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わがまま力を鍛える一年に!——2026年 今年の抱負!

Re:Spect 下吹越直紀

2026年も未来に向けた実験を大胆に繰り広げる100BANCH。メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2026年 今年の抱負!:馬九行久(うまくいく)」。

今日の執筆者は、循環型プロダクトで獣害と伝統染織業が抱える課題の解決を目指す、Re:Spectの下吹越です。

三島由紀夫よりも『熊』の2025年

皆さま、あけましておめでとうございます!Re:Spectの下吹越(しもひごし)です。

歳を取ると一年があっという間に過ぎていきますね。気がついたら2026年が始まっていました……。 

さて、2025年は私にとって二つの理由で象徴的な年でした。一つは皆さんご存知のとおり、作家・三島由紀夫の生誕100年という節目の年であったこと。もう一つは、Re:Spectで取り組んでいる獣害問題(特に都市部に出没するアーバン・ベア)が連日のように報じられ、2025年を象徴する漢字に『熊』が選ばれたことです。

実は獣害問題に向き合い始めて今年で5年目になります。取り組み始めた時は、一部の界隈の関心事に過ぎなかった「獣害問題」が、ついに多くの人々にとって無視できない共通の課題として顕在化した一年でした。ようやく世間の認識が現場の現実に追いついてきた、そんな手応えと危機感を抱きながら、新年を迎えました。

LVMH・ジャパンの社長が審査員長を務める東京都のファッションコンテストで
ファイナリストまで残ったRe:Spectのスニーカー

Re:Spectは、ジビエレザーと伝統染織を掛け合わせた循環型プロダクト(主にフットウェア)を制作するプロジェクトです。このプロジェクトの背景にあるのは、深刻化する獣害問題と、伝統染織産業の衰退です。

毎年多くの鹿や猪が駆除されていますが、その命や皮の多くは活用されずに廃棄されています。一方で、地域に根づいてきた伝統染織や皮革加工の技術も、担い手不足や市場の縮小によって途絶えようとしています。

これらの問題の根底には、いくつもの高い壁が立ちはだかっています。 たとえば、野生鳥獣の皮を安定した品質の革へと加工するインフラの不足。また極めて小規模で分散している伝統染織の生産背景と、現代の商流とのミスマッチ。そして何より共通する最大の課題は「市場に出口がないこと」です。

富士山のふもとにて、罠猟で仕留めた二頭の鹿を運ぶところ

どれだけ高い志で駆除された命を利活用しようとしても、どれだけ貴重な伝統技術を守ろうとしても、それが消費者の手に渡る魅力的な商品として出口を見つけられない限り、一過性のボランティアや補助金事業で終わってしまいます。資本主義社会に生きる以上、経済的出口がなければ、理想は死ぬ。それがシビアな現実です。

この出口を見出すため、自らも猟場へ出向き、仕留めた獲物を運び、タンナー(皮革職人)の元へ通い詰めて、野生ならではの傷や個体差をどう魅力に変えるか。泥臭い対話を重ね、ステークホルダーとの信頼関係を一つずつ構築してきました。

フットウェアの開発だけではなく、ジビエレザーの特性を活かした素材提供や、地域コミュニティとの連携など点として存在していた駆除・加工・製作のプロセスを、一つの「持続可能な仕組み」として繋ぎ合わせるための活動を続けてきました。こうした地道な取り組みが、プロジェクトの背骨になっています。

 

恒産なきところに恒信なし。わがまま力をつける一年に

この資本主義の世界でも青くさい理想を追い続けられるように、2026年の私の抱負は「わがまま力を鍛える」ことです。

ここでいう「わがまま」とは、周囲の状況や短期的な損得に流されず、自分が本当に成し遂げたいビジョンを貫き通す強さを指します。多くの挑戦者が資金繰りや市場の壁にぶつかり、当初の信念を曲げたり、志半ばで事業を断念したりする姿を数多く見てきました。それが現実です。

儒教の教えに「恒産(こうさん)なきところに恒信(こうしん)なし」という言葉があります。安定した生業(資産や経済基盤)がなければ、自らが信じる正しい道を守り信じ続けることは難しいという意味です。

私が取り組んでいる課題は、一朝一夕で解決できるものではありません。非常に時間がかかる取り組みです。だからこそ、理想を語る以上に事業として自立し、継続させるための圧倒的な地力が必要だと痛感しています。

今年、特に以下の三つを重点的に。

  1. 経済的自立:補助金や支援に依存せず、プロダクトそのものの価値で利益を生み出し、信念を曲げずに済むための経営基盤を固める。
  2. ステークホルダーを動かす交渉力:職人、自治体、パートナー企業。立場の異なる人々の利害を調整しながら、最終的に自分のビジョンを形にするための巻き込み力。
  3. ブレないグリット力:世の中の流行り廃りに惑わされず、10年、20年先を見据えた一歩を、泥臭く積み上げ続けるグリット力。

多くの人が現実との折り合いをつけていく中、それでも青くさく真っ直ぐに理想を追い続けられる「わがまま」な人間で居られるように。誰よりも泥臭くその基盤となる力を蓄える一年にします! 本年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

メンバーたちの抱負をリレーエッセイでつないでいく新春特別企画「2026年 今年の抱負!:馬九行久(うまくいく)」をお届けしています。他のメンバーによる記事は以下のリンクからご覧いただけます。若者たちの熱や未来への兆しをお楽しみください。

https://100banch.com/magazine/resolution2026/

 

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