デザイン×医療×テクノロジーの融合による、「人」が中心な医療の実現を!
Colonb's
デザイン×医療×テクノロジーの融合による、「人」が中心な医療の実現を!
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波多野裕斗
皆さんの周りに、笑顔になってほしい人はいますか?
その人を笑顔にするにはどうすれば良いでしょうか。
皆さんの中には話し上手な人もいれば、どういうコミュニケーションをとれば喜んでもらえるのか分からないという人も多いと思います。
2019年12月7日、デザイン×医療×テクノロジーの融合による、「人」が中心な医療の実現を掲げる「Colonb's」は、【大切な人にサプライズを贈ろう -身近な道具でオリジナルマジックを創る-】というイベントを開催。マジックというものをコミュニケーションツールとして捉え直し、マジックが世代を越えたコミュニケーションを触媒しうるかという問いを検証するために、ワークショップを行いました。
ワークショップは日本クールシニア推進機構とプロマジシャン長谷川信寿さんの協力のもと行われ、参加者は3割が60代以上、もう3割が20代、2割が50代、もう2割が30-40代と多世代の方々に集まっていただきました。
イベントは、最初に長谷川さんによるマジックショーを行なった後、参加者自身にマジック道具を手作りしてもらい、最後には参加者同士でお互いにマジックを披露してもらいました。
ワークショップの最初には、長谷川さんによるマジックショーが行われました。
マジックはユーモアを交えながら参加者を巻き込む形で行われ、大盛り上がり。
参加者同士は初対面の人も多く、開始前は少し緊張感もあった会場でしたが、冒頭のマジックショーを通して一気に場が温まりました。
マジックショーが終わり、早速オリジナルマジックを創る時間となります。
今回参加者の皆さんに習得して頂いたのは、「ペアのカード同士が引かれ合う」マジックです。
例えば、8枚のカードのうち4枚がワインのカード、残り4枚がワインに合うおつまみのカードであるとします。この8枚のカードを裏面にした状態で混ぜてシャッフルし、相手に4枚カードを適当に選んでもらいます。
そして4枚のカードを横に並べてもらい、自分もその上に残りのカードを1枚ずつ重ねていき、カードを表にすると……不思議なことに、相手はカードをランダムに選んだにも関わらず、ワインとおつまみがセットになっている!というものです。
今回のワークショップでは、最初に誰にマジックを見せたいかを考えてもらいました。
その相手に合わせて、どのようなペアを作るか、そのペア同士が引かれ合うことを通してどのようなストーリーを伝えるか、というところにオリジナリティを盛り込んでもらいました。
そして、道具が完成したら、参加者同士でマジックを見せ合い練習してもらいました。
ワークショップの最後には、参加者の中から数名、壇上に上がってマジックを披露してもらいました。
皆さんとても素敵なメッセージをマジックに込められていました。
作品の一部をご紹介させてください。
・4組のカードのペアができることを利用し、奥様との「結婚した時」「結婚してから今まで」「今」「これから」の相性を占うもの(「ご自身」と「奥様」のカードが4枚ずつあり、4組とも「ご自身」と「奥様」が引かれ合ってペアになるので、相性は抜群ということになります!)
・受験前の娘さんの合格率を占うもの(「娘さん」と「志望校」のカードが必ずペアになるので絶対合格です!)
・クリスマス前ということで「靴下」に「プレゼント」が入るもの
様々なストーリーを披露してくださいました。
ワークショップの最後の振り返りの時間では、「マジックを通してコミュニケーションを取ることの楽しさを知った」「普段の生活の場でも使ってみたい」といった声が参加者の方々からあがりました。
また、イベント数日後に参加者の方から「家に帰って家族に見せたらとても喜んでもらえた」というメッセージも頂きました。
ワークショップのメインテーマであった「コミュニケーションツールとしてのマジック」という捉え方を参加者の方々に体感し楽しんで頂けた点で、今回のワークショップの目的は達成されたのではないかと思います。
もともとこのワークショップは、私自身が医学生であることもあって高齢者の社会的孤立というテーマに漠然と興味を持っていたところから始まりました。
自分が高齢者になった時に自分は周りの人たちと繋がっているだろうか(いや、繋がっていなさそうだ)と考えていたところに、マジシャンの長谷川さんと日本クールシニア推進機構の柳さん、新村さんと繋がり、この企画が生まれました。
この場でわざわざ私が言うまでもなく、今の日本では高齢者の社会的孤立が課題として挙げられています。実際に医学生として病棟を回っていても、特に趣味や知人もいないからずっと家にいるという方にお会いすることが多々あります。
今回のイベントの参加者は皆アクティブな方々であり、そういった話に直接関係する層ではないかもしれません。
しかし、ワークショップ中に見た、初対面の人同士がいつも以上に簡単に打ち解ける様子、20代の参加者と60代の参加者が同じ話題に盛り上がっている様子を思い出すと、人と人の繋がりを生み出すきっかけのヒントがそこにはあったような感触があります。
本ワークショップで得た学びを大切にしながら、医療者としても、また将来的に孤立しそうな予感がしている一個人としても、人と人とのコミュニケーションひいては高齢者の社会的孤立というテーマに関して、考え続けていきたいと思います。