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楽しい未来のお酌文化? 体験型展示会「自動お酌マシーンDozo-Dozoと秋の夜長」イベントレポート
Dozo-Dozoは、お酌文化への違和感から生まれた「自動お酌マシーン」の制作を通して、文化の再定義を目指すプロジェクトです。2022年10月28日(金)の夜、100BANCH1 1Fテラスにて、自動お酌マシーンDozo-Dozoの体験型展示会を開催しました。
自動お酌マシーンでお酌を義務からコミュニケーションへ
日本特有のお酌文化。
相手をねぎらい、コミュニケーションの手段として行うお酌は、思いやりに溢れ、あたたかい。
一方で、職場の宴席等で、義務感や強制力を伴って行うお酌は、なんだか冷たく、悲しい。
しきたりや習慣が形骸化されることで、ネガティブなものになっていることに、違和感がありました。
自動化という選択肢を加えれば、しきたりから解放されて、もっとみんなが楽しめるかも!
そんな想いから、自動お酌マシーンDozo-Dozoを開発しました。
とはいえ、人間味あふれた「お酌」という行為を、テクノロジーで自動化することに対し、人はどんな感想を持つのだろうか?
その答えを知るため、この度Dozo-Dozoを実際にお酌を体験してもらう展示会を開催しました。
今回の展示会では、体験いただく方の多様性を意識し、屋外開催にこだわりました。
あらかじめプロジェクトについて知っていただいている方だけでなく、渋谷の街を行き交う、通りすがりの方にも体験してもらいたかったのです。
それにより、そもそもお酌文化やテクノロジーについての捉え方が異なる、多種多様な方の偏りない意見を聞くことができると考えました。
一方で、屋外開催にこだわったことによるハードルも、少なからずありました。
当初予定していた日程は、土砂降りで雨天延期に。
また、行き交う方に目に留めてもらえるような見せ方や演出も工夫が必要でした。
会場には、プロジェクターにて紹介動画を放映し、機器説明のパネルを設置。知人によるお酌マシーンをテーマにした歌の演奏も行いました。デッキをLEDライトで囲い、お酌マシーン体験コーナーを設置しました。
当日は、30名近くの方にお酌マシーンを体験していただき、対話やアンケートを通して様々なご意見をいただくことができました。「エンタメ性がある」「楽しい!」「伝統的な和のデザインとテクノロジーの融合が面白い」「海外向け」といったポジティブなものから、「注いでいる途中に枡が落ちた場合の対応」「音声機能の音量」など、機能面でのご指摘も含め、大変貴重なものでした。
自動お酌マシーンをみんなで見守ることで生まれる心の余裕
実際にイベントを行ってみて、会場設営や備品管理においての準備不足、動線の分かりづらさ、告知が不十分だったと感じました。
また、「多種多様な方に体験してもらいたい」という今回のイベントの趣旨に対して、通行人の方への訴求力が弱かったことも痛感しました。
そして、一番の反省点は、マシーンを実際に多くの方に体験していただくことに焦点を当てすぎて、そもそもこのマシーンを制作した際の動機や問題意識についての伝え方が弱かったことです。
参加者の一人からいただいた「実際にDozo-Dozoに注がれると、マシーンが頑張って注いでくれるのをみんな温かく見守る気持ちになる。人にお酒を注いでもらうときも、同様の心の余裕を持てるとよい。」というご意見には、はっとさせられました。私の中の違和感として存在していた「しきたりが時を経て当たり前となり、人がそれを義務的に行うことの悲しさ」を共有できた気がしたからです。
今回の展示では、多くの方に体験してもらうこと、楽しんでいただくことを重視しました。次回は、エンタメ性だけでなく、「機械によりお酌と、人間によるお酌、気持ちいいのはどっち?」というそもそものコンセプトを、もっと押し出した展示をできたら良いかもしれない、と感じました。
100BANCHに入居してから、お酌マシーンの存在意義を考え続けてきました。
「形骸化してしまったしきたりや習慣に問題提起をするアート」?「お酌文化を新たな形で提案するエンターテイメント」?「量産化を目指すプロダクト」?
その答えに、今回のイベントで少し近づけたような気がしています。
このイベントに関わっていただいたすべての皆様に、心よりお礼を申し上げます。
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