• イベントレポート

100年先の未来を描く3プロジェクトが登壇 2024年3月 GARAGE Program実験報告会

100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験“を広くシェアするイベント「実験報告会」。

これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。

2024年3月26日に開催した実験報告会では、環境に配慮した新たな納豆パックの開発や全国の納豆が買えるECサイト「納豆天国」の運営、納豆インフルエンサーとして各種メディア出演など多方面に活動しているGARAGE Program 37期生「natto pack2.0」の鈴木真由子をナビゲーターとし、GARAGE Program の計3プロジェクトが活動を報告しました。

本レポートでは、GARAGE Programの3プロジェクトの発表内容をお伝えします。

MANBAI

マンガの力で、外国にルーツを持つ日本在住の高校生の選択肢を一万倍に増やしたい

登壇者:柳下碧

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/manbai

 

「MANBAI」は、マンガやSNSを活用しながら、外国にルーツを持つ高校生が幅広い進路を選択できる社会の実現を目指すプロジェクトです。

柳下:日本在住で外国にルーツを持つ日本語指導が必要な高校生は、進学や就職が難しいなど、進路選択で課題を抱えています。NPOや自治体がボランティアを活用して様々な支援を行っているんですが「対面」での活動が多いです。そこで私たちは外国にルーツを持つ高校生が「オンライン」でワクワクしながら自分の明るい未来を描けるようなツールをつくりたいと思って活動してきました。100BANCHに入居してからは、マンガが描ける友人とコラボして実際にマンガを作成しSNSでその認知度向上を図ってきました。しかし、オンラインの支援・発信だけではなかなか当事者に届かないという課題がありました。そこで、認知度の向上およびロールモデルとなる方との出会いを創出するため、100BANCHのスペースを借りて3月17日にイベントを実施しました。高校生とその関係者に参加していただいたのですが、中国にルーツを持ち、横浜市役所で働きながら多文化共生をされている方、ブラジルにルーツを持ち、多文化ソーシャルワーカーを目指して介護の業界で働いている方の2名をお招きして講演、Q&Aセッションを行い、最後には今後自分がどうしていきたいかを紙に書き出すワークショップを行いました。なかなか外国にルーツを持つ先輩に出会う機会がない中、実際に出会って自分の将来を考える良い機会をつくることができたと思います。最初は集客も不安でしたが、参加者アンケートでは満足度も高く、需要を感じたので今後もこういったことができたら良いなと思います。また、ウェブサイトを制作して発信しているのですが、実際に中高生に使ってもらったところ、「横スクロールだと見にくい」「そもそも何の活動なのか分からない」など、色々とアドバイスをいただいたので、ルーツごとに記事をソートできるようにしたり、マンガや記事をスクロールで読めるようにしたりと、その改善も行ってきました。

 

「現在、ボランティアの活動場所が横浜市など一部のコミュニティに限られてしまっています。今後はオンラインでの活動など、活動の幅を広げていきたいと思っています。」と柳下は話しました。

 

Tateru

「点てる」という行為の浸透から、第三の時間を街なかに。

登壇者:副田優喜

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/tateru

 

「Tateru」は、お茶を「点(た)てる」行為を浸透させ、人々に安らぎの時間と場所を提供することで、街なかで第三の時間の開放を目指すプロジェクトです。

副田:私たちの目標は「ふつうにお茶を点てる」ことを街に浸透させることです。そして手段として、最終的には実店舗を出すことを目指しています。100BANCHに入ってからは、5個のやりたいことをまとめてきました。社会の面でいうと2つあります。1つ目は「第三の時間」を提供すること。カフェというのは、ある種避難所というか「プライベートな部分」「仕事の部分」 「そことまた違う自分」でいられる空間です。お茶を点てる行為を通じて、そういったありのままの自分になれるんじゃないかと思っていて、それが自分たちがいう第三の時間です。2つ目は他者の存在を美しく、ということです。ぼくは他者がすごく苦手というか、人見知りな部分があったり人間関係で色々と面倒くさいと思ったりすることが多いんですけど、大学でおこなっているお茶のお稽古の時だけは、「人といていいな」と思ったりしています。他の人がお茶を点てていたり、お茶の心で気遣いをしているところを見ていたりすると「すごく豊かだな」「生まれてきて良かったな」と思うので、そういった空間をカフェでやりたいと思っています。ただ、お茶の側面では課題もあり、お茶を点てるというのはすごく敷居が高いんですね。しかし、やってみたら意外と簡単にできるので、誰でもお茶を点てられるようなフロー、オペレーションを考えています。あとは、Tateruというお店から色々な循環が生まれればいいなと思っています。お茶が喉元を通ったり、お茶碗に残る温かさを感じたりするだけではなく、茶せんの伝統やお茶碗をつくっている職人さんに思いを馳せてみると、そこにもまた温もりがあるんじゃないかなと思っているんです。そういう素材の循環から、温もりを愛でることもお店でできたらいいなと思っています。最後は、西魂和才からの脱却です。現在、例えば抹茶のプロテインなど、抹茶が商材として使われすぎてるなと感じており、そこから脱却したいなと思っています。

 

「自分たちが何を目指してるかわかりやすく伝えると、スターバックスを超えることです。街なかにあるスターバックスがTateruのお店に変わったら、すごく素敵な循環ができるんじゃないかと思っています。現代の食の課題として、食文化がグローバリズムで画一化されていたり、季節感があるものがちょっとずつなくなっていたり、砂糖や脂質などの過剰摂取といったものがあります。その食習慣の改善に寄与して、食の歴史にTateruの名を刻めたらいいなと思っています。」と副田は話しました。

 

Rendery

AIで誰もがデザインを創造、そして共有できる世界をつくる

登壇者:加藤利基

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/rendery

 

「Rendery」は空間デザインにAIを活用し、ステークホルダー間のコミュニケーションギャップを埋めることで「建築の民主化」を目指すプロジェクトです。

加藤:Renderyは空間デザインのディスコミュニケーションをなくし、誰もがデザインを創造して共有できる世界にしていきたいと考えています。空間デザインでは、ステークホルダー間のディスコミュニケーションが起きています。こういったデザインに関してコミュニケーションをとるのは、デザイナーだけではなく、営業や企画担当の非デザイナーの方も多く、理想の空間というものに少しズレが生じてしまう可能性があります。さらに、ビフォーアフターのイメージを空間上に落とし込むのはなかなか難しいと思っていて、現在はCGイメージパースで表現するのが主流になってきているんですが、やはりコストと時間が非常にかかってしまいます。そこで、リアルタイムですべての事業者がお互いに顧客にデザインを表現できれば、コストを下げながら顧客が満足いくデザインをスピーディーに提供できるんではないかなと考え、それを形にしたのがRenderyというサービスです。Renderyでは、コンセプトとなる言葉を入力すると、AIがそれを空間デザインに落とし込んでくれます。PinterestやInstagramなどの写真から、空間に落とし込むこともできるようになっています。部分的な編集もできるので、例えば壁紙を替えたいという場合など、よりリアルにシミュレーションできるような形になっています。また、内装の話だけではなく、まちづくりにも対応することが可能で、AIの画像を出力しながら、どういった未来をつくっていけば良いかというところも一緒に考えています。実績としては、9月から実証実験をやらせていただいてて、現在は35社ぐらいの会社に協賛いただき、トライアルで生成した画像は1万枚に近づいてきている状況です。

 

「他の100BANCHのプロジェクトとも色々と協力したり、一緒に実験したりして、ぼくらの視野もどんどん広がってきました。Renderyのサービスは、4月にリリース予定なので、みなさん注目していてください。」と加藤は話しました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。​​

MANBAI https://youtu.be/1DZNHueLcIA?si=hsSHiof836eeFdWX

Tateru https://youtu.be/5oZ7cr6Z1vY?si=kvZJnY8R5jrb4RYF

Rendery https://youtu.be/eIaINm-Cn08?si=6WvTv639ygQQP25V

次回の実験報告会は4月25日(木)に開催。ぜひご参加ください!

(撮影:鈴木 渉)

 

<次回実験報告会>

「異なる人々をつなぐ接点の発明で、新しい社会の見方をつくる」100BANCH実験報告会

 

 

【こんな方にオススメ】
・100BANCHに興味がある
・GARAGE Programに応募したい
・直接プロジェクトメンバーと話してみたい
・インクルーシブな社会の実現に興味がある
・発明、ものづくりに興味がある

【概要】

日程:4/25(木)

時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)

会場:100BANCH 3F

参加費:無料(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/60575/

 

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