
新しい制服に着替えて、街へでよう!
学生服を変えることを通して、学校教育を変えることを目指すプロジェクト「Science Fiction Club」。制服のメリットを活かし、既存の問題点を解決することに取り組んでいます。
ナナナナ祭2025ではブース展示「新しい制服に着替えて、街へでよう!」を実施。制作した「ひとりひとりバラバラだけど、共通している」制服を見るだけでなく実際に着ていただき、街を歩いてもらうことにも挑戦しました。その模様を、Science Fiction Clubの稲田が振り返ります。
ナナナナ祭の3ヶ月前、僕たちは別会場で、制服をテーマにした展示会を行いました。そこでは「制服に着替えて街に出る」というプロジェクトを実施する予定でしたが、あいにくの雨で中止に。それならばと、ナナナナ祭でリベンジしようと決めたのです。
僕たちScience Fiction Clubの制服事業は、まだ始まったばかり。たとえば、モデルを10人ブッキングしたくても、資金が足りません。だったら——「お客さんにモデルになってもらおう!」そうしてこのプロジェクトが生まれました。
僕たちが目指しているのは、「多様でありながら、つながっている」制服です。今までの制服のような「ひとつのものを学校全体で着る」というものではないので、制服1型だけの展示ではそのコンセプトは伝わりません。たくさんの人が、それぞれ違う制服を着ているのに、どこかで共通している——その状態こそが僕たちの目指す姿です。それを見せるためには、制服を着た人々を“集団で、一度に、みせる”というパフォーマンスが必要でした。
今回のナナナナ祭では、新たに設置された「櫓(やぐら)企画」の枠の中で、僕たちはファッションショーを行いました。
テーマは、“街をランウェイにする”こと。制服を着た学生たちが、街の風景の一部としてそこに溶け込むことで、制服が実際にどこかの学校に採用されたときのリアリティを、通りかかる人々に強く印象づけたいと考えました。だからこそ、モデルにはプロではなく一般のお客さんにお願いしたことが効果的でした。均質ではない個々の身体が、ばらばらでありながら同じ制服をまとって街を歩くことで、僕たちの提案する「ばらばらだけど共通している」制服像が浮かび上がったのです。
当日は、多くの人が足を止めてくれました。そしてショーのあと、ブースにも「さっきのファッションショーを見てきました!」と声をかけてくださる方が何人も訪れてくれました。街と人と制服が交差する——そんな瞬間をつくることができたと思います。
ナナナナ祭では、本当にたくさんの人と出会うことができました。制服を着て歩いてくれた人、足を止めてくれた人、話しかけてくれた人。その人たちの中には、一緒にプロジェクトを進めたい、という人もいました。偶然その場に居合わせただけかもしれない誰かとの出会いが、僕たちのプロジェクトを少しずつ前に進めてくれたのです。
ここで出会った人たちと、これから先、一緒に何かをつくっていけたら嬉しいです。ナナナナ祭は、未来への種まきの場になりました。