2019.09.24 Tue

パンの耳からできたビールを片手に、環境問題について考える 〜 Bread beer bar 〜

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” パンの耳から作ったビールをみんなで飲もう “

 

このような触れ込みで、9月4日から6日の3日間にかけ、100BANCHの1階にあるカフェ「WIRED SHIBUYA」前スペースにて「Bread beer bar」が開催されました。

 

このBread beer barは、期間限定のビアガーデンイベント。提供されるビールは、通常廃棄されるパンの耳から作られたビールで、身近な環境問題について考えてもらうきっかけを作るために実施されました。

今回のイベントは、フードロスを楽しく解決することを掲げる「Food Waste Chopping Party」プロジェクトリーダーの大山貴子さんと、「ごみを出さない経済循環」を提案する団体「530week(ごみゼロウィーク)」代表の中村元気さんによる合同企画です。

 

Bread beer bar詳細丨https://100banch.com/events/21297/

Food Waste Chopping Party詳細|https://100banch.com/projects/food-waste-chopping-party/

 

最終日の6日には、Bread beer barすぐそばの渋谷川遊歩道スペースにて、気候変動をテーマにした映画「Signs from Nature」の野外上映会も開催。

 

「Climate Change in the City 〜 渋谷から気候変動を考える〜」と題されたこの野外上映会は、その後に環境問題について話し合うトークセッションや参加者とのディスカッションも行われ、道行く人を巻き込み環境について考えるイベントとなりました。

 

その一連の様子を、ライターの中田アツヤがレポートいたします。

 

(執筆:中田 アツヤ / 写真:Jo スタジオ)

まずは、気候変動をテーマにした映画「Signs from Nature」の野外上映会の様子について。

 

映画では、北海道から沖縄まで全国5か所、6人の人物を訪ね、インタビューした様子がまとめられています。

彼らが直面している気候変動の影響や、感じている自然からの「サイン」、そして私たちが個人からできることのアクションについて語られていました。

 

魚の種類が変わってしまって、周囲の人がどんどん仕事を辞めてしまう漁師業の方。

スコールのような雨のせいで、野菜が全滅してしまったという農家の方。

水害のために、住む家を追われてしまった住人の方の話など…。

実際に被害に直面している方々の言葉には、「他人事ではない」という重みがありました。

Signs from Nature – YouTube

 

 

映画を観た後は、4人の登壇者によるトークセッション。

 

リック・グレハン – imageMill 

オオヤマタカコ – 530week

ノイハウス 萌菜 – のーぷら No Plastic Japan

ルイス ロビン / マクティア マリコ 一般社団法人Social Innovation Japan / mymizuプロジェクト

 

上記4名により「環境保全していくために、個人で何ができるか」をメインテーマに語られました。

 

個人レベルでも、たとえば、環境に配慮した企業に投資・融資している銀行に口座をもつ。再エネ重視の電力会社へ契約を切り替えるなど、間接的に環境保全活動を行うことは可能。

 

さらに、それぞれの登壇者ごとの考えが語られていきます。

 

リック:「世界を変えるのは、ブランドやビジネスにかかっている。だから、私たちは環境にやさしい活動を行う企業の商品を買うことで、彼らに『投票』することができ、間接的に世界にインパクトを与えることができる。」

 

ロビン:「追加のコストをかけずに、可能な範囲で環境保全となる活動を行っていくべき。登録店舗で給水が可能なソーシャル給水アプリ『mymizu』を利用すれば、利用者は水が補給でき、店舗としては客足が増える。また社会にとっても水の容器が減ることで環境保全につながる。三方良しの『近江商人』の考え方をもって、継続可能な取り組みをしていくべきだ。」

 

大山:「地方へ行き、『東京で環境保全の活動をしています』と言っても、東京でのこと、ということで関心を持ってもらえないことが多い。『つながり』を作り、自分ごと化してもらうのはもちろんだが、ムーブメントとしては、まず東京の方から変わっていくべきだと感じた。ただし、地方の政府機関は意外と話をきいてくれることが多い。個人レベルでも、粘り強く話をしていけば、意見を汲んでくれることもあると思う。」

 

萌奈:「日本の文化として『おもてなし』があるが、場合によっては過剰なサービスとなることが多い。おもてなしの名のもとに、多大な食料、エネルギー、水などが浪費されることもある。必要な分をきちんと定義していくことが必要なのではないか。」

トークセッションの後には、質問コーナー。

参加者の方から次々と手が上がっていたのが印象的でした。

 

「環境保全へのモチベーションをどのように保っていけばいいですか?」

「持続可能性としての取り組みは、いまは流行のようにもなっていますが、これを本当に持続させていくには?」

「気候変動が人間の活動によるものだという前提で話が進んでいましたが、そもそも本当に人間の活動が原因なのか?」

など、核心をついていく質問が多数見受けられました。

 

質問コーナーが終わると、交流タイム。

参加者の多くがその場に残り、ビールを片手に環境保全についての意見を交換していました。

イベント終了後、今回のBread beer bar発起人のひとり「Food Waste Chopping Party」プロジェクトリーダーの大山貴子さんにお話を伺いました。

 

大山:「今回は3日間を通じて、いろんな方が、ふらっと寄ってくれる形でビールを買ってくれることが多かったです。私自身、『買い物袋は良くないから、なくしていきましょう』というように『話して伝える』ことが好きではありません。話して伝える形だと、強制的な印象を与えてしまいます。

廃棄パンを使い、パン屋で捨てられる部分から作ったビール飲むことで、環境への意識が向いてくれたらなぁ…というくらいの方向づけでやっています。

来てくれた方の頭の片隅に『タネを植え付ける』ような。市民レベルで意識を高めてもらうには、このくらいの活動がむしろ大事なのではないか、と思っています。」

もうひとりのBread beer bar発起人で、「パンの耳から作ったビール」の企画を行った中村元気さん(530week発起人)にもお話を伺いました。

 

中村:「まずビールに対して、『ワイワイ飲んでいる』という風景の印象をもっていたんです。クラフトビール自体が魅力を持つもので、年齢や国籍などに関わらず、いろいろな人が楽しめるプロダクトであると。

ビールは多くの人に好まれると同時に、「みんなで飲みたい」というコミュニーケーションを促す側面もあると考えました。そこで、ビールを環境に優しい形で作ることができれば、みんなが飲みながら環境問題を考えてくれるようになるんじゃないか、という発想だったんです。」

 

その一方で、「環境問題のために作った」ということに甘えてはいけないと、中村さんは語ります。

 

中村:「パンの耳から作るビールの製造にあたり、自分が大好きなパン屋さんと、ビール屋さんをつなげて作っていただきました。その2社の方が口を揃えて言っていたのが『絶対に美味しいものにしよう』ということ。環境問題を言い訳に、美味しさを犠牲にしてはいけないというプロ意識をお持ちでした。」

 

実際に、イベントでは何杯もおかわりを購入する参加者の方が多数みられました。

 

このパンの耳から出来たビール、購入すると卸価格の1%が環境団体530weekへ寄付される仕組みとなっています。

飲めば飲むほど社会貢献できるビールにおいては、美味しさも重要な要素。ただ一時的にゴミを減らすだけでなく、無理せず継続させる。そんな仕組みの1つとして、中村さんは今回の「Bread beer bar」を提案されていました。

 

最後に、今回のBread beer barを実施するにあたり、開催スペースをご提供いただいた「WIRED SHIBUYA」店長の杜多 啓佑さんにお話を伺いました。

杜田さん:「偶然なんですが、企画者の中村元気くんとは勤めていた会社が一緒だったのです。そのことを知り、これも縁だと二つ返事で場所をご提供しました。何より、同年代の人がこんな活動をしていることは自分にとっても良い刺激になる。できることでお力添えさせていただいて、同年代の頑張っている人に活躍していってほしいと思っています。

 

美味しいビールを片手に、夜風に吹かれての映画上映会。きっと多くの人に、環境問題を考えるきっかけを与えることができたのではないでしょうか。

WRITER

中田 アツヤ

WRITER

少数精鋭でビジネスを行う小企業・フリーランスのwebマーケティング支援を行う。

インタビュー型メディアの企画および記事執筆を手がけること多数。

現在はweb制作ディレクターとしても奮闘中。

SEO対策が得意であり、筋トレが趣味。広島県出身。

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