食やテクノロジー、コミュニティなどの観点から探る新たな可能性
未来のコンビニプロジェクト
食やテクノロジー、コミュニティなどの観点から探る新たな可能性
みなさん、こんにちは!
『未来のコンビニプロジェクト』の企画を担当している菅本です。
未来のコンビニを考える上でより広い視野を持つために
様々な立場の方にインタビューを行いました。
第4弾は、山口県長門市でお塩づくりをされている『百姓庵』の井上かみさんにお話を伺いました。
海がとても穏やかで美しい長門市の向津具半島に百姓庵はあります。
もともと、ほぼ自給自足で暮らしながらお塩づくりをされていましたが、そこで得られた“豊かさ”の感覚をより多くの方に伝えるために、2017年に法人化。年間3500万円の売上をあげるまでになりました。
自然との暮らしとビジネスを両立している百姓庵の井上さんの視点から未来のコンビニについてお話しいただきました。
「全国に数多くあるコンビニをコミュニティの場にするという発想は面白いと思うし、“毎日通っていたお年寄りが来なくなった”など見守り機能も果たせると思います。
ただ、主婦って意外に買いものの中身を見られたくないっていう気持ちもあると思うんです。半額シールが貼られたお惣菜とかが買い物カゴに入っていると特に(笑)
冷蔵庫を勝手に開けられたくないっていう気持ちと似てるかな。
だから密なコミュニケーションがあると買い物がし辛くなるかも。
その点、自分が購入するものに誇りを持てるような買い物の場であれば、人に会っても、買い物の中身を見られても気まずくないんだろうと思います。
コミュニケーションをとるために行くコンビニと、サッと買い物するためのコンビニとで分かれているのは面白いかも!」
「自然の中で生き、食べものを生産している身としては、やはり食料廃棄はとても気になります。コンビニの食料廃棄はもっと減らしていけないかな?と思いますね。スーパーなどはよく時間を決めて消費期限・賞味期限が近いものは割引していますが、コンビニは時間がきたら即廃棄しているイメージです。
スーパーの割引も本当に人が集まっているので、コンビニも時間を決めて割引をしたり、廃棄するのではなく畜産の飼料にしたりできるともう少し食べものも無駄にならないのではないかと思います。
これだけ数があり、インパクトも大きいコンビニ業界だからこそ、そこから『食べものを無駄にしない日本』の先端を行ってもらいたいです。
また、地方までコンビニが24時間運営である必要もないな、と。誰も利用していない店内で明かりがついたままというのは、電力などの観点からももったいない気がしますし、お店にいる方も疲弊しているように思います。場所によって24時間営業をやめたり無人営業にしたりすると、もっと環境にも人にも優しいコンビニになるのではないかな、と。」
「いつでもどこでも物が手に入るコンビニは便利ですし、そのような状況を作れていることはとても素晴らしいことだと思います。
ただ、“便利”が行きつく先ってなんだろう?と。
私は、百姓庵を主人と共に始めるまでは、旅行代理店の営業をしていました。仕事は楽しかったけど、お金が手に入って何でも手に入るようになって便利にもなったけど、消費することが虚しくなってきて、営業成績トップになったときにとうとう体調を崩してしまいました。
ストレスの吐け口として消費をして、消費するために仕事をしてストレスが溜まり、また消費する。そんな負のサイクルに耐えられなくなったんだと思います。
それを機に私は、“無駄に消費する暮らし”ではなく、百姓庵で“自分でつくる暮らし”を主人と始めました。
もちろん、みんなが自ら生み出すことで暮らしていくことは難しいので、それを押し付ける訳ではないのです。ただ、“何を満たすための消費なのか?“、“便利”や“消費”の先で求めている物事についても考えてみると未来のコンビニに対しても色んなことが見えてくるのかもしれないです。」
主婦の視点、食べものを生み出す生産者の視点、経営者の視点、様々な視点でお話をしてくださって井上さん。
未来のコンビニ、そしてこれからの暮らしや価値観についてたくさんのヒントをいただきました。
なぜ、そもそも”コンビニエンス“を求めるのか?消費の本質は何なのか?そんなことから見つめ直せると、未来の暮らしやコンビニの可能性について更に深掘りができるかもしれません。