楽しさの垣根のない場をつくることで、 障害を生み出さない社会を目指したい
Blined Project
楽しさの垣根のない場をつくることで、 障害を生み出さない社会を目指したい
視覚の状態に関わらずみんなが楽しめるボードゲームの開発をするBlined Project。晴眼者(見える人)と視覚障害者(見えない人・見えにくい人)の間にある「分断」に対する問題意識から、「楽しさ」をテーマに社会の障害理解を進めるコンテンツ開発に取り組んでいます。
ナナナナ祭2024では、これまで2,000人以上の方々に遊んでいただいたボードゲーム「グラマ」に加え、新作「見ても見なくても見えなくても楽しめるボードゲーム “しりとリズム”」の体験ができるブースを開きました。その様子を、Blined Projectの浅見がお伝えします。
はじめまして。Blined Project(ビーラインドプロジェクト)です!
私たちは、見ても見なくても見えなくても楽しめる物と場を増やして、視覚障害のある人とない人が一緒に楽しさを共有する瞬間で溢れる社会を目指しています。
突然ですが、視覚障害のある人って日本にどれくらいいると思いますか?
以前とある高校でワークショップを実施させていただいたときも同様の質問をして、3000人や5万人といった回答が返ってきました。
正確な数字は出せておらずあくまで推計ではありますが、日本眼科医会によると200万人が視覚障害に該当する視覚の状態であると言われています。思ったよりも随分と多いのではないでしょうか。しかし、総務省によると30万人とも言われています。様々な事情から両者のデータに大きなギャップがありますが、いずれにしても想定していたよりも数が多いと感じるのではないでしょうか。
視覚障害のある人はそれだけ数が多いわけですが、一緒に関わったことがある方や、ましてや遊んだことがある人は少ないのではないでしょうか。私たちは、その原因は世の中全体が視覚に依存しているからであると考えています。それによって外出が難しくなったり、視覚障害のある人とない人で交流するのが難しくなったり、両者の間に心理的な壁が生まれたりしていると思います。
その現状を変えるべく、私たちビーラインドプロジェクトは、見ても見なくても見えなくても楽しめる物と場を増やす集団として日々活動をしています。
今回のナナナナ祭に向けて、去年のナナナナ祭にプロトタイプとして開発したボードゲーム「しりとリズム」を製品化させるプロジェクトを立ち上げ、ナナナナ祭当日にはその体験ブースを開催しました!
しりとリズムとは、リズム感、語彙力、記憶力が試される新感覚のしりとりです。グラマに続く、見ても見なくても見えなくても楽しめる新作ボードゲームです。
このボードゲームは、視覚障害のある大学生と晴眼者の大学生が熱中して対戦することを目指して開発してきました。検証段階では視覚障害のある大学生にもご協力いただきましたが、毎回全盲の友達が勝つという由々しき事態となりました(笑)難しい!
三日間の合計で80名から100名の方々にボードゲームをご体験いただきました。
当日は、しりとリズムのブースに加えて、2年前に開発したボードゲーム「グラマ」の体験ブースも設置しました。協力を目指すボードゲーム「グラマ」とノリノリになって対戦するボードゲーム「しりとリズム」という対照的な二つでした!
特に初日の検証結果で、プロトタイプ段階よりもさらに難易度を上げたことによって、晴眼者の方には若干難易度が高くなったことがわかりました。以前の検証段階で、視覚障害のある大学生や若手社会人の方にはちょうどいい難易度であった一方で、もしかしたら晴眼者の方がやや苦手な傾向にあるのかもしれません。
「もう一回やりたい」という方もいらっしゃれば、「わたしには難しいからちょっと見ていようかな…」という方もいらっしゃり、難易度が個人によってばらつきが生まれてしまっていました。
三日目は二日目までの反省も活かしながら、ルールを柔軟に変更してより楽しめるものへと改善することができました。いくつか改善しながら進めていきましたが、その中でもとても大きな改善につながったのがターンの回し方についての調整です。それまでは間髪入れずに即興で新しいワードを考える必要のあるルールでしたが、難易度を調整するためにも、スタート時に間も置いて自分のターンを始めてもいいルールに変えたのがとても大きかったです。その後スタッフも混ざってやりましたが、そのおかげもあって今以上にとても楽しかったです(笑)
今回のナナナナ祭に合わせて急ピッチで製品化のプロジェクトを進めてまいりました。私たちと視覚障害のある大学生にはとても楽しんでいただけた一方で、初めての方にはまだ難易度が少し高いことがわかりました。ナナナナ祭では、ルールを微妙に変えながら検証を行い、最後の方には初めての方もさらに盛り上がるものへと発展していきました。今回の検証を踏まえて、より良い形にブラッシュアップして、より多くの方々のもとに届けていきたい所存です!
来年のナナナナ祭も楽しみにしております!