• イベントレポート

100年先の未来を描く3プロジェクトが登壇 2024年8月 GARAGE Program実験報告会

100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験”を広くシェアするイベント「実験報告会」。

これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。

2024年8月28日に開催した実験報告会では、「日本をかくれんぼ大国にする」というスローガンを掲げ、老若男女が楽しめる未来のかくれんぼを模索するハッカソンや日本選手権の開催など、本気のかくれんぼの普及に取り組んでいるGARAGE Program21期生「Seek new game ; Hidden in the future」の高山勝(一般社団法人日本かくれんぼ協会 代表理事)をナビゲーターとし、GARAGE Programの計3プロジェクトが活動を報告しました。

本レポートでは、GARAGE Programの3プロジェクトの発表内容をお伝えします。

LifehackMaterial

世の中にあふれている素材を見つめ直し、素材が持つ可能性を示していく

登壇者:五月女健翔

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/lifehackmaterial

「LifehackMaterial」は、身の回りに存在するすべてのモノを素材として捉え、その使い方、使われ方を見つめ直し、ポテンシャルを引き出すデザインを行うプロジェクトです。

五月女:私たちはGARAGE Program期間を3ヶ月延長しました。それまでつくっていたのは椅子やライトといった小さなものでしたが、延長期間の3ヶ月では空間レベルでのアウトプットを行いました。ナナナナ祭では、「AL_YAGURA」というタイトルで、空間内にいろいろな素材を散りばめ、来場者の方へ素材の可能性を伝える展示をしました。さまざまな声をいただいて、少しでも世の中に素材の可能性を伝えることができたと感じています。同時に、これまで制作した椅子なども、座り心地などの機能面を評価していただいたり、「買いたい」という声もあがったので、改めて販売を考えるきっかけにもなりました。

また、他にもいろいろな素材の使い方を模索した結果、廃棄畳と縄の2つの素材に着目しました。「畳は一部分が汚れているだけでも全部取り替えて廃棄しなければならない」という話を聞いて、部分的に再利用した「TATAMI_CHAIR」という椅子につくりかえたりしました。また、まだ構想段階ですが、手芸するように紐を編んでつくる「MUSUBI_CHAIR」という椅子の制作も進めています。販売も意識しているので、そのためのアプリやウェブサイトなどもつくっているところです。

「今後、DESIGNART(デザイナート)への出展を予定しています。同時に、制作物の販売の準備も進めながら、いろいろな素材の可能性を伝える活動を続けていくつもりです。」と、五月女は話しました。

 

Sekirara Card

恋愛や性の価値観をディープに話せる出会いの場・対話の仕組みづくりをしたい!

登壇者:藤原紗耶

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/aikata-labo-for-healthy-relationships

「Sekirara Card」は、恋愛や性の価値観などについて、心理的安全性を保ちながら対話ができる場づくり、仕組みづくりを行い、誰もが対等で自分らしいリレーションシップを構築できる未来をつくるプロジェクトです。

藤原:100BANCHには去年の4月に入居し、現在は「セキララカード」を制作しています。1枚1枚にお題が書いてあるカードで、「学校で学びたかったことは?」という真面目な内容もあれば「より良いパートナーシップを築くためにはどんなことをしたらいい?」「理想のデートはどんな感じ?」など恋愛の話も入ってます。このカードをつくった理由は、自分の過去の恋愛がすごく苦しかったからです。人と付き合う中で、重いと思われたくなくて真面目な話ができなかったり、避妊してほしくても伝えられなくて自分を責めたり、しんどい時期が長くありました。友達にアドバイスを求めるとみんな「相手とのコミュニケーションが大事」と口を揃えて言うのですが、そんなことは自分でもわかりきっています。その方法がわからない、実践ができないからずっと苦しみ続けているわけです。そこで、いい方法はないかと考え、海外の事例について調べました。すると、欧米では「対話が大事」という認識と実践が日本よりもはるかに広がりつつあって、カウンセリングやアプリ、ゲームがすごく充実していることに驚きました。日本ではカウンセリングはちょっとハードルが高そうなので、まずはゲーム感覚で対話につなげられるものがよいのではないかと考え、カードの制作を始めました。友人カップルに検証させてもらったり、100人規模のイベントを開いて感想をもらうことを繰り返しました。また、差別的な用語が入っていないか、LGBTQフレンドリーかを大阪大学の岡田助教に監修してもらっています。Googleで印刷会社を探し、ECサイトをつくって、去年の7月にカードの販売を開始しました。真面目な対話カードだと市場に出回らないと考え、できるだけポップでおしゃれなデザインにこだわりました。おかげさまで口コミで広がり、1年間で2,000個の販売を達成しました。カードの内容はディープですが、お洒落でかわいいので様々なメディアで取りあげていただいたりSNSでもシェアしていただいています。「普段は話せないことや性のことをオープンに話せた」といったポジティブな感想もたくさん届いています。そして、コミュニケーションが必要であるとわかっていながらもやり方がわからず、実践に落とし込めないことは恋愛や友達以外でも家族や職場など、いろいろあると思います。そこで、親子で使うカードや、おじいちゃんおばあちゃんに質問するインタビューカードのようなものも現在つくっているところです。

「今後は、対話が必要とされているけれども実際に落とし込めていない、競合があまりいないアジアで展開していこうと思っています。展示会にも積極的に出展していきます。あらゆるコミュニケーションから発生してしまう問題を少しでも良い方向にしていきたいと思います。」と藤原は話しました。

 

Assassin from India

三軒茶屋のシェアハウスで育んだ文化と ヒューマンリソースをインストール

登壇者:高野一樹

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/assassin-from-india

「Assassin from India」は、 「三軒茶屋のインド」と呼ばれるシェアハウスを運営しているメンバーが「100BANCHにインドをインストールする」ことを掲げるプロジェクトです。

高野:僕らは100BANCHに入居した当初、インドから刺客を送り込んで「100BANCHをインドにする」というコンセプトでプロジェクトを始めました。運営しているシェアハウスが「すごくインドっぽいね」とよく言われるので、その「インド」が何かを探る活動をずっとやっています。

2021年2月入居して、カレーをみんなで食べたり、ガネーシャを受付に置いたり、インドっぽいミーティングをしたりしたのですが、思ったよりインドっぽくなかったんですね。それでみんながインドに行きたくなる「インドネーター」というウェブアプリをつくりました。問いかけに答えていくと、最終的にはインドに行きたくなる、というものです。また、東京にあるインドっぽい不動産をたくさん掲載した「東京インド不動産」というサイトもつくりました。ナナナナ祭2021では、インド哲学の山口先生と語るイベントを企画したり、同年のナナナナ祭で「突然ボリウッドダンスを踊りだしたらまわりも踊りだすのか」という実験も行いました。その後の実験報告会で発表したところ、参加者から「あなたのイメージするインドは実はそんなにインドじゃないんじゃないか」と言われたことをきっかけに、概念としてのインドを目指すべきだと考えるようになりました。

ナナナナ祭2022では、見知らぬ人にチャイを配って飲んでもらうイベントを企画しました。旧Twitterで「インドに行くと急に『チャイ飲むかい?』と聞かれてそこからコミュニケーションが始まるんだ」という投稿がバズっていて、実際にやったらどうなるか実験してみました。熱いチャイを出すと、飲むのに時間がかかるから、そこで会話が生まれるんですね。それを僕らは1CT(ワンチャイタイム)と呼んでいます。この2分くらいの間に何かコミュニケーションが発生するからインド人は仲良くなるんじゃないか、ということが分かりました。人と仲良くなりたかったら、すごく熱い飲み物を出すと実は仲良くなれるかもしれません。

ナナナナ祭2023では「インドからの電話」というのをやりました。コロナ禍が終わったとはいえ、インドはやっぱり遠いんです。そこで、7分でインドに行けるサービスがあったらいいんじゃないかと考えました。電話がかかってきて、その指示に従うと、チャイが配られたり、人助けのようなことができるなど、インドを感じることができる、7つのことが起きるようになっている企画です。

今年のナナナナ祭2024では「マ!?インドフルネス」という企画をやりました。自分に集中するのではなく、「自己集中から気をそらせる時間を誰でも手に入れられる世界をつくってもいいのではないか」という仮説から、オルタナティブなマインドフルネスをつくりました。カオスな時間をつくれば、自己集中できなくなり、インドフルネス状態になるのではないかと考え、「カオスな音」「カオスな映像」「カオスな空間」を用意しました。、当日は170人ぐらいの方が体験してくれました。、カオスで不安になる方が多いのではないかと思っていたんですが、アンケートを結果を見ると、意外と安心感を感じる人が多かったことが分かりました。コスモとカオスは逆の概念だと思っていたんですが、実は究極のカオス状態になるとそこにコスモが生まれるのではないかと思いました。報告としては以上です。

「シェアハウスが10月末で閉鎖してしまうので興味ある人は来てください。また、現在、次の拠点として『アーバンジャングル』というものをつくるためにクラウドファンディングをやっているので、ぜひ協力してください。」と高野は呼びかけました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。​​​​

LifehackMaterial https://youtu.be/6X2DudToo0k?feature=shared

Sekirara Card https://youtu.be/0Bh2eKjyHhg?feature=shared

Assassin from India https://youtu.be/yipVmypdSq8?feature=shared

次回の実験報告会は9月26日(木)に開催。ぜひご参加ください!

(撮影:鈴木 渉)

 

<次回実験報告会>

「テクノロジーで地域課題を解決し、豊かで暮らし続けたいまちをつくる。」100BANCH実験報告会

 

 

【こんな方にオススメ】
・100BANCHに興味がある
・GARAGE Programに応募したい
・直接プロジェクトメンバーと話してみたい
・コミュニティに興味がある
・政治に興味がある
・地方創生、DXに興味がある

【概要】

日程:9/26(木)

時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)

会場:100BANCH 3F

参加費:無料(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

 

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/64214/

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