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からだとローカルを元気にする「薬草カレー」づくり
10月22日、『True Colors BEATS』が日本財団ビル(東京都港区赤坂1丁目2番2号)で開催。100BANCHからも複数のプロジェクトが参加しました。
『True Colors BEATS』とは、年齢、国籍、障害の有無を問わず、ゲストアーティストと共に新しい音楽を作る、ワークショップを中心としたイベント。2020年7月までの1年間をかけて開催されているアートフェスティバル『True Colors Festival - 超ダイバーシティ芸術祭 -』の一環として企画されました。当初は代々木公園での開催が予定されていましたが、荒天のため屋内に場所を移しての開催となりました。
100BANCHからは伝統茶{tabel}、Food Waste Chopping Party、BEERful、Cricket ramen(ANTCICADA)の4プロジェクトとWIRED SHIBUYAが参加。イベントを盛り上げました。
「伝統茶{tabel}」は、月桃ジントニック、薬草コーラ、薄荷レモネードなど、日本在来の薬草を取り入れたドリンクを中心に販売。伝統茶{tabel}・新田は「飲めば飲むほど健康になるコーラです(笑)」など参加者に笑顔で各種ドリンクを解説しました。薬草コーラは薬用人参を使用しているほか、甘味にはキビ糖を使用し、優しい味ながらも甘さはしっかり。ノンアルコールでも飲みごたえのある味と香りをもつ薬草ドリンクに、多くの参加者が足を止めていました。
「Food Waste Chopping Party」は、通常廃棄されてしまうパンの耳を使用したクラフトビール「Bread beer」を販売。フードロスに対して無理なくアプローチできる手段を模索するメンバーの中村は「今までパンの耳は肥料化していたが、食べられる形で活かしたい。フレーバーとして、材料としてビールに取り入れ、捨てるはずだった食材をおいしく使える方法」としてこのビールを企画しました。会場ではパンを使ったビールに驚く人もいる一方、「以前から気になっていて」とBread beerを目当てにブースを訪れる人も。
「BEERful」はイチゴを使ったクラフトビール「苺花一愛(まいかひとめ)」をグラスで販売しました。「副原料によって多様性が楽しめるのがビールの魅力」というBEERful・渡部。成分が沈殿し1本のボトルでも味にグラデーションが生まれる苺花一愛については「イチゴの花言葉は『愛情・尊敬』。好きな人とシェアして、一緒に味の変化を楽しんでほしい」と語りました。そのストーリーを聞きながら、独特の味や香りを確かめつつ味わう参加者の姿が印象的でした。
100BANCH1階の「WIRED SHIBUYA」は、今後ラインナップ予定の新しいドリンク「カモミールティー&アップル」を販売。店舗ではソーダ割りで提供予定ですが、秋の肌寒い季節に合わせてホットドリンクとしました。反響によってはホットもメニュー化の可能性があるそうです。イベント出店は一般客の声が聞ける絶好の機会。マーケティングの場としても活用していました。
一方「Cricket ramen(ANTCICADA)」は、バックステージへのケータリングで参加。出演者やスタッフに「蜂の子カレー」を振る舞いました。スズメバチの活動が活発化する秋、ハンターによって殺虫剤を使わず捕獲されたキイロスズメバチとヒメスズメバチを使いバターカレーとグリーンカレーを提供しました。意外にも?スタッフからの反応は好意的なものが多く、ケータリング分は晴れて完売。中にはおかわりを求める人もいたようです。
実は、蜂の子カレーは彼らの新作メニュー。リーダーの篠原は「害虫扱いされるばかりのスズメバチだが、人間が森を切り拓くからスズメバチも人間を襲わざるを得ない状況になっている。せめて捕獲するスズメバチにも愛を持って、そのおいしさを届けられたら」と新作に込められた思いを語りました。
海外でもたびたび昆虫食の経験があるというゲストアーティストの大友良英さんは、「昆虫食といってもクセはなかった。おいしいグリーンカレーでした」とコメント。一方で、「人によっては途中でリタイアしていた。味の問題ではなくビジュアルと脳みそ(先入観)の問題。加工食品にすることで間口が広がるのでは」と提案しました。
また、昆虫食の普及については「他の食べ物で事足りているうちは広まらないのでは」と慎重に捉えた上で、「人口に対する食糧の生産比率は限りなく限界に近付いている。昆虫食を取り入れたほうが、世界に食糧が行き渡る可能性が高まるのではないか」と社会的側面から昆虫食への期待を語りました。
外はあいにくの天候でしたが、豪華ゲスト陣によるライブパフォーマンスは序盤から大盛況。『True Colors BEATS』のイベントディレクターを務めるアルゼンチンの打楽器奏者・作曲家、サンティアゴ・バスケスによるトークから始まり、最後には2日間のワークショップから生まれた大オーケストラの演奏で盛大に締めくくられました。
音楽を通じて年齢や国籍、障害の有無といった様々な壁を飛び越える試み『True Colors BEATS』。100BANCHは、「食」という角度から既存の習慣や固定観念を飛び越える提案ができたのではないでしょうか。参加プロジェクトもまた、ここで得た気付きや成果を糧に今後新しい展開を繰り広げていくことでしょう。
(写真:喜多村みか)