• イベントレポート

ナナナナ祭 Day1——ファスナー着物からコミュニティのあり方、未来の食に関するイベントなど初日の様子を速報

梅雨が明け、夏の強い日差しが照りつけるなかでスタートした『ナナナナ祭』。初日にあたる7月1日はお昼ごろから来場者が増え、午後に行われた100人規模のシンポジウムでは、立ち見をする姿も見られるほどの盛況ぶりでした。

常設されている展示のほか、この日は衣、食、コミュニティに関する3つのイベントが行われました。各イベントの様子をレポートします。

 

着物の合理性を深く知ることができるKimono Hack vol.1

当日朝にニュース・情報番組『シューイチ』でも紹介された、キサブローのイベント。まずは、着物が備えている合理性に着目し、着物の8つのパーツをファスナーで連結させるというアイディアから開発した、サイズ・形が変化する『未来の着物』”ピースキモノ”のお披露目がありました。

ファスナーで連結された”ピースキモノ”のモデル

ワークショップでは、反物から着物を仕立てるように、一枚の用紙から10分の1のサイズの着物のパーツを切り出し、柄を自由にデザインして、紙製の着物を作成。着物の初心者から愛好者まで、着物の仕組みを深く知ることのできるプログラムです。

ファスナーでの取り外しで、あっという間に形を変えていくピース着物

ワークショップでは、反物から着物を仕立てるように、一枚の用紙から10分の1のサイズの着物のパーツを切り出し、柄を自由にデザインして、紙製の着物を作成。着物の初心者から愛好者まで、着物の仕組みを深く知ることのできるプログラムです。

参加者のみなさんが、夢中になって作業をしていて、とっても楽しそうでした。同プログラムは、7月8日(日)にも開催されます。詳細は以下のリンクを御覧ください。

関連リンク:Kimono Hack vol.01-2 | 100BANCH  https://100banch.com/events/8724/

 

変化するコミュニティのあり方を考える「これからのコミュニティ」

第一部は、渋谷区の長谷部区長をゲストに迎え、登壇者による多様なコミュニティの紹介や、コミュニティをどのように構築し、維持していくかという議論が交わされたシンポジウム。第二部では、東京銭湯が運営する銭湯「喜楽湯」に集まる人々によってできた「喜楽湯ファミリー」というコミュニティが紹介され、銭湯に集まるメンバーが会場に駆けつけいていました。

第一部のシンポジウムは、ライフスタイルの多様化にともない、コミュニティのあり方も変わってきています。現代は、地縁の地域コミュニティに縛られるのではなく、自らコミュニティをつくることのできる時代となったことを背景に、これからの未来は「どのようなライフスタイルを選ぶのか? 誰と、何で、どのようにつながっていたいのか?」といったことを、ひとりひとりが選択していくようになるのでは、との問いかけからはじまりました。

そのひとつの答えとして、バスを改装した移動する住居「BUSHOUSE」での生活をスタートする青木大和は、自身が定住型ではなく、移動型のライフスタイルを選択したように、コミュニティを移動したり、複数のコミュニティに属したいと語りました。

関連リンク:BUSHOUSE出発式 -移動式住居- | 100BANCH

https://100banch.com/events/8706/

ゲストの長谷部区長は、渋谷を「最先端の田舎」と表現。地域コミュニティが年々高齢化している問題に対し、盆踊りなどのイベントを行うことで、若い人の参加を促進するなど、コミュニティを意識して政策運営を考えていると語りました。また「行政の手の届かない部分もあるが、コミュニティ内で支え合い、つながりのなかで豊かになることができる」との考えから、行政の視点からも、コミュニティの重要性に言及していました。会場からの「渋谷川周辺の再開発に関して、どのようなヴィジョンを持っているか?」という質問に対しては、「これまで渋谷は原宿間の回遊性が優れていたが、渋谷川周辺が整備されることで、恵比寿や代官山との回遊性もよくなる。そこで、いろいろなひとの交流が生まれ、さまざまなシナジーが生まれることを期待している」と答えました。

渋谷区の長谷部区長

参加者の大半がコミュニティづくりに関心をもっている様子で、メモをとりながら登壇者の話に聞き入る姿が印象的でした。質疑応答でも、コミュニティ運営に関する質問が多く出ていました。

 

未来の食は"コンセプトを食べる"「EAT VISION 2 〜 Conceptual Eating 〜」

人類にとっての食は、長く栄養補給のための活動でした。飽食の現代は美食が追い求められ、われわれにとっての食はエンタメの要素を持つようになりました。本イベントは、これからの100年は「コンセプトを食べる時代」になるのではないか、ということをテーマとしたトークイベント。

登壇者の専門とする内容でクロストークが2回に分けて行われました。前半は、新しい食のあり方を提案するプロジェクト、後半は環境を考えた持続可能な食を提案するプロジェクトのリーダーたちによる話を聞くことができました。

食の中でも、国連食糧農業機関(FAO)が2013年5月の報告書でタンパク源として昆虫食を勧める報告書を出したことから、昆虫食はホットな話題だそう。登壇者7名のうち、2名が昆虫食についてのプロジェクトに取り組んでいました。

前半のプロジェクトでは、薬草を広める活動をしている新田理恵氏が「新しい食材を食べることを習慣化するのは難しい」という問題提起を行いました。ダシの旨味が世界平和をつくるというユニークな主張をしている竹村賢人氏は、「海外にもしいたけの出汁を広めようと考えたときに、使い方がわからないことがあるかもしれない。そこで、お湯を入れるだけで簡単に飲むことのできる出汁を開発した」と語っていました。手軽に取り入れることができれば、新しい食が習慣化しやすいという視点がある一方で、昆虫食デザイナーの高橋祐亮氏からは、「昆虫をそのまま食べるのは抵抗があるからといって、粉末にするというアイディアもあるが、それでは文化にはならない」といった指摘もありました。

イベント来場者の熱量も高く、登壇者の話に真剣に聞き入っている様子でした。

クロストーク後は、15分ずつ2回に分けて、各リーダーの周りに来場者が集まり質疑応答を行うアンカンファレンスの時間が設けられました。どのグループも活発に質問がなかなか途切れない状態でした。

会場からの「日常の中でひとつ、みんなに変えてほしいことを教えてほしい」という質問に対して、テクノロジーを用いて新しいメニューを考案している出雲翔は、「フランスでは20時にレストランが開く。仕事を終えて、そのままなられ作業のように夕食をとるのではなく、一息ついたあとにみんなで食事をする文化。このほっと一息つく時間を持つことで、食の見方が変わるのではないか」と述べていました。水耕栽培と水産養殖をかけ合わせたアクアポニックスを広める活動をしている邦高柚樹は、「機会があれば農家などを訪れて、作業を体験してほしい」とコメントしました。

最後は、フードロスの問題に取り組む大山貴子が作った、今回のテーマに即したメニューの試食会が行われ、大盛況のイベントでした。

 

『ナナナナ祭』の楽しみ方

1Fはイートエリアとなっており、ビルの正面左側のテラスでは、7月1日と7日土曜日限定でコオロギラーメンやタガメのお酒を楽しめるマルシェを開催。ちょっとゲテモノのイメージですが、食べてみると美味しい! お酒好きな方は、青リンゴのような甘い香りがする、タガメの焼酎にも挑戦してみてください。

土曜日限定のコオロギラーメン

また、『ナナナナ祭』期間中も通常営業している魚料理のレストラン「LAND Seafood」店内にも展示があり、まったりと涼みながら、美味しい料理と展示を楽しむことができます。バーカウンターに設置された。赤青黄の3色の影を作るRGB_Lightは、とってもロマンティック。カラフルな影で遊びながら、お酒を飲むのもオススメです。

RGB_Lightで表現された3色の影

2F「GARAGE」スペースには所狭しとブースが並んでおり、大人にとっては懐かしい文化祭の雰囲気。多種多様なプロジェクトによる、未来を感じる展示が行われています。

2FGARAGEエリアの様子

知的好奇心が刺激されて、なにか新しいアイディアを思いつくかもしれません。

気になる展示があれば、該当プロジェクトの運営メンバーと意見交換をしたり、近くにいる来場者と会話したりと、カジュアルに人と繋がることのできる空間です。

会場となる100BANCHは渋谷駅新南口から徒歩2分の立地。『ナナナナ祭』はひとりでふらっと訪れても楽しめるイベントになっています。入場は無料です。ぜひ、足を運んでみてください!

 

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