あなたは大切な人のことをどれだけ知っていますか?
自分の人生を誇れる未来をつくる。
JINSEI SOCHO
あなたは大切な人のことをどれだけ知っていますか?
自分の人生を誇れる未来をつくる。
JINSEI SOCHO 伊原菜月
2025年も未来に向けた実験を大胆に繰り広げる100BANCH。メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2025年 今年の抱負!:巳(実)のなる1年に」。
今日の執筆者は、本づくりを通して自分の人生を誇りに思える社会の創造を目指す、JINSEI SOCHOの伊原です。
明けましておめでとうございます!人生想帖の伊原菜月です。
皆さん、2024年はどんな一年でしたか?大切な人とどのような時間を共有しましたか?
人生想帖(https://jinsei-socho.studio.site/)は、あなたの大切な人の人生を綴った本をつくるプロジェクトです。あなたの大切な人の思い出や願いを形にするため、インタビュアー、写真家、デザイナーが伴走し人生に“誇り”を持てる本を一緒につくっていきます。
今日は、私の大切な人 ばぁば のお話をしたいと思います。
私のばぁばは元々とてもパワフルで、お洒落で、私にとって自慢の存在でした。しかし、じぃじを亡くしてからは、よく電話で「私の人生なんてあまり良くなかった」「早くじぃじのところに行きたいわ」と悲しい言葉を口にするようになりました。旅行を提案しても「足が痛いから無理」と拒まれるばかり。栃木と東京で離れていることもあり、会いたくてもすぐには行けない。私自身もどう元気づければいいのか分からず、モヤモヤした気持ちを抱えていました。
そんな時、人生を一冊の本にするというプロジェクトを提案され、ばぁばをモデルに最初の本をつくることにしました。「私の人生を本にしてどうするの?」と最初は抵抗していたばぁばも、インタビューをしていくうちに「案外、私の人生も悪くなかったのかも」と目を輝かせるようになりました。知らなかったばぁばの一面を知り、私たち家族の絆も深まりました。
そんな中で、ばぁばが変わったと感じた瞬間がありました。「文化服装学院に行きたい」と自分から言い出したのです。それまで動くことを嫌がっていたばぁばが、自分から過去の思い出の地を訪れたいと言うのです。すぐに旅行を計画し、思い出の場所を巡りました。じいじと学生時代のデートの時に食べていた中村屋のカレーを食べる姿、文化服装学院に行った時のとても誇らしげな顔は家族の宝物となりました。この旅行が成功体験となり、自信を取り戻し、3か月に一度旅行に誘ってくるパワフル89歳ばぁばが誕生しました。今では次の旅行をワクワクしながら日常を過ごしています。
この体験を通して、人生想帖には人を変える力があると実感しました。そして2025年、私はこのプロジェクトをもっと多くの人に届けるために、100BANCHでの新たな挑戦をスタートしました。
そんなばぁばの希望で、今年のお正月は家族揃って日光の旅館で過ごしました。そして1月2日、ばぁばは90歳を迎えました。
温泉を楽しみ、夜には高級パックをしながら「少しでもこのシワ、伸ばすのよ」と必死に伸ばすばぁば。その姿は、自分らしく生きることを楽しむ姿そのものでした。
そんなばぁばを見て、先日ふと流し見していたアニメ「コジコジ」の第一話を思い出しました。
集英社りぼんマスコットコミックス新装再編版「コジコジ」1巻より(C)さくらももこ
「これだ!」と思いました。
ばぁばも、私が憧れる多くの人も、みんな自分を追求し、自分らしく生きています。それがどれほど素晴らしいかを改めて感じました。
2025年、私はデンマークに渡り、新たな地での勉強と仕事に挑戦します。未知の環境に飛び込む不安もありますが、「私は私」。ばぁばとコジコジのように、自分らしくあり続けることで新しい道を切り開いていきたいと思います。
人生想帖は、単なる本作りのプロジェクトではありません。それは「その人を知るためのツール」です。
現代社会では、高齢者施設がAIで効率化され、人を効率的に管理する仕組みが進む一方で、「その人らしさ」や「尊厳」が見えにくくなりつつあります。家族でさえ、忙しさの中でお互いの話を深く聞き、その人を見つめる機会が減ってきています。
そんな時、人生想帖は、その人を深く知るきっかけを作ります。言葉や物語を通して、大切な人の人生に触れることができる。それは、自身も忘れられがちな「その人らしさ」を取り戻す力を持っています。
2025年は、私にとっても人生想帖にとっても巳(実)のなる1年です。このプロジェクトが、より多くの人々の心に響き、大切な人との新しい物語を紡ぐ手助けになることを願っています。
どうぞ、2025年もよろしくお願いいたします!
メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2025年 今年の抱負!:巳(実)のなる1年に」をお届けしています。他のメンバーによる記事は以下のリンクからご覧いただけます。若者たちの熱や未来への兆しをお楽しみください。