EVENT REPORT

2020.08.20 Thu

ろう者(耳が聞こえない者)が持つ視覚言語の力が、オンラインコミュニケーションに新たな可能性をーー実験版!異言語脱出ゲーム「リモートDEお化け退治大作戦」

  • #ナナナナ祭2020

  • #COMMUNICATION

  • #ダイバーシティ

異言語Lab.は異なる言語を使用する者同士から生み出されるコミュニケーションの試行錯誤、ひとつひとつの言語の魅力を探り合い、新しいコミュニケーションのカタチを提案していくラボラトリーです。
手話を第一言語とするメンバーで構成され、ろう者(耳が聞こえない者)・難聴者と聴者が共に協力し合いながら謎解きをする異言語脱出ゲームを企画・提供しています。

INDEX

リモートでのやりとりが当たり前になったwithコロナ時代、リモートでのコミュニケーションに対し、様々な声が寄せられています。聴者は周囲の雑音を避けるために、気を使って、ミュートにするので、話者は反応が聞こえず、孤立を感じ、不安になると聞きました。
「自分の顔を直接見るのも慣れず、恥ずかしい。」
「リモートでやり取りをするのは難しい、苦手だ」と嘆く方も多数います。

しかしろう者はコロナ以前から、テレビ電話を活用し、直接、相手の顔を見ながらやり取りをする習慣があります。異言語Lab.メンバーと会議をすると、視線、表情、頷き、身振り、手話、様々な視覚コミュニケーションが画面上に目いっぱい生まれてきます。

 

リモートでのやり取りが当たり前になり、「見る力」があるというろう者ならではの強みに改めて気づきました。リモートでも相手の顔を見れば、「この人は今、別のことに気持ちが向いていて集中してない」、「この人はこれから私の話を聞こうとする準備ができている」ということを、瞬時に感覚的に掴むことができるのです。
何よりも、ろう者が画面上で織りなす視覚コミュニケーションは、音声言語以上に、画面越しで相手を”分かろうとしている”、”伝えようとしている”、”繋がろうとしている”ということが伝わりやすいと感じたのです。

 

ろう者にとっては当たり前の手段でしかない視覚コミュニケーション。聴者にとってダイレクトにも感じるそれは、彼ら・彼女らにとっても一種の安心感を与える効果があるのでは、とも思いました。
リモートかつ音声が遮断された状態で、視覚コミュニケーションだけでやり取りを交わす。それをゲームに落とし込めたら…と思いつき、制作したのが、実験版!異言語脱出ゲーム「リモートDEお化け退治大作戦」です。

 

 

2020年4月から構想・ストーリーを練り、5月末に「ろう者と手話を知らない聴者が共通のミッションを達成しなければならないという制約条件を設ければ、視覚コミュニケーションを取り合うことができる」という仮説を立て、実験公演と修正を何度も重ねていきました。

 

そして迎えた本公演。参加者がZoom上に集まりました。初っ端からホワイトボードを手に持ち、何か書いて伝えようとする参加者もいたほど、ろう者役者との関わりを楽しみにしてくれる方も多くいらっしゃいました。
ゲームが始まると、そこで交わされるろう者役者のサインの一つひとつを見逃さない!と参加者は画面に釘付け。音声が使えないという極限の状況で、聴者がろう者役者に伝える為の手段とその発想がなんと面白いことか。

 

ろう者役者が交わす視覚コミュニケーションの「手話」をなんとなく理解し、頷きや身振りで反応する。「えぇぇ、、、この手の動きは、、、?!分からない、分からない、もう一度お願い!‥‥ああ!!分かった!!○○○ね!」と、「分からない」の連続が、「分かった!」の瞬間に切り替わるのが、異言語脱出ゲームの醍醐味です。
最初は人任せだったチームもゲームの終盤になると、全員が視覚コミュニケーションで一斉に伝えようとする姿も見もの。

音声と視覚、どちらかの言語だと、マイノリティに立つ側は、話が分からなくその場では笑えなかったり、後から情報を教えてもらいながら、合わせて笑ったりして、孤立感を覚える場面が多いのですが、この異言語脱出ゲームでは、異なる者同士が向き合うことで生まれる笑いで溢れていました。

 

 

参加者からは「みんなと一緒に試行錯誤しながらわちゃわちゃやるのが面白かった。」
「異言語が故に画面を見ることが多くて、オンラインに向いていた。」
「隣にいた子どもが興味深そうに笑いながら見ていた。子どもにも体験させてあげたい。」と感想を寄せてくださいました。

 

また、多くの脱出ゲームを攻略するプロフェッショナルたちからも「謎解き要素は少なめだったが、体験型ゲームとして面白かった。コミュニケーションの大切さを感じた。」と言っていただけました。 
実験版!異言語脱出ゲーム「リモートDEお化け退治大作戦」を体験してくださった多くの方々のご意見と私たちの反省点を一つひとつ丁寧に改善し、一般公開化に向けてブラッシュアップしていきます。リモートならではの異言語なエンターテイメント空間を、よりパワーアップさせて提供していきます。

次回開催する時には、もっとたくさんのお化けを退治するため、みなさまのご来場をお待ちしております。

 

■関連リンク

異言語ラボ:http://igengo.com/

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(レポート執筆中!)

 

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WRITER

IGENGO Lab.

菊永ふみ

リーダー

ろう者。福祉型障害児入所施設で聴覚障害児の生活支援に携わる。企業の社会貢献活動の一環として社員と聴覚障害児との交流企画を担当、2015年、異言語脱出ゲームを発案。謎制作も担当。

#ナナナナ祭2020