SAFEID
知的障害者のファッションを改革したい
SAFEID 加藤海凪
2025年も未来に向けた実験を大胆に繰り広げる100BANCH。メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2025年 今年の抱負!:巳(実)のなる1年に」。
今日の執筆者は、知的障害者のための服をつくることで彼らの生活の選択肢を広げることを目指す、SAFEIDの加藤です。
明けましておめでとうございます。SAFEIDの加藤海凪です。
SAFEIDは障害のある人の日常の課題を解決するため、「おしゃれなよだれかけ」を追求しています。障害があると、汚れが原因でオシャレを楽しめないことが多いからです。
弟が知的障害を持っていることから、「障害」をもっとオシャレにユニークに解決したいという思いで活動をしています。
去年は、新しいことにも挑戦しました。
カルチャーから障害のある人とない人が交わるフェス、「!⇄!(インターチェンジ)」を開催しました。
音楽、アート、マーケットを通じて、障害のある人とない人が混ざった空間です。
昔からファッションや音楽、アートやカルチャーが好きで、音楽フェスやライブにいくことが趣味です。両親が小さい頃からよく音楽フェスに連れて行ってくれて、今も家族旅行でフェスに行っています。
その中でも「森道市場」というフェスが大好きです。
美味しい食べ物や可愛い雑貨などマーケットが充実しています。特に、夕方に海辺で釜焼きピザを食べながら音楽を聴く時間が最高です。クラブのようなステージもあり、去年は3時間ぶっ通しで友達と踊っていました。
元々マーケットから始まったフェスなので、全国からセンスのいい飲食店やアパレル、雑貨などが集まってきます。お店もお客さんもアーティストもおしゃれな人ばかりです。小さい頃、「こんなかっこいい大人になりたいな」とずっと憧れてきました。
ある年、森道市場の一角に、謎のブースを見つけました。
尖っているのにセンスがよくて、アートやデザインにもこだわっていて、でも変な人がたくさん集まっている空間に衝撃を受け、とても興味が湧きました。
お父さんが、このブースを管理している「LIVERARY」について教えてくれました。イベントやライブ、ポップアップなどを紹介するカルチャーメディアです。
このメディアを知ってからは、友達と「LIVERARY」主催のイベントやポップアップに行ったり、イベント情報をチェックして遊びに行ったりするようになり、そこから趣味の合う友達とも出会いました。
そして、音楽やカルチャーにどっぷりハマった時期、家族にフジロックへ連れて行ってもらいました。
コロナが明けた時期に開催され、音楽やフェスへの愛が特に詰まっていました。
ソーシャルディスタンスを守り、マスクをつけながらも全力で楽しむ空間に、とても感動しました。そして、不要不急だとされていた音楽を生で聴く空間は、私にとって生きがいだったのだと気がつきました。胸の奥に直接響いてくる音楽は、毎日のエネルギーになっていたのです。
フジロックの帰り道、言葉にならない興奮が込み上げ、なぜかそのとき「将来フェスをやる」と心の中で決めていました。
去年、障害や福祉のイベントに積極的に参加していました。でも毎回、「何か物足りないな」と感じるようになりました。よい言葉やよいアート、よい体験がそこにあるはずなのに、フェスや音楽みたいに胸の奥がゾクゾクする感動がない!と思いました。
そこで、障害を混ぜたフェスをやれば良いのか!と思い立ちました。
想像してみると、センスがいい、おしゃれな、そしてカオスな空間ができそうだなととてもワクワクしました。そのとき、森道市場の変な空間が頭に浮かんできました。「LIVERARY」と一緒にフェスができたら最高じゃん!ビビッときました。
運良く一緒に企画を進めてくれることになり、大好きだった「LIVERARY」とフェスについて考える毎日はとても刺激的でした。
イベント当日は、障害のある人とない人が綺麗事ではなく混ざっていて、今までにない雰囲気と楽しさがありました。
「この子がこんなに楽しんで踊ってるの初めて見ました」という障害のある子の親や、「多少は真面目な感じあると思ったけどクラブより楽しいじゃん!」ととても楽しんでくれた友達、「福祉施設でバイトすることになったんだよね!」という友達など、障害のある人と障害のない人が同じレベルで感動してくれる空間が作れたと思っています。
今年は、おしゃれなよだれかけ「flexibib」で障害のある人の日常の課題を解決しながら、障害のある人とない人が交わる非日常の体験「!⇄!(インターチェンジ)」をさまざまな形で開催したいと考えています。
この2つのプロジェクトを通して、非日常が段々と日常に近づいていくグラデーションを作りたいと思っています。障害のある人ない人が本当に混ざっている、障害のある人にとってもない人にとってもユートピアのような空間を作りたいです。
「事業化できるのかな」
「来年は就活がはじまるけどどうしよう」
と不安はたくさんありますが、まずは自分が着たい服と自分が行きたいフェスを目指して頑張ります!
メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2025年 今年の抱負!:巳(実)のなる1年に」をお届けしています。他のメンバーによる記事は以下のリンクからご覧いただけます。若者たちの熱や未来への兆しをお楽しみください。