SAFEID
知的障害者のファッションを改革したい
知的障害者のための服をつくり、彼らの生活の選択肢を広げることを目指すプロジェクトSAFEID。身体的なハンデと知的なハンデの両方に働きかける服を開発しています。
そんなSAFEIDはナナナナ祭2024で、汚すこと=ステインを楽しみ、デザインと共存させる新しいファッションを体験できるブースを出展。オリジナルのつけ襟「yodaren」を作れるワークショップと、そのつけ襟をつけてナナナナ祭を回る体験を来場者にしてもらいました。当日の様子をSAFEIDの加藤が振り返ります。
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知的障害や発達障害など、目に見えない障害を持っている人たちの日常の選択肢を増やすため、ファッション小物での解決策を提案しています。普段当たり前に楽しんでいる「オシャレ」。見た目が可愛いという楽しみだけでなく、これを着てあの場所に行きたい!という体験にも大きく関わっています。
しかし、目に見えない障害を持っている人たちは、この楽しみを諦めなければならないことが多いです。知的障害や空間認知の弱さといった心の問題、身長や体型など体の問題、さらには支援者の負担といったサポートの問題が、オシャレを楽しみ、それを着て外に出かけるワクワク感から遠ざけています。
知的障害を持つ弟と生活しているとき、特にご飯の食べこぼしが気になりました。彼は食べるとき、汚れてもよい服に着替えたり、エプロンをつけたりしています。汚れとオシャレは無縁に思えるかもしれませんが、”汚れを楽しむファッション”があれば、彼らも日常的にファッションを楽しむことができます。
そこで、「オシャレ」の新しい選択肢として汚してもよいつけ襟、yodarenを開発しました。これは、食べこぼしやよだれをつけてもオシャレに見えるファッションアイテムで、健常者も楽しめるデザインになっています。自分の好きな服の上から、これをつけるだけでオシャレも汚れも解決できます。
8月中旬から発売するcarutenaとのコラボ商品のプロトタイプ(着なくなったジーンズから製作したもの・車のシートの廃材から製作したもの)
ナナナナ祭では、yodarenにデコレーションして自分だけのつけ襟を作り、自由に汚してみるワークショップを行いました。このワークショップで使用したyodarenのもとは、就労継続支援B型事業所、アトリエ福花さんに、裁断や縫製を委託させていただきました。生地やデコレーションの布はアトリエ福花さんで使わなくなった素材やその近くに住む方々の着なくなった服、100BANCHで集めた古着、船の帆など、アップサイクルで製作しました。
3日間の合計で約50名の方々にワークショップを体験いただきました。多くの方が、熱心にワークショップに参加してくださり、多種多様なデザインを考えてくださりました。どんなデザインを欲しい・可愛いと思うのか、たくさんヒントを得ることができました。
目に見えない障害を持っている方だけでなく、健常者にとってもファッションアイテムとして取り入れてもらう、という目的の一つを達成することができました。
目に見えない障害を持っている人たちもそうでない人も異なる視点から楽しむことができるプロダクトになるよう、ナナナナ祭での経験を取り入れて 商品開発を進めていきます。
今回のナナナナ祭では、初めてプロダクトをお客さんに体験してもらいたくさんの気づきや発見がありました。今回の経験とここで生まれた縁を活かして、商品化に向けた準備を進めていきます!