LEADER INTERVIEW

2020.03.09 Mon

英国発祥のチャリティショップで、Happyでサステイナブルなムーブメントを起こしたい:「Love Charity❤️Tokyo」Hannah Ogaharaさん ・鈴木愛紗実さん

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チャリティショップというものをご存知でしょうか?

その名の通り、チャリティ団体が運営するリサイクルショップのことを指し、イギリスをはじめ、その他の欧米諸国に滞在した経験のある方なら、知らず知らずのうちに街中で目にしているかもしれません。そのくらい欧米圏を中心とした海外では一般的な存在です。

オランダ人の母親と日本人の父親を持つ、ロンドン出身のHannah Ogahara(おがはら・はな)さんと、デンマークの留学経験を持ち、現在は中央大学経済学部・国際経済学科に在籍中の鈴木愛紗実(すずき・あさみ)さん。(2019年2月現在)
2人はこのチャリティショップを日本に広め、慈善事業のイメージアップを図る「Love Charity❤️Tokyo」というプロジェクトを推進中。様々なコラボレーターとともにチャリティショップに纏わるイベントを企画・実施しています。

渡日したばかりのHannahさんが感じた、チャリティ先進国であるイギリスと日本のチャリティ文化の違い、チャリティショップの必要性。両国にルーツと繋がりを持つ彼女だからこそ生み出せたプロジェクトについて、2人にお話を伺いました。

(執筆:濱安 紹子、写真:meg  ※一部写真提供:ON-1, Inc. Jimi Okelana、Love Charity❤️Tokyo)

2018年、初めて日本にきたHannahさんは上智大学で日本語を勉強する学生でした。来日当初、様々なカルチャーショックを受けたと話す彼女ですが、中でも驚いたのが日本にチャリティショップが存在しないという事実。そして、それこそが今のプロジェクトを立ち上げるきっかけとなったのです。

 

「日本って古着屋さんは多いのに、チャリティショップは見かけないですよね。イギリスには街中はもちろん、スーパーや郵便局など至る所にチャリティショップや寄付のための回収ボックスがあるし、寄付に繋がる活動やシステムも多く存在しています。誰かを助けるために支援するというのが当たり前の感覚で、チャリティ自体が生活に根差したものなんです。」

 

ーリーダーのHannah Ogaharaさん

 

大学に通いながらチャリティショップを日本で広めたいというアイデアを温めていたHannahさんですが、学業に専念するために具体的な行動には移さずタイミングを待っていたそう。そんな彼女が動き出すきっかけとなったのは、メンターの田中開さんから100BANCHの存在を教えてもらったことでした。

 

「大学を卒業して何らかのアクションを起こしたいと思っていたので、ちょうど良い機会だと思いました」と早速エントリーし、2019年9月に入居が決まります。しかしよくよく話を伺えば、エントリーから入居に至るまでの間に日本の住まいを引き払い、一度イギリスに戻っていたのだというHannahさん。

 

「(100BANCHに)まさか受かるとは思っていなくて、早々にイギリスへ帰ってしまったんです。採択通知をいただいた時にはすでにイギリスでした(笑)。だけどやっぱりどうしてもやりたかったプロジェクトだし、後悔はしたくないと思ったので、再び日本行きのチケットを買いました」と、決意を新たに再来日を果たしたそうです。

 

ーHannah Ogaharaさんとプロジェクトを進める鈴木愛紗実さん

 

一方、鈴木さんはプロジェクトメンバーであり友人でもある齊郷綾乃(さいごう・あやの)さん(現在イギリス留学中)を介してHannahさんと知り合いになります。デンマーク留学時にチャリティショップを利用していた経験から、鈴木さんはプロジェクトに共感。迷わず「Love Charity❤️Tokyo」への参加を決めたそうです。

 

「チャリティショップを分かりやすく説明すると、チャリティと古着屋を掛け合わせたようなもの。古着屋と違うのは商品を全て寄付で賄っていて、販売利益の全てを発展途上国の開発支援などのチャリティ団体に寄付していることです。私もHannahに聞いて知ったんですが、イギリスのチャリティショップってすごくお洒落なんですよ。ヴィンテージショップみたいな雰囲気のお店が多くて、若い世代がショッピングするために集まる場所でもあるんです」

 

「実際、私たちがこれまで集めてきた古着の中にはハイブランドのものや、ヴィンテージショップで高値で売られているような高いクオリティのものもあります。日本には『チャリティ=お洒落』みたいなイメージはあまりないですよね。そのイメージ自体も変えて行けたらいいなと思っています」(Hannahさん)

なお、数は少ないながらも日本にもチャリティショップが存在します。2人は以前、そのチャリティショップを運営する団体を訪ねたことがあり、お話を伺ううちに彼らの抱える課題についても知ることができたようです。「スタッフの年齢層が高いこともあって、若年層へ向けてどういう風にアプローチしたらいいか分からないというのが悩みだとおっしゃっていました。私たち若い世代とコラボレーションすることで何か力になれたら嬉しいですし、一緒にチャリティショップを盛り上げていけたらと思いました」(鈴木さん)

 

ー取材当日の2人のファッションも活動に賛同してくださった方の寄付によるもの

100BANCHでの入居生活をスタートさせた2人は、様々な出会いによりプロジェクトをアップデートさせることができたと話してくれました。「基本的にはイギリスのチャリティショップをお手本にしていますが、ただ真似をするだけではなくオリジナルのアイディアを採用しているんです。これまで、100BANCHで出会った方々にはたくさんのヒントをいただき、イベントなどでもコラボレーションさせていただいています」(鈴木さん)

 

その1つが100BANCHのコミュニティマネージャー・加藤翼のアドバイスによって生まれた『メモリーシェア』という取り組み。ものだけじゃなく『思い出=メモリー』も買い手にシェアしようというコンセプトです。

「例えば……というか私の実例なんですが(笑)、初めてのデートに着て行ったお気に入りのニットを売るとしますよね。その思い出のエピソードをウェブ上に綴ってQRコードを作成。お客さんが洋服のタグに付けたQRコードを読み取ることによって、ニットに纏わる思い出を知ることができるというわけです。これまで度々実施していますが結構好評で、私のニットを買われた方も喜んでくださいました」(鈴木さん)

 

 

また、『アップサイクル』(リサイクル品に加工を施し、商品としての価値を高めること)を行ない、古着を生まれ変わらせるという取り組みも。こちらは海外では既にメジャーな手法・考え方で、多くのブランドでも採用されているそうです。「ファストファッションをスローダウンさせたい。ものを買う・捨てるという意識自体を変えたいという願いもあるんです。持続可能なライフスタイルを意識してもらう。それを通じてみんなで助け合うチャリティ精神が日本に根づけばいいなと思っています」(鈴木さん)

 

「アップサイクルを行うことで、そのままだと飽きて捨てられてしまう洋服が新しい価値を持つ。そのための方法を広めていくワークショップなどの活動も行ったりしているんです」(Hannahさん)

 

2月16日に行われた「Love Charity Tokyo #1」ではアップサイクルのワークショップも開催しました。(レポートはこちらから

そして、3つ目の取り組みとして、チャリティに対する不信感を拭う、という目的で彼女たちが行っている寄付システム。私たちが寄付をする際、自分の寄付したものがちゃんと届けるべき人に渡っているのかなど、一抹の不安を覚えるのも事実です。2人はその心理的ハードルを下げるためにも、どこのチャリティ活動に寄付するかを選択できる『投票制システム』という海外に倣った取り組みを実施。購入者は活動内容の書かれたカードを見て選ぶ(=投票する)ことができ、後日SNS上で寄付先から届いた写真や動画などのフィードバックを確認できるそうです。

彼女たちが100BANCH入居にあたって掲げた目標の中に、「実店舗のオープンにむけた資金調達」そして「NPO法人化」というものがありました。しかしそれは手段であり目的ではないと、入居を経て気づかされたと2人は言います。

 

 

「それぞれやりたいことの1つではありますが、今はそれよりもっと優先順位の高いことがあると気づいたんです。それは『ムーヴメント』を作るということ。チャリティショップを知ってもらうための仕掛けを作るという方向にシフトチェンジしました。そのきっかけを与えてくれたのはメンターの宮城(治男)さん。こうしなきゃ、ああしなきゃと意気込んで頭でっかちになっていた私たちに、若いんだから色々なことにチャレンジした方がいいと教えてくれたんです。その時におっしゃっていた『ムーヴメント』という言葉がしっくりきて、面談いただいた後はそれをヒントに様々なアイディアを検討したり、幅広いイベントの企画を行ったりできるようになりました」(鈴木さん)

 

「今やりたいのは大学や専門学校などの学校と繋がること。若者が多く集まる場所で若者にリーチするには一番良い方法でしょう。将来的に学校内で古着を回収して売ることができるシステムを作れたら、すごく良い循環が生まれるんじゃないかと思うんです」(Hannahさん)

 

 

2020年5月に100BANCHで行った活動の最終成果として、チャリティで集めた洋服を使ったファッションショーを企画している彼女たち。「先の日本のチャリティショップ運営団体の方にもご協力いただき、小さなお子さんからご年配の方まで幅広い世代の方々にランウェイを歩いていただく予定です。チャリティのイメージを明るいものにし、サスティナブルなライフスタイルを意識してもらうことが私たちの目指すゴール。試行錯誤ばかりですが、今の活動が多くの人に伝播して、私たちの手を離れムーヴメントとして広がっていったらいいですね」(鈴木さん)

 

慈善事業のイメージをポジティヴでハッピーなものに変えてくれそうな、眩しい笑顔が印象的な2人。彼女たちのプロデュースするチャリティショップが広がり、やがてファッショナブルなチャリティの選択肢として定着……そんな未来が築けたら、世界は少しだけ明るくて楽しいものへと変化しそうです。

 

5/21 Love Charity Tokyo #2 Project Upcycle Runway - Fashionshow

日時:2020年5月21日 14:00~17:00
参加費:最大1500円
定員:30名
場所:100BANCH 3F
URL:https://100banch.com/events/24533/

 

『チャリティへのイメージの変化!おしゃれで、みんなが幸せをシェアできるような社会へ!』をテーマにGARAGE Programで活動するLondon Charity Shop 2119 – Love Charity ❤️ Tokyoが「デザイン・ファッション・エシカル・サステイナビリティ」をキーワードにイベントを行います。

地球にも自分自身にも優しいライフスタイルを促進する“チェンジメーカー“の育成と普及を目指すLove Charity Tokyo。このイベントでは、これからの未来を担う世代が今後の持続可能な社会のためにどのように貢献できるか考えたり、オリジナルファッションアイテムを作るリメイク方法を伝授します!

「デザイン・ファッション・エシカル・サステイナビリティ」というキーワードにピンときた方はぜひご参加ください!!

※英語と日本語の2言語で開催します。
English and Japanese speakers both welcome! Scroll down for English.

WRITER

濱安 紹子

ライター

猫と布団をこよなく愛する、三足の草鞋ライター。音楽メディア、WEB系広告代理店での勤務を経てカナダ・トロントへ。 現地の日系出版社にてライター業に携わった末、帰国後よりフリーランスライターとしてのキャリアをスタート。 その傍らで自身の音楽活動、酒好きが高じてバー営業も行っている。