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薬草ものがたりの、はじまり。—ナナナナ祭2022を終えて

身近な植物をお茶や入浴剤などに活用してきた、昔ながらの薬草文化は、海外のものより輸送の負担が少なく、使い終わったら土に還る、シンプルな循環をしています。ナナナナ祭では、日本各地のどこにどんな薬草が眠っているのか、どんな形で根付いてきたのかという源流と現在をパネルと映像で展示し、薬草の量り売りも行いました。

 

薬草文化そのものが地球や自然と密接な人々の暮らし

循環する社会やものづくりを考えていくと、100年前ではあたりまえだったことが、かえって現代にとっては斬新に見えたり、画期的に見えたりすることもある。

何百年も創意工夫やトライアンドエラーを繰り返し、淘汰されながらも残った習慣や知恵の美しさに感動したのは、100BANCHメンバーで神山合宿に行き、稲作に携わらせていただくことになった時だ。

縄の結び方、苗をまっすぐに手で植えるための定規…
道具を作るところから、材料を山から切り出してくるところから始まる、営み。
全てが一番ふさわしく、無駄が少ない方法に落ち着いていて、それはそれは美しい。

時間を経ると、本当に重要で必要なものに削ぎ落とされていく。
その時々の人々の暮らしや風土も交えながら。

そうして何百年も前から続いてきた薬草文化に、私はずっと魅了され、可能性を感じ、生業にすることにしたのだが、今回のナナナナ祭でも「地球の上で生きる」というテーマが上がった時に、いろいろ考えた据えに普段関わっている薬草文化そのものが地球や自然と密接な人々の暮らしだな、とチームメンバーと決意し、今回の展示となった。

「薬草ものがたり」という構想は、以前から温めていた。

私が薬草に出会ったのは7年前、、、いや、正確に言うと幼少期もヘビイチゴやヨモギを摘んだりしているので無意識には使っていたが、「薬草」として認識して興味を持ったのがそのくらい。

冷え性である自分の体質、アトピーや糖尿病だった家族の体質、妊活をがんばっている友達の体質…身近な大切な人を慈しむ時に、人間だけではできなかったことを植物の薬効は魔法のように変えてくれる。

そして、その不思議な体験は、密やかに口伝で物語られている。

ネットで調べてもいろんな薬効が出てくるが、いろんな町を旅していると、
「実は江戸時代から伝わる、キレイに治る刀傷の薬を売ってる村の薬屋さんから子供の頃に作り方を聞いて、、、」
「左半身付随になったんだけど、なんとか直したくて庭の野草でグリーンジュースを毎日飲むようにしたら動くようになった」
などなど、困っている人にとっては宝物のようなお話が飛び込んでくる。

そして、そんな物語を聞くのが好きだ。

7年ほどそんな旅を続けていると、いつしか42都道府県を巡っていて、各地にちらばっていたものがたりを、日本の一つの大きな物語にしたいな…と、仲間たちと動き始めることにしたタイミングで迎えたナナナ祭だった。
そこで私達はこの「薬草ものがたり」プロジェクトを始める、キックオフを渋谷100BANCHからはじめさせていただこうと、展示を行うことにした。

展示で行ったことは、次の3つだ。

①薬草ものがたりの展示と、薬草ものがたりを書き込める「薬草日本地図」
②4種類の薬草の詰め放題販売
③和歌山の繰り返し使える茶袋の販売

 

①薬草ものがたりの展示と、薬草ものがたりを書き込める「薬草日本地図」

私達が教えていただいた4つの薬草物語に加えて、皆様の薬草物語も教えていただけたら嬉しいなぁと、来場してくださった皆様には「薬草日本地図」のボードに書き込んでいただき、twitterやinstagramなどのオンラインでも募集をした。

そうすると、、、

「山形で地元の方を訪ねた時に、紅花のお茶を出していただいた」

「別府の鉄輪温泉の薬草蒸し風呂は、毎週月曜日に薬草が入れ替わるから、地元の方は月曜日によく行く」

といったような、私達も知らないストーリがどんどん紡がれていった。

日本はまだまだ行き尽くせないほど、広い。

 

②4種類の薬草の詰め放題販売

奄美諸島で1000年以上前から自生していたというグァバの葉のお茶や、宮崎県の子どもがぐずって泣き止まない時にほっと安らぐカキドオシ茶など、4種類の厳選した茶葉を設置してある紙袋にお好きなだけ詰め放題で販売を行った。

シャーレに入った茶葉の香りを聞いていただいたりしながら、お好きなものをセレクト。

香りが高いクロモジや月桃が一番人気となった。

 

③和歌山の繰り返し使える茶袋の販売

使い捨てのお茶っ葉袋が登場する、そのもっと前は各家庭でお母さんやおばあちゃんが茶袋を縫い、何十年も繰り返し使った…というお話を京都や和歌山で教えてもらった。

「循環」を考えた時に、現代の食卓にとっても嬉しい選択だ。

そこで今回は和歌山の知人が、おばあちゃんが使っていたのを幼少期に見ていた記憶を辿ってくださり、それを再現した。

「水出しコーヒーをこれで作りたい」といったように、来場者の方との会話から新しい使い方も見いだされていった。

こうして10日間の展示で多くの方にご覧いただき、「薬草文化というものが日本にもあったんだ」「身近な植物って、おもしろい」と言った感想や、私もこれから薬草文化を綴っていく上で嬉しい情報をたくさん教えていただいた。

展示という晴れの舞台をいただいたおかげで、進行がゆっくりだったプロジェクトも爆速で形にしていけたり、より多くの方の力や知恵が交わる形となった。

お茶葉や茶袋を買ってくださったみなさまの食卓に、丁寧に作られた日本のハーブティが届いたことも嬉しい。

美味しい、楽しいと感じていただけたら何よりであるし、こうした顔の見える、親しみのある小さな経済循環をこれからも生み出していきたい。

ローカルでは少子高齢化が申告で、人手が足りないなど様々な課題もあるので、ちょっと良い未来をみんなで作っていける小さな一歩をこれからも作りたい。

この薬草ものがたりは、まだまだ始まったばかり。

来年から本格的に追加リサーチや編集に入っていくので、リサーチや文章執筆を手伝ってくださる方を募集中。これからもご一緒に楽しんでいただけたら嬉しい。

ぜひ気になる方は、今回作った「薬草ものがたり」のウェブサイトや、instagramなどをご覧ください。

ものがたりは、続く。

薬草ものがたり:https://www.think-norm.jp/herbal-tales

instagram 伝統茶{tabel}:https://www.instagram.com/tabel_tea/

 

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