宙の案内人が現れ、その子供の好奇心に答える形で宇宙を案内していきます。はじめは世界の始まりに興味があった主人公は、案内人の話を聞いているうちに次から次へと興味が広がっていき、宇宙人の話などにもつながっていきます。
A5サイズで全20ページ。男女問わず親しんでもらえる絵本ができました イラスト:庭野里咲
宇宙の案内人は主人公に対して、5つのお話をしていきます。
子供たちの想像力を引き出すことを目標に、教科書のような説明は一切入れていません。宇宙教室が始まる前は宇宙への想像や好奇心を膨らませてもらい、教室の後は授業の復習にもなるような絵本を目指して作りました。
今回のイベントの一番の狙いは、絵本と1時間の宇宙教室を通じてより多くの子供たちに宇宙に興味をもってもらうことでした。
イベントでは、絵本の物語に沿って、その内容を深掘りする形でお話ししていきました。
例えば、「4. 宇宙の生き物探しをするロボットたち」では、これまで実際に開発され他の惑星に送られた探査機を紹介をしたり、ナナナナ祭の期間中に打ち上げられたばかりの火星探査機の話を織り交ぜたりすることで、みんなが生きている現実の世界と絵本のお話が交差していることを伝えました。
話の途中で、「宇宙のはじまりって、どのくらい熱かったと思う?」「お星さまって、ぜんぶでいくつあるかな?」など、クイズもこまめに入れながら進行。子供たちの想像力を刺激するようなクイズを出すことで、授業に飽きずに最後まで積極的に参加してもらえるよう工夫しました。
絵本やクイズで想像を膨らませてもらった後は、実際の星や探査機の写真を見てもらいながらより詳しいお話をしました。それにより、子供たちの好奇心を効果的に引き出すことができたのではないかと思います。
また、それぞれのトピックのお話をした後には必ず「質問コーナー」を設けて、子供たちが気になったことにその場で答えてあげられるようにしていました。
子供たちからは次のような様々な質問が飛び出しました。
「太陽はどのくらい熱いんですか?」
「月まで車で行ったら何時間かかりますか?」
「どうして人は火星に行かないんですか?」
「宇宙に行きたいです。将来は宇宙に行けますか?」
どの質問にも子供たちの好奇心や思いが詰まっていて、どうやって答えたらもっと興味を持ってもらえるんだろう、とその場で考えながら答えるのが本当に楽しかったです。
イベントの集客には苦戦しましたが、参加してくれた子供たちがたくさん質問してくれたり、目を輝かせて話を聞いてくれたりする様子を見て、実施して良かったとほっとしました。
オンライン宇宙教室の様子
初めてYspaceの宇宙教室に参加してくれた子供の親御さんからは、イベント後のアンケートで「宇宙を好きになる入り口になりそう」というお声をいただくことができました。
また、以前からYspaceのオンライン宇宙教室に参加してくださっている子供の親御さんからは、「遠隔でも、画面上で一緒に参加している子供たちと同じ本が手元にあったことで『一緒に授業を受けている』感覚が強くなって良かった」というお声もいただきました。
Yspaceは、新型コロナウイルスの影響がなければ、今回のようなオンライン授業にも絵本作りにも挑戦しなかったと思います。従来のVRを使った宇宙教室ができなくなったからこそ、他の方法でアプローチできないかと考えられ、結果、最新の技術を使うVRとは真逆の「絵本」にたどり着くことができました。
これまで宇宙教室で使用してきたVRは、実際に宇宙を擬似体験することができるので、これまでにない学習効果が期待できます。しかし、子供たちが早い段階でVRを体験してしまうと、想像力を働かせる余地は少なくなってしまうかもしれません。一方で、絵本は子供たちの身体的な感覚を伴った体験をさせてあげることができない代わりに、想像力をフル稼働してもらうことができます。
「好奇心を引き出して伸ばす」ことをより効果的にするには…
①絵本のような想像力を駆り立てるもの
②実際の体験(宇宙のように体験が難しいものはVRなどを使用)
この2つをうまく組み合わせていくことが重要なのだと考えるようになりました。
「絵本 × オンライン宇宙教室」のイベントに挑戦したことで、新しい発見を得ることができた、今回のナナナナ祭。
今後もYspaceは小学校の先生方、学校の内外で科学教育を推進されている方、オンライン教育などの新しい仕組みづくりをされている方々と協力して、宇宙教育を盛り上げていきたいと思っています。
■関連リンク
合同会社Yspaceのホームページ
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科学キットとオンライン授業を通して、子どもたちを取り巻くあらゆる環境に左右されない、科学の面白さに触れるきっかけをつくりたい。
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ただ聴くだけでなく耳で聴いたストーリーを自分の頭の中でイメージすることで、想像が膨らむ落語。最年少落語家の桂枝之進さんとともに、耳から聞いた落語をプログラミングを用いて自分なりに表現する、未来の落語の楽しみ方を提供したい。