• イベントレポート

折り紙アートの可能性を信じて「オリガミの庭」──ナナナナ祭2025を終えて

多くの人が楽しめるORIGAMIカルチャーと折り紙産業の創造を目指す、「Apriori.Art – Origami Project」。折り紙アーティストの方々や折り紙が好きな仲間とともに、折り紙の新しい捉え方を模索しています。

今回のナナナナ祭2025で彼らが挑んだのは、伝統と革新が交差する、現代折り紙アート展示です。江戸時代から子どもの遊びとして親しまれてきた折り紙を、現代ならではの新素材と「光」の演出でまったく新しいアート体験へと昇華することを試みました。準備から当日までの様子を Apriori.Art – Origami Projectの加納が振り返ります。

折り紙を大人も楽しめるアートとして魅せ、ゆくゆくは世界最大の折り紙EXPOを日本で開催することを目指して活動している、加納宏徳です。

今回のナナナナ祭2025では「オリガミの庭」と題して、1mほどの大型紙から折り上げる作品から手に収まる可愛らしいものまで、また素材としても伝統的な高級手漉き和紙から石灰石や金属、ビニールシートまで様々な折り紙作品を展示させて頂きました。100BANCHのGARAGE Program中に行った様々な実験の成果を、3日間でおよそ400名ほどの方々にお届けすることができました。

 

どうしたら折り紙作品を一番良く魅せられるのか?

全体のコンセプトとブースデザインが一番難航しました。折り紙では本当になんでも作れるため、なかなかテーマを一つに決めるのにチームで悩みました。そんな中、大阪合宿(ナナナナ祭2025メンバーで行ったジャンプアップ合宿)などでたくさんの刺激を受け、大きく2つのテーマは大事にしていこう、という形でまとまります。

#1 折り紙の新しい魅力に「光」をあてる=物理的にも「光」をうまく使って作品を魅せたい

#2 和紙以外にも、様々な素材とサイズを使い「折り紙=小さな紙で折る子どもの遊び」という固定概念を変えたい

2つの軸から作品モチーフは動物、暗幕を使ったブースデザインや「オリガミの庭」というブースのタイトルが決まりました。また、せっかくなら五感を刺激する体験を作りたいと考え、聴覚=音響や手触り感、ブース内の風や香り、目に映る作品の順番など、メンバーからたくさんのアイデアが出てきました。

僕ら自身も初めてづくしで、実験的なアイデアも多かった中、100BANCH運営の則武さん、武石さんをはじめPS(運営サポート)メンバーには、アイデアの相談から設営テスト、さまざまな備品貸出まで、とても親身にサポートいただき大変助かりました。Apriori.Art チームのわがままなリクエストで戸惑った場面も多かったかと思いますが、辛抱強く最後までお付き合い頂いたおかげで今回のブースが実現できました。この場を借りて深く、深く感謝申し上げます。

 

準備を進める中で増えた仲間

準備を進める中、折り紙作家の勝崎さんや、JUN MUSICの片倉惇さん、手漉き和紙工房のCorsoyard(コルソヤード)さん、カイコクの撮影チームなど、たくさんの方々に仲間として制作にご協力頂き、展示内容がどんどんパワーアップしていく感覚がありました。

100BANCHのメンバーに折り鶴をたくさん折ってもらったり、友達と徹夜でブースの布を縫ったり、大判の和紙を貼り付けたり… たくさんの方々に助けて頂きました。

中でもメイン展示作品の一つであった「ゴリラ」を折り上げてくださった折り紙作家の勝崎さんから、Corsoyardの手漉き和紙についてコメント頂いたので一部紹介させてください。

「コルソヤードの紙は、パリッとしていてクセになる折り心地。折った部分は戻りにくく、糊付けしなくてもある程度形になる。光に当てた時に折り目がくっきりと浮き出るため、折り紙特有の面の美しさが際立ちます。
折り紙作家でもある美濃和紙職人の有澤さんの全面協力のもと、裏打ち、糊引き、墨汁による染色までしていただいた、特注の和紙です」

 

ナナナナ祭ブースでの展示内容

ここからは実際の写真と共にお送りします。

 

開催の反響

来場者数:約400名 – ナナナナ祭2025のプログラムの中でもおそらく最多の動員数となり、多くの方々に、折り紙の可能性、折り紙の進化を体験してもらえました。事前に100BANCH運営の方にご用意頂いていたリーフレットは全て配布完了。模様付き折り紙などの物販も人気で、折り紙への関心の高さがうかがえました。

SNSでの反響 – 会場で撮影した写真や動画がInstagram(特にストーリー)などに多数投稿され、これを見て訪れた方や、再来場する方も多くいらっしゃいました。

新規コラボレーションの提案 – 家具ブランド、イベント企画者、IT企業、自治体などから「折り紙×空間演出」「折り紙×観光企画」といった具体的な相談をいただき、今後の展開に向けた糸口が広がりました。

 

来場者にいただけた声

展示期間中に寄せられた感想や質問の一部をご紹介します。

「折り紙ってこんなに幅があるんですね。紙じゃない素材を折る発想が面白い!」
「鹿の胸のふわふわ感を紙のヒダで再現しているのがすごい。家に1匹欲しいくらいです」
「これが一枚の紙からできているなんて信じられない…!」
「子どもの頃に折り紙を折って以来でしたが、大人でもこんなに楽しめるんですね。」
「今回初めて来たけれど、次は家族を連れて来たいです。」

折り紙に対する認識が「遊び」からアートへと変わったという感想が多く寄せられ、展示の狙いが伝わっていたことを実感しました。

 

展示運営メンバー

今回の展示で惜しみなく協力をしてくれたメンバーのみなさま、忙しい中で知恵と体力のかぎり一緒にこの体験を創り上げて頂き、本当にありがとうございました。

加納宏徳 – 全体ディレクション、作品提供「インコ」

生田幸太郎 – 作品提供「鹿」

勝川東 – 作品提供「海亀」「フクイティタン」

長山海澄 – 作品提供「カメレオン」

勝崎友太 – 作品提供「ゴリラ」

なぞのデザイナー – アートディレクション・設営

小原 正也 – ブース設計・設営

川本祐未 – ブース運営、顧客サポート

山本真由美 – 広報PR・SNS発信

駒村 侃直 – Webサイト制作

齋藤 圭子 – ブース運営、撮影モデル協力

片倉純 – ブースの立体音響設計

Max – 動画・画像撮影

Matt from Rescue the Pricess! – 動画・画像撮影
https://www.youtube.com/rescuetheprincess

100BANCH入居者のみんな – 折り鶴の制作協力、その他

 

協力会社様(敬称略、順不同)

JUN MUSIC – ブースの立体音響設計
https://jun-music.net/

石川金網株式会社 – おりあみ(金属折り紙)のご提供
https://oriami.jp/

金長特殊製紙株式会社様 – 糸落水のご提供
https://itorakusui.com/
https://www.instagram.com/ito_rakusui/

エムズシステム – 波動スピーカー
https://www.mssystem.co.jp/

吉岡板金工業所 – チタン恐竜の制作
https://yoshiokabankin.com/

株式会社カイコク – 撮影協力
https://kaikoku.co.jp/

Corsoyard – Handmade Paper Studio 手漉き和紙工房
https://corsoyard.com/

 

加納からのコメント

最後に、Apriori.Art 共同代表として初展示「オリガミの庭」にご協力・ご参加くださった皆さまへ心からの感謝をお伝えします。文字数の関係で収めきれなかったストーリーもたくさんあり、どこかでSNSなどの発信を通じてお伝えできればと思っています。

折り紙が「アート」として認められる未来へ向けた第一歩として、「オリガミの庭」は私たちにとって大きな挑戦でした。3日間で約400名もの方にお越しいただき、伝統と革新が交差する、折り紙の可能性に触れていただけたことは、何よりの喜びです。

ナナナナ祭での展示を通じて、折り紙は単なる遊びではなく、人と人、地域と世界をつなぐアートでありコミュニケーションのツールであると実感しました。お越しいただいた皆さま、あたたかく支えて頂いた100BANCH運営の皆さま、そして協力企業や折り紙作家のみなさまなしには、この成功はあり得ませんでした。改めて、深く深くお礼申し上げます。

Apriori.Artは、これからも紙を折ることで伝統と未来を紡ぎ、新しい「ORIGAMI」の形を模索していきます。次の展示やSNSで、皆さまとまたお会いできる日を楽しみにしております。

http://apriori.art/

長文レポートを最後までお読み頂きありがとうございます。最後は、強行スケジュールで無茶しがちな僕を、今回の展示含め、いつもそばで支えてくれている妻への感謝の言葉で締めたいと思います。いつも本当にありがとう。

 

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