• イベントレポート

次の100年をつくる9プロジェクトがここに—— 〜GARAGE Program実験報告会〜

2019年3月27日、100BANCH GARAGE Program応募者見学説明会と併せて、活動プロジェクトの実験報告会を開催しました。

あらためて、GARAGE Programとは———

これから100年先の未来をより豊かでおもしろい方向へと動かすために、常識にとらわれない35歳未満の野心的な若者リーダーのプロジェクトを支援するプログラム。
審査基準は、各界のトップランナーである総勢23名のメンター陣が1人でも“これからの100年をおもしろくするプロジェクト“として支援したいと思うか否か”。

毎月公募を行い、審査を通過したプロジェクトは活動スペースやイベントスペースの提供、トップランナーによるメンタリングなど、新たな活動のきっかけにつながる多様なネットワークなどが提供され、未来へ向けた実験を展開していきます。

これまでに100ものプロジェクトが採択されているなか、今回は3月に卒業を迎えた9プロジェクトの実験報告を100BANCH編集部の船寄がレポートします。さまざまな未来の種となるU35の挑戦をご覧ください。

小学生×起業家教育でグローバルリーダーの輩出を

■Kodomo Creators inc. 白井 智子

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/14358/

Kodomo Creators inc.は、小学生×起業家教育で、夢と社会課題に挑戦し続けるグローバルリーダーの輩出を目指すプロジェクトです。

Kodomo Creators inc.は子どもたちが自分の夢と、その夢をかなえた先にある課題について考えるイベント「「キッズ アントレ タウン—こどもたちがつくる夢のまち—」の開催を目標に活動をスタート。このイベントは小学生たちが本物の起業家の前でのプレゼン大会や、SDGs、経済・税金教育、こども議会など、さまざまなワークに挑戦するという内容で、3月31日に開催しました。

このイベント開催に向けてKodomo Creators inc.は「まずは夢を決めること」をテーマに、それを子どもたちがレゴで表現するイベントを1月に開催。当日は元プロ野球選手をゲストに迎え、これまでの実体験とともに、夢を持つことの大切さを子どもたちに伝えました。

2月には自分の夢をかなえた先に地球の困りごととの解決を考えるイベント「SDGsってなあに?」を開催。100BANCHで活動する持続可能な未来に投融資をする「エシカルバンク」の利用者を増やすプロジェクト「DIVEST SHIBUYA!」の松尾沙織がゲストで登壇。子どもたちはSDGs掲げる17の目標を教わりました。他にも、自分の夢を120人の前でプレゼンする「ゆめピッチ」や、税金や寄付の仕組みを学ぶイベントなどを通して、子どもたちが企業家に向かうためのアプローチを進めていきました。

100BANCHの成果として白井は「100BANCH入居により企業からの信頼を獲得することができ、スポンサーを21社獲得できました。加えて、新規来場者を500名以上集客すことができ、Kodomo Creators inc.の認知度を格段にあげることができました。そして、何よりもメンターとのブラッシュアップは貴重な時間でした」と話しました。一方で、100BANCHの横のつながりや発信、振り返り時間の不足などの課題も見つかったと振り返りました。

近い将来、Kodomo Creators inc.の取り組みから、私たちをあっと驚かせるような起業家が生まれることでしょう。これからの活動にもぜひ注目してください。

 

2045年の世界の仮想体験として、AIと神をめぐるフェスティバルを

■KAMING SINGURARITY 雨宮優

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/14301/

KAMING SINGURARITYは2045年の世界の仮想体験として、AI(人工知能)と神をめぐるフェスティバルを目指すプロジェクトです。

100BANCHの活動では、「AIが神になるのか」というテーマや「柔らかいパラダイムシフトには想像力が必要である」というテーマで仮説を立て考え企画の準備をしていったと発表。活動期間中には、オープンダイアログやアイデアソンを通してAIや未来、神などについて多くの参加者と考えました。

それらの活動を通して雨宮はこう話します。

雨宮:神について調べていく過程で、神は東洋的な概念と西洋的な神があることに気付きました。東洋的な神でも、自分自身のなかに神が存在するような考えの密教と、ある種の象徴として神が存在する顕教に別れています。

AIが神となる可能性として、密教と顕教をミックスする概念があり得るのではないかと考えました。創造主ではなく上位存在機能としての神。それは正義ではなく人類社会が持続性をつかさどる概念としてあるのではないかと考えています。そこから一人ひとりが神であるという思考を持ちつつ、共感により新たな神の機能を人類は培っていくという仮説にたどり着きました。

KAMING SINGURARITYは「aiが神になった世界」と題し、8月9日(金)に 渋谷ストリームホールでフェスを開催。

もしAIが神になったら暮らしの幅や宗教、食やエンタメ、芸術はどうなっていくのかを、自由に想像し、表現し、体感できる時間となります。情報はホームページで随時更新されるそうなので、ぜひチェックして、足を運んでみてください!

 

スケートボードからスポーツのサステナブル化を発信する

■I ♡ SKATEBOARD SHIBUYA 宇都宮胡桃 佐野雅彦

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/14276/

I ♡ SKATEBOARD SHIBUYAは2020年の東京オリンピックを通して、スケートボードからスポーツのサステナブル化を世界に発信するプロジェクト。

このプロジェクトは以下の課題をきっかけにはじまりました。

・新国立競技場は木材を多く使用するデザインである。その木材はマレーシアやインドネシアの森林を伐採したものであるため、それにより現地の動物や先住民の暮らしを脅かしている状況がある。

・2017年3月に渋谷・宮下公園のスケートボードパークの閉鎖により、スケーターがスケートボードをする場所を失い、街中でスケーターの迷惑行為が増加している。

これらの課題を持ち、I ♡ SKATEBOARD SHIBUYAはあらゆるスポーツがオリンピックなど1回の大会のためだけではなく、環境や社会影響を踏まえた運営をおこなう未来を目標に取り組みを進めてきました。

100BANCHでは、廃材からスケートボードを制作するイベントを開催。また、オリンピック関係者とのブレスト会を行い、これからスポーツイベントを開催するにあたりどんな発展があるか考えました。

3カ月の活動を宇都宮はこう振り返ります。

宇都宮:100BANCHの活動を通して、イベント運営もスポーツ競技もサステナブルな運営は十分にできるとわかりました。一方で、住民の苦情に対するスケーターのマナー向上やスケーターを集める場づくり、イベント運営の見直しなど課題も見つかりました。これらの課題感を持ちつつ、さらに活動を広げていきたいと思います。

 

社会のバイアスをファッションから解決する

■Raipons 成田航平

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/13821/

Raiponsは「社会を考えるきっかけをつくるファッションブランド」をコンセプトに、人々が持っている社会のバイアスをファッションから解決するプロジェクトです。

100BANCHではジェンダーや環境問題、社会問題をテーマとした多くのアイテムを開発し。また、海外発信も視野に入れ、外国人がよく利用するゲストハウスでポップアップショップを開催しました。現在はベルギーのデザイナーと作品を制作しています。

成田は次のように未来のビジョンを語りました。

成田:Raiponsはファッションブランドとしてはじめたプロジェクトとしながらも、最終的には世界中の思いを発信したい人がモノを作り販売できるようなプラットフォームを生みたいです。

 

言葉のお守りで大切な言葉と向き合うきっかけを提供する

■KOTORI 髙瀬俊明

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/12366/

KOTORIは言葉をお守りにするサービスです。

圧倒的な情報量により本当に大切にすべき言葉が埋もれてしまっていると感じたKOTORIは、大切な言葉と向き合うきっかけを提供することで、人の心の支えになれるのではないかと仮説を立てました。これをもとに100BANCHで「言葉のお守り」の開発を進めてきました。

100BANCHでは、まず試作品作りに専念しました。しかし、プロトタイプを制作したものの、なかなか自分たちが思い描くプロダクトに近づけず、まだ100パーセント納得できるプロダクトにはいたっていないそうです。

そのような状況のなか、KOTORIは自身の開発したお守りがどのような価値を持ち、どのような反応があるのかを探るために、クラウドファンディングを実施しました。

クラウドファンディング

「言葉」が持つ力。言葉をお守りにして大切な人へ贈るサービスを——

https://readyfor.jp/projects/kotori

高瀬はサービスに対する素敵な思いを語りました。

髙瀬:KOTORIは人間関係をデザインするものです。夫婦や家族、大切に思っている人などのコミュニケーションツールとして使ってもらえたら嬉しいです。

KOTORIのクラウドファンディングは4月26日まで。あなたの大切な人に言葉のお守りを贈りませんか?

 

没入体験を提供できるミュージカルを

■Out of theater 広屋佑規

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/12434/

Out Of Theaterは、劇場を飛び出し、あらゆる公共空間、都市空間でミュージカルを実現することで、日本にミュージカル文化を根付かせようと活動するプロジェクト。100BANCHでは実際に公共空間を使ってミュージカルを開催してきました。

広屋:単に街なかのステージでダンスを披露するのではなく、街を劇場空間にしながら街の人と一緒にミュージカルを作り上げることで、地域の活性化につながったと感じています。

これまで横浜元町や有楽町ルミネを舞台として体験型エンタテインメント・ショーのミュージカル映画のPRイベント、プロデュースなど、100BANCHで精力的に活動を続けてき広屋は、あることに気が付いたと言います。

広屋:100BANCHに入居した当初は、街なかで多くのミュージカルを開催することにより、街の新しい魅力を伝えたいと考えていました。しかし活動を通して、僕たちはお客さんにただミュージカルを見せているのではなく、あたかもその世界に入ったかのような没入体験を提供しているのだと気が付きました。

この没入体験ができるエンタテインメントは日本ではまだ少ないそうです。そのため先日、広屋さんは没入型エンタテインメントで話題のニューヨークを訪れ、さまざまなコンテンツをリサーチしてきたと報告。

広屋:今後は、何気ない日常にエンタテインメントを届けることで、その場が非日常な空間へと変わり、その瞬間だけはお客さんが笑顔になれるような世界を作り、遊び心のある寛容な社会をつくりたい。また、人々が表現し、学び、成長できる場を新たに生みだし、一人でも覆うの「表現することが好きな人」を増やして行きたいと思います。

Out Of Theaterは法人化を目指して進んでいるとのこと。この先、どのような新しいエンタテインメントを見せてくれるのか。ぜひこれからも活動に注目してください。

 

100年後の新しいコミュニケーションをつくる

■未来言語 永野将司

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/miraigengo

MIRAI GENGO(以下、「未来言語」) は100BANCHに入居する「障がい」をテーマにする4つのプロジェクトの代表が手を組んだ組織体です。各自の専門領域をつなげることで、それぞれのコミュニティの垣根を超えて、100年後の新しいコミュニケーション=未来言語を模索しています。

未来言語はこれまで、「見えない」「聴こえない」「話せない」などの未来言語カード頼りにコミュニケーションを図る実験や、モノを使ってコミュニケーションを図る実験、触覚をたよりにコミュニケーションを図る実験など、未来のコミュニケーションを探るアプローチをしてきました。

また、2月には吉本興業とコラボしたイベント『次長課長 河本&麒麟 田村たちとつくる、笑いの未来言語』を開催。笑いを通して未来のコミュニケーションを考えました。

さまざまなアプローチによって未来のコミュニケーションを模索する未来言語の次なるテーマは「スポーツ」。障がいの壁も、言語の壁も乗り越え、すべての人が分かち合えるスポーツは実現できるかを考えるイベント『未来のスポーツ』を4月13日(土)にPanasonicセンター東京で開催します。

ご興味のある方はぜひご参加ください。未来言語のメンバーと障がいの壁も、言語の壁も乗り越えたコミュニケーションを一緒に考えましょう。

 

うどんの手打ち文化を100年後に残す

■SAVE THE UDON 小野ウどん

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/12333/

SAVE THE UDONはうどんの手打ち文化を100年後に残すため、うどん好きに手打ちの楽しみ方を伝え、手打ち文化を普及するプロジェクトです。

現在うどん業界は低単価化や機械化が進み、手打ちうどんを提供するお店が減少しているため「もはや手打ち文化は絶滅危惧種にある」と小野。加えて、目先の生産性とテクノロジーに寄せた結果、伝統という日本の大きな武器(価値)を喪失し、100年後にその大切さに気付くこともあるのではないかと説明しつつ、「うどんのチェーン店と個人店が共存し、個人レベルでも手打ちの魅力を感じられるようなる社会を創出したい」と話します。

手打ちに触れるきっかけと目的を作ることができれば、手打ち人口の増加が見込めると仮説したSAVE THE UDONは、昨年12月にうどん総合格闘技イベント「TEUCHI」を開催。

また、「ホワイトデーにうどんをお返しする文化をつくりたい」と考えたSAVE THE UDONは「新感覚共体験うどん手打ちキット」を発案。3月にはペアでひとつのうどん生地を協力して打つワークショップ『『WHITEDAY UDON WORKSHOP』を開催しました。

小野:このワークショップを終え、私はうどんの美味しさを伝えたいのではなく、うどん作りの面白さを世の中に伝えたいと感じました。それを実現するために、全ての人に贈る不朽のうどん手打ちキットを生み出したいと思います。

現在、SAVE THE UDONはうどん手打ちキットを開発中です。果たしてどのような体験を私たちに届けてくれるのか。今後の活動も注目です。

 

バンジージャンプで人々の好奇心や生きる力を育む

■Omoracy 野々村 哲弥

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/12402/

Omoracyは恐怖心・好奇心と向き合う体験型アトラクションで未来の人々の好奇心や生きる力を育むプロジェクト。現在は脳の仕組みを踏まえた上で、バンジージャンプの開発を進めています。

100BANCHでの活動前半でバンジージャンプの知識と可能性を広げていた野々村は、バンジージャンプビジネスの観点から「VRバンジージャンプ」に注目。そこから「VRバンジージャンプ」の開発に取り組み、試作を繰り返しながら、フォール型のVRバンジージャンプにたどり着いたと報告。Omoracyは今年の夏を目標に、フォール型の本試作を開発し、都内での体験会を構想中だと発表しました。

最後に野々村は「Omoracyの活動によって『生きている幸福を実感するためのひとつの生き方を作れる』と考えている」と話します。

野々村:100BANCHで活動を進めていくうちに、人生の幸福は知識や健康、運やお金などがベースにありつつ、いちばん大切なのは愛と冒険だと感じました。冒険は未知への決断であり常に恐怖と隣り合わせのものです。でも、脳の研究によってその恐怖への抵抗力は小さなチャレンジを積み重ねることで培うことができると知りました。その小さなチャレンジのひとつとして、バンジージャンプを活用しながら恐怖を乗り越えられる人を増やし、誰でも未知への決断ができる社会を目指したいと思います。

近い将来、Omoracyのバンジージャンプによって、好奇心や生きる力を育む時代が訪れるかもしれません。これからも彼らの活動にぜひ注目してください。

 

次回の実験報告会

プロジェクトの実験報告が終わると、参加者は登壇者への質問や2FのGARAGEの見学、事務局メンバーにGARAGE Program応募を質問するなどを、それぞれが思い思いに100BANCHの取り組みを知る時間となりました。

次回は【GARAGE Program応募者向け見学説明会&プロジェクト成果報告会】を4月25日(木)に開催します。

各プロジェクトの活動の様子を知りたい方や、GARAGE Programへの応募を考えている方は是非ご参加ください。

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