EVENT REPORT

2021.11.26 Fri

棺桶に入り、写真を撮り、自分の死をみつめる
MUJOプロジェクトが「棺桶写真館」を開催


  • #GARAGE Program

MUJOプロジェクト(株式会社むじょう)は死・終わり・撤退・解散・消滅。新しいモノが生まれては、古いモノが淘汰されていく変化の激しい時代の中で、変化にもっと優しくなれる未来を実現することを目指して活動しています。

これまで、大切な人と死別した人の悲しみに寄り添うサービス「葬想式」や亡き父宛のメッセージを展示する「死んだ父の日展」を運営してきました。

今回新たに、2021年10月29日〜31日に100BANCHの2階・GARAGEで「棺桶写真館」を開催。10代から60代までの60名が遺書を綴(つづ)り棺桶の中に入りました。

本イベントを企画し、当日は巫女として接客を担当したプロジェクトメンバーの中澤希公がレポートします。

棺桶写真館とは参加者が棺桶に入り、自身の死に想いを馳せることができる体験型展示イベントです。後悔のない生き方を送るためには死を意識し、生を見つめ直す機会が不可欠だと考えています。

 

「死」を日常から排除することに成功した現代において、人生の締め切りを感じる瞬間はほとんどありません。棺桶という肉体の最終地点に入ることで生の尊さが浮き彫りになるのではないかという仮説のもと、本企画を立ち上げました。

 


棺桶写真館の入り口の様子

 

棺桶写真館は「日常から排除された死を取り戻すにはどうしたらいいのだろうか?」という問いから生まれた企画です。MUJOのメンバーが広島県にある棺(ひつぎ)メーカー・株式会社共栄の見学に行った際、入棺体験をしました。

 

初めて入棺した時は、このまま大切な人に感謝を伝えられずに焼かれてしまう恐怖や死後の世界を想像しました。棺桶のに入るだけで、今までの人生が走馬灯のように思い出され、自分の生き方を問い直すことができました。人間誰しもが出会う死と向き合うことで、さらにいい人生を送れるのではないかと考え、空間を作りあげていきました。

 


株式会社共栄で初めて入棺体験をした時の様子

棺桶写真館では、はじめに棺桶に入る前に遺書を書いていただきます。その遺書は、他の参加者に読まれても良い方は表向きに、読まれたくない方は裏向きにして壁に貼ります。遺書を書くことは、自分自身の死へ眼差しを向ける第一歩です。これまでの人生を振り返り、後悔を綴る人、これまで関わってきた大切な人に感謝を残す人、88mm × 124mm という「4(死)」の倍数の手のひらサイズの紙に個性が溢れていました。

 

綴っていただく遺書


続いて、自分の死後遺された人のことや、死後の行き先など、それぞれの死生観・死後観と向き合った上で、身体性を伴った「入棺」という体験へ移ります。棺桶の中の温度が高くなる関係で、3分間の入棺となります。お母さんの母胎を思い出す方、外の声が聞こえ安心される方、棺桶の中で感じることは人それぞれでした。その後、お連れ様同士で写真を撮ったり、お一人の場合はスタッフがスマホをお預かりして撮影します。

 


入棺している様子

今回の棺桶写真館では、まだ何十年も先まで生きられると思っている10代から、多くの葬儀に参列した経験がある60代の方まで、たくさん方に足を運んでいただきました。実際に棺桶写真館を体験した方の感想をご紹介します。

 

「棺桶の中で今まで関わってきた人の顔を思い浮かべて、私が死んだら悲しんでくれる人が何人かはいる人生だったなと思ったんですね。その安心感に気づきました」(50代男性)

 

「最近自分に価値がないと思っていたのですが、生きているだけで素敵なことなんだと感じました。棺桶の中は温かくて、自分が生きてる実感が湧きました」(20代女性)

 

「棺桶に入る体験も貴重だったが、遺書を書くことによって1分1秒を無駄にして生きていたと後悔しました。後回しにしていた自分のやりたいことを実現していこうと思います」(10代女性)

 

参加者のSNS

 

棺桶写真館に足を運んだ方は、身近な人を亡くした経験のある方ばかりでした。巫女として接客した私は、天国にいる母の袴を着ていました。日常の中から消えてしまった故人は、思い出すきっかけがないと忘れてしまいます。この棺桶写真館で大切な人を亡くした時のことを思い出して、涙を流される方などもいらっしゃり、故人と向き合う空間になっていました。故人と向き合いたいと思っている方は、ぜひ棺桶写真館に足を運んでみてください。

 

私は棺を閉める時に、「何か言い残したことはありますか?」と尋ねていました。一緒に棺桶写真館に来られた方に、「大好き!」と言い残す方や「死後も忘れないでね。」と伝えていました。他者との関係性を見つめ直せるのも棺桶写真館の良さだと感じました。お一人で来られるのも可能ですが、パートナーや大切なお友達などと一緒に棺桶写真館を利用してみるのもおすすめです。

 

タブー視されている死と向き合う体験を提供することには難しさがありました。大切な人を亡くしたばかりの方が棺桶を見たらどのような反応をするのだろうか……などセンシティブな死をテーマにすること関して何度も話し合いました。実際に来てくださった方から、「次に棺桶に入るのは自分が死んだ時と考えると、もっと頑張らなきゃな」と言っていただき、生に繋がるような体験を提供でき嬉しく思います。非日常な空間である棺桶写真館で死を想うことができても、日常に戻ってしまうと死を忘れて生きてしまいます。今回のイベントに限らず、死を想う体験を様々な形で提供していけたらと思います。

 

 


MUJOのメンバー

 


今後も不定期で渋谷にて棺桶写真館を開催します。次回開催のご案内は弊社公式LINEにて行います。参加をご希望の方は公式LINEのご登録をお願いいたします。

 

株式会社むじょう 公式LINE
https://lin.ee/v7wYXDk


葬想式
大切な人と死別した人の悲しみに寄り添うサービス
https://www.sososhiki.jp/

 

死んだ父の日展
亡き父宛のメッセージを展示する
https://ddd.sososhiki.jp/

WRITER

MUJO

中澤希公

アーティスト

2002年生まれ。中学生の時、癌の母と死別。その後、ボストンのダナファーバ癌研究所を訪れ、病院の空間デザインやグリーフケアに興味を持つ。

#GARAGE Program