新しい知識に触れたときのワクワクをプロデュース。
学問と研究を社会にシェア。
O! SHARE Academy
新しい知識に触れたときのワクワクをプロデュース。
学問と研究を社会にシェア。
2020年9月19日(土)、「新しい知識に触れたときのワクワクをプロデュースし、学問と研究を社会にシェア」を大義にプラットフォームの運営を行う「O!Share Academy」プロジェクト(OFF LABEL)は、誰でも参加ができる学会「はじめての学会」のオンラインバージョン「はじめてのオンライン学会 〜問う、集める、育てる、伝える〜」(以下「オンライン学会」)を行いました。
今回のイベントでは、大学院という場、大学院の研究者、アカデミアの内実などを赤裸々に伝えるだけでなく、「問い」を持つことについて考えるトークセッションやワークショップを実施。10時30分にスタートし、ワークショップまで参加する場合は19時までと、完全オンラインの長丁場にわたるイベントでしたが、無事配信を終了することができました。
当日の模様をプロジェクトの代表・高田玲奈がレポートします。
第1部では東京大学大学院総合文化研究科教授・梶谷真司さんと明治大学理工学部准教授・鞍田崇さんをお招きし、自分の興味・関心を「問い」に昇華することをテーマにお話していただきました。セッションの中で、鞍田さんは「問いの先には更なる問いがあり、それは答えを得ること以上に大切なのではないか」とお話をされました。
「問い」を持つことのゴールは、それに対しての「答え」を導き出すことだと思われがちです。スマートフォン一つで簡単に情報が手に入り、答えにたどり着くまでの時間がものの数秒である世界で生きる私たちは、「問う」ことに対して向き合う時間が圧倒的に短い。例えば、会社のミーティングでも、既に議題が与えられており、それに対して議論し、何らかの結論を出していきます。しかし今一度その「議題」すらも改めて「問い」直していくような姿勢が必要なのではないでしょうか。
左:鞍田崇さん 右:梶谷真司さん
第2部では、民間の企業に勤める株式会社 ZOZO テクノロジーズにて研究員として働く藤嶋陽子さんと、UiPath株式会社ソリューション 本部所属のヴルーベル・マルチンさんをゲストにお招きし、アカデミアの外から見つめた「学問・研究」や「大学院」という場についてお伺いしました。
お二人の会話から、現状の日本社会では研究と生活を両立させることはとても難しく、ポスト不足や金銭的な課題が山積しているという実情が浮かび上がりました。それらを踏まえて、お二人が行なった就職という選択、そして今後研究をどのように続ける予定なのかなど、学外だからこそできる本音トークを展開できたと感じています。
左:藤嶋陽子さん 右:マルチン・ヴルーベルさん
また、大学院生が主役となってお送りした学生発表セッション「こんにちは研究者の卵です」を実施しました。東京大学の学部、修士、博士に在学する学生7名が研究発表者となり、誰にでもわかるよう専門用語は使わずに、その研究に至ったライフストーリーから自身の学問・研究をそれぞれ伝えました。
「進化するハッシュタグ:非生命から進化を問う」 発表者
大学院に入学することを「入院」と比喩されることがありますが、その内実はなかなか明らかになっておらず、今大学院生がどのようなことを研究し、どうしてその研究を行うに至ったのかをアカデミアに所属していない人たちが知る機会はとても少ない。さらにCOVID-19の影響により、学会すらもオンライン化や延期を余儀なくされ、ますます閉ざされたものになっているように感じます。こちらのセッションはFacebookライブからも配信し、リアルタイムでの反応やコメントも受け付けました。
以下のリンクからアーカイブをご覧いただけます。
「こんにちは研究者の卵です、学生発表前半」
https://www.facebook.com/watch/?v=362845414904019&extid=DI4ZcS2vAKdH8w0Y
「こんにちは研究者の卵です、学生発表後半」
https://www.facebook.com/watch/?v=319360595796493&extid=hBy1DXsfmKUvPLIx
東京大学の大学生、大学院生が学業、生活、活動について赤裸々に語る
最終セクションの第3部では「アウトリーチ」をテーマに、エンターテイナーとして研究者としてそれぞれ環境課題という共通のテーマを発信する総合地球環境学研究所教授・阿部健一さんと、「エンターテイメントで地球を救う」をコンセプトにワオキツネザルに扮し環境問題をわかりやすく解説するエバイロメンターテイナーのWoWキツネザルさんを迎え、発信する上で心がけていることを伺いました。
双方の活動についてお伺いする中で共通項としてあげられるのは「常にマジョリティの視座を持っている」ということでした。差し迫った形で煽るように問題を伝えるのではなく、まずは「どうして関心を持ってもらえないのか」を考えることが重要。その上で、最も適切な伝え方の手段を選ぶ必要があると会話をされました。
左上:阿部健一さん 左下:WoWキツネザルさん
WoWキツネザルさんは「学問でも、ファッションでも、動物でも、それを好きでい続けるということには何らかの責任が伴う」と話し、「好きを理由とした自己表現だけでなく、それを発信することで、その好きを第三者が出会うきっかけを作る。そのような行動の一つひとつが積み重なることで社会変革につながっていくのではないかと。
多くの人は自らの生活に差し迫ったことではない限り、それを問題として自覚し、なにかの行動を起こすことはしません。環境課題もそのような問題の一つであり、頭では分かっているものの、自らの生活様式を大きく変えてまでその問題に取り組みことはなかなかしないでしょう。環境課題に限らず、世に必要であると自分本位に訴えても届かない人には届きません。今イベントを通して、相手の関心を探り、適切な表現、手段、媒体を用いる必要があると、あらためて感じられる時間となりました。
私たちが活動している100BANCHは、既存の固定観点に切り込んで自らの興味・関心を「問い」に還元し、さまざなプロジェクトやメンバーが集い、お互いを高め合いながら、100BANCHという一つの集合体としての大きな力を持っています。そのような場所で、今回のイベントを実施できたことを誇りに思います。今後とも、この場所からきっとワクワクに溢れ、人の知的好奇心をくすぐるような素敵なプロジェクトが誕生することでしょう。今回の配信を行うにあたり、尽力してくださった100BANCH事務局の皆さま、アドバイスをくださったメンターの横石崇さん、本当にありがとうございました。
次回のイベントで皆様にお会いできることを心より楽しみにしております!
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