KISABURO KIMONO Project
最新技術を用いて「着物」を未来につなげるための環境作りを
「KISABURO KIMONO Project」はナナナナ祭2020にて、オンラインショップ「るすにする」をオープン。参加者が「るすにする」に服を送ると魔除けのデザインを施して返ってくるファッションを通したコミュニケーションを実験的に行いました。8月7日にはシャーマン×講談師×着物デザイナーによるオンライン浄化イベントを開催。「るすにする」とは何なのか、未来はあるのか、レポートで振り返ります。
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元々2020年は「魔除け」をテーマに着物のコレクション展示とショーを構想していましたが、新型コロナウイルスの影響により春先から展示会も仕事もバタバタとなくなり、ナナナナ祭がオンラインへと移行して、”今までのやり方ではない世界が変わる時が来たのかも”と全く新しいやり方を模索するうちに、※「久松留守」という史実を発見しました。
※「久松留守」江戸〜明治時代、当時流行した病は人気の歌舞伎に因んで「お染風邪」と呼ばれた。お染と久松は恋人同士、「あなたの久松さんは留守にしているので、家にお染風邪さんは入って来ないでね」の意味で「久松留守」と書かれた貼紙を玄関に貼り、魔除けのお札としていた。
「留守」という言葉が緊急事態宣言で自粛生活をする自分自身と重なり、無人のお店のイメージが浮かびました。着飾って外に行く事が少なくなってしまった中で、家にいながらお店に行ったようなファッションを楽しめる体験にしたいと思い「るすにする」が生まれました。
ありがたい事に初動から注文が入り、魔除け一色の夏がやって来ました。
実験と言うからには予想できていない部分が欲しくて、参加者が送る服にあえて枠を設けずに「布製であれば何でも受け付ける」としました。すぐにデザインのインスピレーションがわく物もあれば、どう調理したら良いか悩む物も多かったのですが、結果としてたくさんのバリエーションを生む事ができたと思います。お店に行った時に予想もしなかった商品と出会う楽しみを届けたいため、参加者にもどんなデザインになって送られて来るのかはほぼ公開していませんでした。
また、今回は魔除けに金額で階級を設けたため、階級ごとに手数のルールを決めながら作業を行いました。これ以上はこの階級の作業を増やしてはいけない、しかし一つ一つを自分の作品として返す事を考えると妥協できない……と毎日が格闘でした。
プログラムを通して、参加者のみなさんからの感想では「着物に魔除けの意味がある事を知らなかった」「歴史に紐づいた内容が面白い」など新しい知識との出会いへの喜びと、送った服が大幅に生まれ変わる事の驚きの声が多く、withコロナ時代に向けた服とブランドと人との関係を提示できたと考えています。
100BANCHの壁に貼った制作進行表
魔除けや背守りの資料
オンライン浄化会では、シャーマン SUGEEによる浄化唄から始まり、講談師 田辺銀冶さんによる魔除け講談、キサブローの魔除けトークを開催。目の前にお客さんのいないイベントは不安でしたが、チャットを通して参加者が反応を返してくれたのでとても温かい場が生まれていました。生でライブや講談を聞く時は聞きながら自由に発言することはできませんが、オンラインでは感想を呟きながら聞けるのも面白いところだと実感しました。
シャーマン SUGEE
撮影/ヤナガワゴーッ!
講談師 田辺銀冶(右)とキサブロー
撮影/ヤナガワゴーッ!
あなたの手元に届いた魔除けの服達は元気でしょうか?
るすにする方式を他のブランドやアーティストで行うとどうなるかという妄想をずっとしています。Comme des Garconsに送ったら、明和電機に送ったら。自分の私物だった物が別のアイデンティティを背負って返ってくる、物ではなく概念を購入する。そんな着物やファッションとの新しい体験を今後も仕掛けていきたいと思っています。
自粛生活でくさりそうになる日もありましたが、るすにする参加者の皆様、ポジティブで刺激的な100BANCHのメンバー、スタッフに何度も救われました。ピンチはチャンス!(コロナはチャンス……かもしれない)キサブローは着物の未来を創る気持ちを忘れずにこれからも活動に邁進します。応援よろしくお願いします。
最後に、この度尊敬するクリエイター達と魔除けの映像作品を制作したのでぜひご視聴ください。魔除けの話が集約され、たっぷりと見応えのある作品となっています。
■関連リンク
リーダーインタビュー:「故きを温ねて、新しきを創る。伝統と革新が織りなす新時代の着物文化を発信:KISABURO KIMONO Project キサブロー」
Website: http://kisaburo.xyz/
Twitter: @KISABURO_X
Instagram: @kisaburo_x
■うどんセレモニー
「うどんセレモニー」という儀式を通じて、霊性という調味料を駆使し、自らの手で生涯最高のうどんを作ることにより、うどんに神を感じてほしい。
https://100banch.myshopify.com/products/save-the-udon-the-herbal-hub-kaming-singularity
レポート公開中:意味を越えていく価値を——うどん教の儀式「うどんセレモニー」開催レポート
■KaMiNG SINGULARITY2020-Human Distance-
aiが神になった世界の体験を通して、人工知能と人間の良い感じの距離感、或いは信仰の形を身体感覚から探る想像機会をつくりたい。
https://100banch.myshopify.com/products/kaming-singularity-kodou
レポート公開中:AIと人の間にあったもの——スペキュラティブ・フェスティバル「KaMiNG SINGULARITY2020-Human Distance-」を終えて
>その他の未来についてはこちらから:まずはこれをチェック! リアル×オンラインで未来を届ける夏祭り「ナナナナ祭2020」キーワード別おすすめプログラム