渋谷×紙活字。活版印刷の次の100 年の可能性を発信していく。
Papertype × Shibuya
渋谷×紙活字。活版印刷の次の100 年の可能性を発信していく。
2020年9月19日〜22日の4日間開催された、東京・南青山にある「スパイラル」が若手作家の発掘・育成・支援を目的として2000年から開催しているアートフェスティバル「SICF(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)」に、100BANCHから4組のプロジェクトが選出・出展しました。
こちらのイベントは、Group A(9/19〜20)、Group B(9/21〜22)の日程に分かれ、Aでは紙活字の「Papertype × Shibuya」のプロジェクト、BではVRバンジーの「Omoracy」、宇宙×生け花の「AstroIkebana」、数式美術館の「Physics As Art」が出展。アートに興味関心のある方々がそれぞれのブースを巡ってじっくり作品を見ていただけるイベントになります。
会期の最後には、来場者の投票によって決まるオーディエンス賞をはじめ、クリエイティブ業界の第一線で活躍する審査員が選ぶ各審査員賞、準グランプリ、グランプリが優秀作品に授与されます。
個性あふれる100BANCHメンバーがこの日のために準備した作品を、当日の様子を写真と共にご紹介します。
一見すると美しい自然鉱物のように見えるこちらの作品。実は企業から出た廃棄予定の紙を幾重にも貼り合わせ、研磨することで石や木などの形を形成したものです。よく見ると、ところどころにもともとの紙に印刷されていた文字や絵が残っているのが確認できます。1つの作品で数百〜数千枚の紙が使われていることを可視化できるため、普段どれほどの紙を使用し廃棄しているかを体感として感じることができます。ぱっと見た時の美しい「自然鉱物」という印象を裏切る「”社会的人工”鉱物」によって、普段の生活を省みることができました。
プロジェクト詳細:Papertype × Shibuya
人物の生活の一部を展示し、インタラクティブな体験設計により鑑賞者の想像力と、好奇心に訴えかけるインスタレーション作品を展示。ブースにはドアノブ、ドアノッカー、掛けられたナース服、女性らしい小物、手書きの手紙。実際に存在する人間なのか、架空の存在なのか判別しない不在の女性が散りばめられます。導線の最後に掲示されるQRコードをスキャンをすると、女性のLINEアカウントを友達追加しメッセージのやりとりが出来る仕組み。本当に存在する人物なのか?不確かさの中で、彼女の心象を想像して能動的に関係性を築いた鑑賞者にだけ本人から半生の物語が語られます。彼女に会えた人もいるとか?
プロジェクト詳細:Omoracy
満月の夜を表現したいけばなの作品。星の軌道を表現した枝や月を模したバラなど華やかな月夜を彷彿とさせます。中央には月を模したバラが主役として鎮座し、鑑賞者の目を惹きます。いけばなだけではなくブース全体にも意味を持たせており、囲むように垂れ下がった金網の後ろには月が浮かぶ写真が配置されています。背景の金網が二重になることでモアレ効果を生み、ブースの中に奥行きと移ろう時間軸を表現し、近いようで遠い朧なイメージを演出しています。
プロジェクト詳細:AstroIkebana
ゴッホの自画像をはじめて鑑賞した際の、「ゴッホ」と「星」の一生が重なり、絵の中に「星」が見えたような気がしたという経験から生み出された作品。1054年の超新星爆発によって生まれた、かに星雲の画像を分解し、ゴッホの自画像(1889年8月)を再構成したフィルターを作成しプロジェクターに投影している。大学院で素粒子宇宙物理学専門とする作者自身の体験を数式的に表現している。ゴッホの感情と星の爆発の類似点を定量的に評価するために、機械学習を用いてゴッホの手紙を解析しました。その結果、ゴッホの感情の起伏が超新星爆発の過程と似ていることがわかりました。
プロジェクト詳細:Physics As Art
***
今年は残念ながら、100BANCHから受賞作品が選出されることはありませんでしたが、多くのクリエイターやお客様との交流を重ね、それぞれが持つプロジェクトの「欲しい未来」を、より多くの方に知っていただける機会になったように思いました。
ご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。
残念ながらご来場が叶わなかった方も、SICF公式サイトよりオンラインビューイングがご覧いただけます。
そして出展プロジェクトのみなさん、お疲れ様でした!
>SICF公式サイト:https://www.sicf.jp/