• イベントレポート

研究者の熱量を感じ取って。Mitsubachi DAOの研究ピッチコンテスト

研究を数字以外で評価し、一般社会が直接支援する新たな取り組み

「Mitsubachi DAO」は、トークンを用いた自律分散型の組織(DAO)を用いることで、若手研究者など、研究が大好きでありながら研究資金を獲得できていないような研究者の資金問題を解決するためのDAOの構築を行うプロジェクト。

その実現を目指し、「Mitsubachi DAO」は2023年3月18日に、100BANCHにて「【あなたの1票が若手研究者の支援に!】Mitsubachi研究ピッチコンテスト」を開催しました。

DeSciという新しい科学のムーブメントの一端を担うような位置づけとして実施した今回のイベントについて、「Mitsubachi DAO」のリーダー、根本一希がレポートします。

DeSciとは、簡単にいうならば主にブロックチェーンの分散型技術を用いて科学自体が抱えている諸問題を解決していこうという取り組みです。今回は、特に科学の資金調達という問題に対して取り組んでいます。

このイベントは、事前のチケット申し込みが定員であった50人を超えるなど、始まる前からとてもみなさんからの期待を集めるものとなっていました。そして当日は、実際にDeSciやサイエンス に関連する企業や活動家の方々をお呼びしてパネルディスカッションを行い、DeSciの前提知識を参加者に提示した上で、メインイベントとなる発表会を実施しました。

発表の内容は、参加者から“熱量”というものが伝わったという共通の感想がいただけるほど、とても素晴らしい会となりました。この熱量をそのままに、最後の交流会では盛況なディスカッションが長く行われ、次回や100年後への実施への思いが確信に変わった回となりました。

 

研究界への新たな提案

研究社会は現在、さまざまな問題を抱えています。今回パネルディスカッションのパネラーかつ審査員として参加されたDeSciの分野で日本で一番精力的に活動されている濱田博士の文章によると、

  • 出版社との問題
  • 論文の再現性の問題
  • 研究者の資金調達の問題

などが研究の問題として挙げられます。(出典

これらの問題に対して、現状さまざまな形で取り組みが世界的に行われていますが、その多くはヨーロッパやアメリカ発であることは事実です。

しかしながら、分散型というソリューションに対して私たちはそのままでいいのであろうかという疑問がありました。研究とは、公共財としての面を有しながらも、一部に集中や寡占が起こっている。だからこそ、私たちは、日本や東アジア、そしてアジアを代表しつつも、その新しいムーブメントの中心地として活動を行うことにしました。

そして何より、私たちは最初からコミュニティとして新しい研究者の巣を作ってきたこともあり(研究コミュニティ ミツバチ)、その活動に対しての必要性を重々感じていたからです。

 

Mitsubachi DAO PJとは

私たちは、このようなモチベーションで始めた活動をMitsubachi DAO PJと名付けました。

Mitsubachi DAO PJとは、現状までの研究の資金調達方法とは少し異なった方法を提案するためのDeSciのプロジェクトです。

現状までの資金の調達方法としては、税金を用いた科研費などの再分配的な方法、または市民からの資金を流入させるような方法などがあります。これらは、支援される側・支援を受ける側にとって当事者性や即効性、不平等が課題としてありました。

なので私たちは、それらの問題を解決するために「一般社会が直接支援できるような社会の構築」するということを目的としてPJを進めてきました。

詳しく述べると、なかなか現制度では評価されにくい若手研究者や研究者への支援を生み出すだけでなく、長期的には研究者としての愛など数字で表せない部分を研究者の全体性として評価できるスキームを社会に生み出す、そして研究を支援する直接市民のお金から生み出す流れを生み出すという点があります。

私たちのこの資金調達の方法は、クリエイターエコノミーに準え、“リサーチャーエコノミー”の一部として考えています。

今回のイベントは、MVP版の仮説検証として「研究が市民の手によって支援されるかどうか」ということを検証しました。具体的には、実際に、社会が直接支援することを協賛企業様からいただいたお金をもとに投げ銭のようなことができるかということを行いました。

 

研究の熱量とその感動

当日は生憎の雨でしたが、事前登録の8割以上の方に足を運んでいただきました。ほんとうにありがとうございます。

当日は、まずパネルディスカッションで今回のDeSciという考え方・ムーブメント自体のディスカッションをしました。その後、メインイベントとなるミツバチスカラシップイベントを実施しました。

各研究者のプレゼンテーションは、その研究内容の面白さもさることながら、実際に研究者を目の前にして聞く研究者の発表はとても熱量を感じることができて特別な体験でした。

この中で僕が確信したことは、愛や熱量は伝わるということです。例えばある参加者のエピソードはとても印象的で、参加者の方は研究者ではないバックグラウンドにも関わらず、熱量が伝わり応援してしまったという点です。私たちが目指す、研究の指標としての数字以外の研究者の評価が実際にできた気がしました。その言葉を聞いた時、僕自身ホッとしたのと、前へ突き進む覚悟ができました。

次回への問題点と次回、100年後への思い

私は今回のイベントを通して、熱量というような数字にならない部分が伝わるとわかりました。次は実際に、その”熱量”がお金として投資されるのかという点が次なる仮説となります。

次回は同じように日本で開催するものの、関わる方々は倍以上にして実施したいと思っています。そして2年後には、その実験をサンフランシスコにて実施して、グローバルな会にしたいと思っています。世界各地から研究者と研究を支援したい人を集めて行う、研究の祭典。これを利用して、最終的には実際にDAOを作り出したいと考えています。

直近は、実際に一年後の第二回のために活動を続けていきたいと思っています。ですので、そのイベントに支援いただける企業や篤志家の方、そして一緒に運営やご協力くださる方々と一緒に次の研究社会を作っていきたいのでぜひご連絡ください!

Twitter 

責任者 根本

https://twitter.com/nimotougou

研究コミュニティ ミツバチ

https://twitter.com/Mitsubachi_univ

ご協力ありがとうございました!

 

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