MUD ABOUT
イチから作る食体験で、自然と暮らしの距離を近づける。
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MUD ABOUT リーダー 阿部 峻也
MUD ABOUT 阿部峻也
2026年も未来に向けた実験を大胆に繰り広げる100BANCH。メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2026年 今年の抱負!:馬九行久(うまくいく)」。
今日の執筆者は、食をイチからつくる体験を通じて、自然と暮らしとの距離を近づけることを目指す、MUD ABOUTの阿部です。
ゲームの世界では、プレイしていれば勝手にレベルが上がって、スキルも身について、いつの間にか技が使えるようになる。遅ればせながら、現実の世界ではそうはいかないのだと気づいてしまった。なんとなく生きていればレベルが上がるなんてことはない。
2025年を迎えるときにふと、「私は一体、これまでに何を積み重ねてきたのだろう?」と考えた。何か技が使えるようになったのだろうか?
おそらく、使える技といえば「テンパリング」※くらいだ。
※テンパリング…スパイスの香りを油にうつし、料理全体になじませるカレーの仕上げの行為。

スリランカでみたシーギリヤロック
テンパリングを覚えたのは、大学4年のとき、カレーに狂ったようにはまっていた頃だ。
スリランカまで修行に行き、知らない人の家に泊めてもらい、8日間ほとんど観光もせず、一緒に暮らしながら作り方を学んだ。でも、それを生かしたカレーはあまり作ったことがない(笑)。
カレーを作ったり食べ歩いたりしていた時期が6年くらい続いた。最近は、すっかり落ち着いてしまい、2025年は2回しか作っていない。でも、「また作ってみたいな」という気持ちは、心のどこかにずっと残っている。
2025年は、何かを積み重ねてみたいと思った。その積み重ねのひとつとして選んだのがランニングだった。朝起きて走るという、シンプルな習慣。最初は3キロで足が痛くなり、息も切れて、翌日は筋肉痛。でも、走り終えたときの妙な達成感が心地よかった。続けることで少しずつ距離が伸び早くなり、走れるようになった。そんな小さな変化がうれしくて、続けられたと思う。
2025年を振り返ると、ライフイベントや仕事の変化もあり、思っていたよりもいい一年だった。ランニングを習慣化できスタミナがついた。だが、「技やスキル」と呼べるような、人に説明できる形では残っていない気がした。それでも、この文章を書きながら、自分なりに積み重ねていた価値観があることに気が付くことができた。それは、“食を楽しむ心”だった。
毎年、生活を楽しむエッセンスとして、あえて季節の手仕事をやっている。2025年に行った生活の楽しみは、梅干し、味噌、チンキ、梅シロップ、畑、コンブチャ培養、柿酢、黒豆煮、あんこ、のし餅。どれも、わざわざやらなくてもいいことばかりだ。買ったほうが早くて安い。それでも「あえてやってみる」と、そこにたくさんの発見と楽しみがある。
梅干しを作ろうと思えば、梅雨明けが待ち遠しくなり、徐々に梅の水分が抜けていく変化がうれしい。味噌は数か月間寝かせる。家の中で微生物たちが息をして味噌をおいしくしてくれていると思うと、なんだか愛おしい。畑では、野菜たちがぐんぐんと成長していき、毎日天候と野菜と向き合う農家さんには本当に頭が上がらないと思った。

初めて自分の手で作った野菜。うれしかったな~
知っているのと、やってみるのとでは全然違う。やってみることで、自分の世界の捉え方が少しだけ変わる。その小さな変化が、なんだか嬉しいと思うようになった。

やっぱり、カレーが作りたい。
今年は、“おいしい”カレーを作ってみようと思う。おいしいにはいろんな意味があると思うが、沢山の意味が含まれたおいしいものにできたらいいと思う。
「MUD ABOUT」というプロジェクトは、カレーをイチから作る体験を通して、食べ物がどうやって私たちの手元に届くのかを知る試みだ。野菜も米もスパイスも鶏も、器も自分たちで育てることを企てている。
生産性や効率が求められる時代に、あえて非効率なことをする。その中に、心の豊かさがあるのではないかと思う。
メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2026年 今年の抱負!:馬九行久(うまくいく)」をお届けしています。他のメンバーによる記事は以下のリンクからご覧いただけます。若者たちの熱や未来への兆しをお楽しみください。