Sadamaranai Obake
死にまつわる文化や価値観を、デザインのチカラで変えたい
デス・デザインユニット「さだまらないオバケ」は、デザインのチカラで死のネガティブなイメージを変える「死のリデザイン」に取り組むユニットです。死と向き合うプロダクトづくりや、場づくりをおこなっています。
今回は、プロダクトの一つである「KUMOMONAKA(雲もなか)」を表現した作品をDESIGNARTにて展示しました。展示の様子を、さだまらないオバケの佐久間がお伝えします。
こんにちは。さだまらないオバケです。
私たちは、「死への向き合い方をちょっとポップにリデザインする活動」をしています。これまでに主に3つのプロダクトを制作してきました。「ひきだしカードゲーム」「ひきだしノート」「KUMOMONAKA(雲もなか)」です。
これらのプロダクトでは、「故人への想いをひきだし、今を生きる希望をひきだす」をコンセプトに、現代にあったカタチで故人を弔う方法を提案しています。
今回のDESIGNART 2023では、「KUMOMONAKA(雲もなか)」のプロダクトイメージを表現した作品を出展しました。
雲もなかは、「おもう」「つくる」「たべる」の3工程で故人を想う時間を作りだす、体験型手づくりもなかです。「思い出の中の故人(あの人)は何色ですか?」という質問から、白あんに色をつける過程で故人を思いだす時間をひきだします。石川県にある葬祭用品メーカー三和物産株式会社と共同で開発しました。
それぞれの人がそれぞれにあった場所や方法で故人を弔う時間を大切にしてほしいという想いから、「新しい弔いのカタチ」となるようなプロダクトを制作しました。
今回のDESIGNART 2023では、アメミヤユウ(GARAGE Program18期 雨宮優)さんとともに「彼岸へのイマジナリー」という死生観を考えるブースを作り、そこに私たちの作品を展示させていただきました。
雲もなかの1番の特徴は、白い雲形のもなかです。故人への想いを乗せて空へ届ける乗り物をイメージしています。実際のもなかを作る際、石川県の工場まで実際に足を運び、特注で作ったこだわりのデザインです。
今回の展示では、その「雲」をメインモチーフとし、作品を制作しました。
この作品は、雲のような白いふわふわの「ひきだし」を7つ積み重ねたものです。
7つのひきだしの中には、ある色と、その色からイメージされた故人との思い出が入っています。日記のような具体的な思い出の記録ではなく、少し抽象的な詩に近い表現になるよう意識しました。
1つ1つのブロックはひきだしとなっており、実際に引き出すことができます。「思い出の中の故人は何色ですか?」という問いを胸にひきだしを開ければ、色とともに誰かの思い出が溢れてきます。
雲もなかをはじめ、さだまらないオバケ全てのプロダクトに共通する「故人への想いをひきだし、今を生きる希望をひきだす」というコンセプトを、実際にひきだしを開ける体験を通して感じていただけたなら嬉しいです。
ブースに立ち寄って鑑賞していただいた方々からは、「弔いや供養のカタチというと、慎重になりすぎて真面目なものになりがちだけど、親しみやすくポップなものになっているのが素敵。」という声や「法事などの葬送儀礼はなんとなくやり過ごしてしまっていたけど、雲もなかのようなプロダクトがあればもっと故人を大切に弔う気持ちを持って取り組めると思った。」などの嬉しい声をいただきました。
また、この「死」や「弔い」というテーマに興味を持つ若い方が意外とたくさんいるという発見もありました。
この作品を通して、さだまらないオバケの活動や雲もなかを知っていただくとても良い機会になったのではないかと思います。
今回の展示を通して、デザインやアートの文脈からDESIGNART TOKYO 2023を訪れ、私たちの活動を知っていただいた方々にも私たちの活動に関心や理解を示していただくことができました。
また、今回は展示だけでなく、「死のリデザイン〜デザインの視点から考える「新しい弔いのカタチ」とは?〜」というテーマでトークイベントも開催しました。アートディレクターとクリエイティブアドバイザーの先生方、住職さんをゲストにお呼びして、死を取り巻く現代の課題に対してデザインができることなどさまざまなテーマでトークセッションを行いました。
これまでは、エンディング業界を中心に認知を広げ活動をしてきた私たちですが、グッドデザイン賞2023を受賞したことも含め、ソーシャルデザインの文脈においてもより多くの人に知っていただけるように活動の場を広げていきたいと考えています。
今後とも応援よろしくお願いいたします。