• イベントレポート

「もうファンですよ。」から見えた、1年間の進化「今日はあなたがお洋服屋さんデビュー」──ナナナナ祭2026を終えて

アパレル産業に新しい物流・梱包方法を生み出すプロジェクト「new “Konpou”」。アパレルショップの裏側では個包装された服を開封するたびに、大量のプラスチックが廃棄されています。そうした課題に向き合い、new “Konpou”は環境に配慮した新しい梱包・納品方法「Looplet(ループレット)」の開発に取り組んでいます。

ナナナナ祭2026では、体験ブース「今日はあなたがお洋服屋さんデビュー」を企画。3日間限定のアパレルショップ「ナナブンノイチ」を舞台に、Loopletを使った商品探しなど、普段は見ることのできない洋服屋さんの裏側を来場者に体験してもらいました。その様子を、new “Konpou”の野崎絵未里が振り返ります。

アパレルショップの裏側を体験する「ナナブンノイチ」活動レポート

new “Konpou”(株式会社 chom)は、アパレル業界で使われている使い捨ての梱包資材を減らしながら、倉庫や店舗で働く人の作業負担も軽減する、新しい物流・梱包の仕組みづくりに取り組んでいます。

ナナナナ祭への出展は、今回で2回目となりました。昨年は、まだ全体像が見え始めたばかりの試作品を使い、倉庫で洋服を梱包する工程を中心に検証しました。今年は、実際に使用できる再利用可能な梱包ボックス「Looplet」を使い、アパレルショップのバックヤードをイメージした体験型展示「今日はあなたがお洋服屋さんデビュー」を実施しました。3日間限定のアパレルショップ「ナナブンノイチ」を舞台に、アパレルショップの裏側を体験してもらいました。

 

お洋服屋さんのバックヤード業務を伝え、体験する

アパレルショップの仕事というと、接客やレジ、コーディネートの提案などをイメージする方が真っ先に浮かびますが、その裏側では店舗に届いた商品の開梱、整理、保管、商品探し、店頭への補充、梱包資材の処理など、さまざまな作業が行われています。

今回の展示では、来場者に積み重ねられたLoopletの中から、商品を探す体験をしてもらいました。Loopletは、上から商品を入れ、積み重ねた状態でも前面から中身を取り出せる構造になっています。輸送に使用した後も、箱を積み替えたり、中身をすべて出したりすることなく、そのままバックヤードでの保管や商品補充に活用できることを想定しています。

来場者には、実際に商品を探す動作を通して、現在のバックヤードで行われている作業や、限られたスペースで商品を管理する難しさを知ってもらうと同時に、Loopletによってそうした負担をどのように改善できるのかを体感してもらいました。

今回の展示用ショップの店名である【ナナブンノイチ】には、意味を込めています。

Loopletは折りたたむことで、6個を1つに収納することができます。商品を販売し終えた後は箱を畳み、返送時には使用時のおよそ7分の1までコンパクトになります。

お店での販売体験だけでなく、販売後にLoopletを畳んで返却するところまでが、本来の循環の流れです。そのことから、架空のお店の名前を【ナナブンノイチ】と名付けました。

単に商品を運ぶための箱ではなく、「使い終わったあと、いかにコンパクトに次の場所へ循環させられるか」まで含めてLoopletの価値であることも伝えていました。

体験後には、独自に制作したiPadアプリ「Looplet Puri」を使ってアンケートに回答してもらいました。回答後には、来場者自身の写真がプリントされる仕組みにし、調査への参加が作業的なものにならず、展示の最後まで楽しんでもらえる体験を目指しました。

Loopletは普段、法人向けのサービスとして展開しています。だからこそ、今回の展示では、一人でも多くの方にLoopletやnew “Konpou”の存在を覚えて帰ってもらいたいと考えました。また、自分たちが日常的に買い物をしているお店の裏側が、これから少しずつ変わっていくことを、より強く印象に残したいという思いもありました。そのため、体験の記憶を持ち帰ってもらえるものとして、写真をプリントしてお渡ししました。

 

昨年は倉庫、今年は店舗——循環モデルを工程ごとに検証

昨年と今年で、Loopletが目指している方向性や、検証したい仮説が大きく変わったわけではありません。Loopletが目指しているのは、使い捨ての段ボールやビニール袋を減らすことだけではなく、商品の梱包、輸送、保管、開梱、商品探し、補充といった一連の作業そのものを見直すことです。

また、環境に良いという理由だけで導入を求めるのではなく、梱包作業や廃棄物処理、店舗での作業負担なども含めて、企業にとって経済的な合理性のある仕組みにすることを重視しています。環境負荷の削減と現場の効率化を両立し、継続可能なビジネスとして成り立たせることで、業界全体の仕組みを変えていくことに挑戦しています。

昨年のナナナナ祭では、主に倉庫で商品を梱包し、店舗へ発送する工程を想定した展示を行いました。個包装や段ボールに代わってLoopletを使用できるのか、商品を梱包する側の視点から、構造や使い方を検証しました。

今年は、その次の工程となる、商品が店舗へ届いた後のバックヤード業務をテーマにしました。倉庫で梱包しやすいだけではなく、店舗に届いた後も箱を積み替えたり、商品をすべて取り出したりすることなく、そのまま保管、商品探し、補充に使えること。輸送用の梱包資材と、店舗で使用する収納・管理用品を分けるのではなく、一つのLoopletで連続して扱えることを、体験を通じて検証しました。

このように、昨年は「商品を送り出す倉庫側」、今年は「商品を受け取る店舗側」と、Loopletが循環する工程を分けながら、一つずつ検証を進めています。

ナナナナ祭での展示は、実際の物流環境を完全に再現したものではありません。一方で、多くの来場者や現場経験者に触れてもらうことで、使い方への反応や、店舗で起きている課題、今後の実証で確認すべきポイントを整理することができました。

現在、new “Konpou” (株式会社chom) では、複数のアパレル企業や物流関係者と、サンプルの提供やモニター利用、実際の物流でのPoCも始まっています。本当に働き手の負担は減るのか、服を守れるのか、経済合理性は成り立つのか、環境に良いのか、一つずつ検証を重ねてより良いプロダクト作り、サービス作りに励んでいます。今年のナナナナ祭では、そうした実際のPoCへ進む前段階として、Loopletが倉庫から店舗まで一貫して使える可能性を、より具体的な形で来場者に体験してもらうことができました。今後は、展示で得られた反応やアンケート結果も踏まえながら、実際のアパレルの現場で検証を重ねていきます。

 

実物ができたことで、会話の精度が変わった

昨年展示したLoopletは、必要な機能を一度形にし、ようやく制作に向けた全体像が見え始めた段階でした。まだ折りたたむことはできず、現在のLoopletとは素材や構造も異なります。来場者に説明する際も、試作品だけでは伝わりきらない部分を、言葉で補う必要がありました。今年は、実際に使用できるLoopletを展示できたことで、来場者との会話にも変化がありました。

「このようなものをつくりたい」と構想を説明するだけではなく、実物を見ながら、

「この使い方なら店舗でも使えそう」
「この部分はもう少し変更した方がよいのではないか」
「回収や洗浄はどのように行うのか」
「ほかの企業と共有することもできるのか」

といった、実際の導入や運用を想定した意見交換ができるようになりました。

Loopletという実物が、私たちの構想を伝えるためのものから、来場者と一緒に考えるための共通の土台になったと感じています。また、プロダクトだけではなく、私自身の理解もこの一年で深まっていました。何を解決したいのか。なぜ箱をつくるだけでは不十分なのか。Loopletを通して、どのような物流の仕組み・インフラをつくりたいのか。昨年よりも整理して伝えられるようになったことで、来場者との議論も、より具体的なものになりました。ナナナナ祭は、Loopletの変化だけでなく、自分自身の思考や説明の解像度がどれだけ上がったかを確認する機会にもなりました。

 

アンケートから見えたこと

今回の展示では、164名の方にアンケートへご協力いただきました。アンケートは、一般の来場者と、アパレルショップや倉庫での勤務経験がある方で一部の質問を分けて実施しました。

一般来場者へのアンケートでは、

  • 売れ残った洋服がどうなるのか(45名)
  • 過剰包装や使い捨て資材(41名)
  • 環境に配慮した取り組み(33名)

など、ファッション業界の裏側や環境への関心が高いことが分かりました。

また、現場経験者からは、商品探しや開梱、梱包材の処理、バックヤードの狭さなど、Loopletが解決を目指している課題が実際に現場で負担となっていることも改めて確認できました。

今回のアンケートは、Loopletそのものの評価を行うものではなく、現在のアパレル業界や消費者意識を知るための調査です。消費者が業界の裏側や環境課題に関心を持ち、現場では改善したい課題が存在していることを確認できたことで、Loopletが目指す「環境負荷の削減」と「現場の働きやすさ」の両立には、社会的なニーズがあることを再認識することができました。ここからは、実際のアパレル企業とのPoCを通じて、Loopletが本当に作業時間や廃棄物の削減につながるのかを検証していきます。

 

検証できたことと、次に検証すること

今回、特に確認したかったのは、Loopletを輸送用の箱としてだけでなく、店舗到着後も積み重ねたまま保管・商品探し・補充に使用できることが、バックヤード業務の負担軽減につながるかという点です。

体験した方からは、

「積んだまま取り出せるのがよい」
「箱を動かさなくてよい」
「バックヤードだけでなくても店頭に置いてあっても良さそう」
「畳むのも簡単」

といった反応を得ることができました。

また、現場経験者へのアンケートからも、商品探しや商品整理、バックヤードの狭さ、開梱、梱包資材の処理など、Loopletが対象としている課題が実際に存在することを確認できました。

一方で、ナナナナ祭での短時間の体験だけでは、実際にどの程度作業時間を削減できるのか、長期間使用した際の耐久性は十分か、回収や洗浄を含めた運用が現場の負担にならないかといった点までは検証できません。

ここからは、実際のアパレル企業や物流企業と連携し、商品の梱包、輸送、保管、補充、返却までの一連の工程を通した実証を進めていきます。

 

さいごに ー「もうファンですよ」

今年の出展では、昨年の展示を見てくださった方が、再びブースを訪れてくれる場面が何度もありました。

「去年も見て覚えています!!」
「わ!!!できている!!!去年は、まだプロトタイプって感じだったのに〜〜」
「進化していますね」

と声をかけてもらい、この一年間で進めてきたことを直接報告することができました。なかでも印象に残ったのが、「もうファンになっています」という言葉です。

製品を評価してもらうことはもちろん嬉しいと同時に、まだ完成していないプロジェクトの過程を継続して見てもらい、変化を楽しみにしてもらえていることに、大きな意味を感じました。

スタートアップとして、事業を成長させることや売上をつくることの難しさや初めてのことにたくさん挑戦している日々の中で、製品だけではなく株式会社chomや人含めて挑戦そのものを応援してもらえることへの喜びと、その期待に応え続けていきたいと強く思いました。

これからも活動の過程を共有しながら、ファンになってくれる人が少しずつ増えていくような、会社と製品をつくっていきます🔥🔥

 

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