• イベントレポート

未来の学びは、どうなっている?「100年後の学校」オープンスクール一時間、開講。

「全てのひとが、学校を飛び出し、宇宙で生活する未来を作る」
大宇宙大学が主催する「100年後の学校」のオープンスクールを開催しました。

既存の職業に囚われず、「すき」なことを形にしている先生たちに出会い、繋がることで自分のもやっとした夢への最初の一歩の背中を押すことが目的のオープンスクール。
初回となる今回は、「大宇宙大学的ものづくり」がテーマ。自分の夢を思考し言語化、そしてアート作品制作という「ものづくり」を通してアウトプットする授業でした。

一時間目の【我欲の先生】のぼりさんと、
「自分が楽しいと思う瞬間」「嫌だなと思う瞬間」を紙に書き出しつつ、「どういう瞬間に喜びを感じ、どんな活動に結びつくか」を考える。
二時間目の【アートの先生】のあかねさんと、
グループで対話をしながらアート作品鑑賞をすることで心理的安全性を高め、
一時間目の内容を踏まえつつ、「未来への感情」や「今の自分の状態」など自由なテーマで「自分が表現してみたいこと」を生徒一人一人が作り手として実際にキャンバスに絵を書き、作品を作りました。

夢は、バックグラウンドがないと追ってはいけない?

大宇宙大学は、学校や会社といった閉じられたコミュニティの外にこそ、

・夢を本気で追い続けるひとがいる

・他者の夢に対して「応援」だけでなく「実際に手を貸す」ことができる関係性がある

という考えの元、人々の物理的な「行動範囲」を広げ、多様なひとと対等な立場で出会う瞬間を作り出すために活動しております。

キリンビールの調査によれば、日本人の夢を諦める平均年齢は24歳。その理由の多くは才能、金銭、年齢的限界を感じたからであるとされています。(引用元:https://news.mynavi.jp/article/20130112-a048/

こと結果に私たちは「夢をみる」ということのハードルが異常に上がってしまっている、かつその方法があるような環境がないことが原因と考えます。

夢は、才能があったり、死に物狂いで努力したり、人生を大きく変える辛いストーリーがあるひとのみが叶えられるもの。という先入観こそが、夢を潰してしまうのではないでしょうか。

実際に「夢」や「理論のないワクワク」を根幹に活動しているひとと出会うことで「夢は叶えられる」と知り、対等に繋がり続けることで「夢に手を貸してくれる仲間」を会得する。未来では、学力を手に入れ、学校の中で完結する教育様式ではなく、自分のやりたいことを作り上げるために必要な知識と繋がりを得られることこそが教育となると仮説を立て、そんな「未来の学校」の授業を作ることで変革を作り出しています。

 

一時間目 ぼりさん 我欲の先生

自分がすきなこと、を見つけるまで

シェアハウスの寮母さん(管理人)やクラウドファンディングの公認サポーターも行う「ぼりさん」による【我欲】の授業。講演のような一方通行ではなく、ぼりさんを中心とした円のような形で対話をする授業が行われました。

ぼりさんの今までの経験を通して「すきなこと」を見つけるって?を考えます。

かつて自分が大人になっている、ことがイメージできなかったぼりさん。高校を卒業したのち、工場勤務、20歳で佐川急便のドライバー、24歳で板前と自分の今までの活動を振り返ります。

バーベキューのイベントを自主開催した経験をきっかけに料理人になったものの、「料理」を中心とした生活が大好きではないことに気づき、自分が「すきなこと」は何なのかを考え始めます。

それは「ひとが集う空間をつくる」ことだと見つけたぼりさんは、

・自分がやりたいと思うか

・手段にこだわらない

ことを大切に「自分で楽しい場所をつくる」「挑戦するひとを応援する」仕事を行うように。これが今のキャリアに繋がっています。

 

自分の嫌いなこととすきなことを見つけて、やることを見つけていく。

その後、お客さんに「自分がすきなこと」を問いていきます。

「友達と喋ることがすき」というお客さんに、「どうして?どういう瞬間?話をするのが好きなの?聞くのが好きなの?」と感情の根本を探っていくことをアシストした後、

今まで経験してきた原体験の「嫌いなこと」「好きなこと」を紙に書き出すワークを行います。

ワークを振り返りながら「心に余裕がある」そして「心を殺さない」ことが大切というメッセージを伝えるぼりさん。

「好きなことを仕事に」という言葉が広く言われる世の中。でも好きなことの中にも嫌いなことは潜んでいます。

先程のワークシートの中で、大切なのは「何が嫌いか?」

前提として自分が活動ができる余裕のある状態で、自分がどうしても嫌いで、避けたいことを避けながら、かつその中で自分が好きなことが入り込むこと。

それが「やること」を見つけていく方法のなのではないでしょうか。

 

二時間目 坂木茜音 アートの先生 

「アートって意外と難しくないかも?と感じてもらうこと・自分を表現することに挑戦すること」が最終ゴールのこの授業。

「普段から絵を描きますか?」という質問からスタート。参加者のほとんどが普段から絵を描く人ではないメンバーで授業スタートです。

職人を取り巻く文化が好きで、美術大学を卒業した後、常にさまざまな内容の三足のわらじを履き、今は企業でアートメディアの企画、シェアハウスの管理人、名刺のデジタル化の事業という三つのお仕事をしています。

 

対話型鑑賞会で、アートを身近に

「アートってどんなイメージ?」という質問に対して

「資産。それを担保しているのが作品の歴史」「敷居が高い」「問いかけ」…いろんな意見が出てきます。

結局よくわからないけど、そのわからなさを楽しもう、というあかねさんの言葉と共に見せられたのは一枚の絵。一見何かわからない絵が、どう見えたか?を話し合います。

「なす?きゅうり・・・?」「らせん?DNA?」「どっちの線が前か後ろか、わからないから、ぞわぞわする」

戸惑いながら絵を言葉に当てはめはじめます。

そして次に、その絵を横に倒した絵に切り替えます。

「さっきは見えなかったけど、見えた!」「お父さんとお母さんのイメージかも…!」

ちょっとずつ調子が出てきたのか?活発になるディスカッション。

2枚目の絵は、全く違う、より密度の濃い絵に切り替え。

「これはあれにしかみえない!」「おばあちゃんのようで、懐かしくておしゃれ!「潜水艦が水の中をすすんでる!」

回を重ねるごとに会場のボリュームが上がり、みんなの言葉にも自信が生まれはじめました。

普段、「アートの鑑賞をする」ってなんとなく敷居が高くて、難しいイメージ。でも何度もやってみることで、映画の感想を言うように、フランクにアートの会話ができるように。

 

実際、描いてみる。

アートに関してのうっすらとした敷居の高さが薄れたところで、実際に水彩絵具や色鉛筆を使って作品作り。「自分が表現したいもの」を自由につくってみます。

15分と言う短い時間の中ですが、参加者の皆さんがどんどん筆をとり、下書きよりも前に色をのせ始める。「何をかいたらいいんだろう」「色はこれでいいのかな」と考えるより前に、表現したいものを作り始めます。

それぞれ作りながらも「この色好き?」「そうやって描くんだ!」と言うように対話をしつつに制作を続け、みなさんの作品が出来上がり!

 

今日の授業の総決算。作品鑑賞タイム。

作品を持ち寄って、みんなの作品に込められた思いを話します。絵に込められた「今、自分が表現したい思い」をみんなで話します。

「イメージは風船。面白そうとおもったことにふわっと飛んでいけるようにしつつも、つけられている紐のように、自分の軸をしっかり持っていきたいです」

「空き地、のイメージ。自分の色を例えるなら青で、そこにいろんな人生の迷いや悩みが絡みつつ、何にも染まらない白い部分が大事なんじゃないかなと思い、真っ白な場所を作りました」

参加された皆さんがこの授業を踏まえて、いい意味で自分の欲に素直に、やりたいこと、を作品としてアウトプットしていました。

展示会とか、いろんな場所でみる絵も、こういう感情が元になってできていたのかもしれない。そう言う想像をしてみると、日々のアートをみる視点も変わってくるのではないでしょうか?

 

自分の欲に素直に、ものをつくってみよう。

アート作品やプロジェクトリーダー、シェアハウスをつくる。

やりたいものを表現し、「好きなことで生きていく」のは、一部の選ばれたひとのみの特権なんじゃないか。

そんなイメージに疑問符を立て、本当の意味で「自分がやりたいことの表現?」に向き合った三時間。

「自分の欲に素直になるために、まず嫌いなことをかんがえてみる」

「思いを表現する、って、意外と難しいことではない」

という二人の先生からの学びから、「自分の感情に向き合い、外に出す」という大宇宙大学の考える「ものづくり」へのハードルを下げることができたと考えます。

そして、今回一回きりの「楽しかった特別講義」で終わりにするのではなく、ここで学びを与えてくれた二人の先生と、フラットな距離感繋がり、もう一度出会う瞬間を参加者一人一人が作り出す。

これができてこそ大宇宙大学の本来の目標が達成できたといえると思います。

今回、素敵な学びだったなと思った生徒のあなたは、ほんのちょっとの勇気を出して、「もう一度自分の意思で会いにきました」と言いながら、二人の先生に会いに行ってみてください。SNSで絡んでみる、シェアハウスに行ってみる、飲み会に誘ってみる…。

次の出会いをつくりだしてみる。

この瞬間が、未来をつくるきっかけになります。

ありがとうございました!次は、12月にまた異なったテーマで未来の授業を行います。お楽しみに。

 

先生情報

【我欲の先生】ぼりさん

Twitter:@borilog

1987年3月生まれ 石川県津幡町(金沢市の隣町)出身 

株式会社リバ邸執行役員/取締役 ワークキャリア(旧:田舎フリーランス養成講座)能登運営統括 

著書:クラウドファンディングの教科書「CAMPFIRE解体新書」

三軒茶屋と石川県能登半島「穴水町」にてシェアハウス「リバ邸」を運営 borilog

好きな言葉は「我欲」、嫌いな言葉は「自己犠牲」。

唐揚げとハイボールが主食です。

 

【アートの先生】坂木茜音

Twitter:@akaoto_saka

 Webサイト:https://my.prairie.cards/u/akane.sakaki

株式会社ロフトワークでアート事業を中心にCreativeDirectorを務める。

京都美術工芸大学・京都建築大学校でWスクールを行い、伝統工芸・アート・建築を学ぶ。卒業後個人事業主として独立。

企画・デザインを中心に業務委託等でコミュニティマネジメント・美術館運営等に携わる。

大学を卒業してすぐにbackpackerとして9ヶ月海外渡航。

現在はクリエイターが集まるシェアハウスの管理人や写真、音楽等の表現活動も行う。

趣、余白、自然が好き。

  1. TOP
  2. MAGAZINE
  3. 未来の学びは、どうなっている?「100年後の学校」オープンスクール一時間、開講。

100BANCH
で挑戦したい人へ

次の100年をつくる、百のプロジェクトを募集します。

これからの100年をつくるU35の若きリーダーのプロジェクトとその社会実験を推進するアクセラレーションプログラムが、GARAGE Programです。月に一度の審査会で採択されたチームは、プロジェクトスペースやイベントスペースを無償で利用可能。各分野のトップランナーたちと共に新たな価値の創造に挑戦してみませんか?

GARAGE Program
GARAGE Program エントリー受付中

2月入居の募集期間

11/26 Tue - 12/23 Mon

100BANCHを応援したい人へ

100BANCHでは同時多発的に様々なプロジェクトがうごめき、未来を模索し、実験を行っています。そんな野心的な若者たちとつながり、応援することで、100年先の未来を一緒につくっていきましょう。

応援方法・関わり方