• イベントレポート

100年先の未来を描く5プロジェクトが登壇 2024年2月 GARAGE Program実験報告会

100BANCHで毎月開催している、若者たちが試行錯誤を重ねながら取り組んできた“未来に向けた実験“を広くシェアするイベント「実験報告会」。

これからの100年をつくるU35の若手リーダーのプロジェクトを推進するアクセラレーションプログラム「GARAGE Program」を終えたプロジェクトによる100BANCHでの活動報告や、100BANCHでの挑戦を経て、プロジェクトを拡大・成長させた先輩プロジェクトによるナビゲータートークを実施しています。

2024年2月20日に開催した実験報告会では、工事用資材を転用した仮設の遊び場を即興的につくり、まちを舞台に新しい遊び方を創造しているGARAGE Program 39期生「REPIPE」の和久正義をナビゲーターとし、GARAGE Program の計5プロジェクトが活動を報告しました。

本レポートでは、GARAGE Programの5プロジェクトの発表内容をお伝えします。

AI3D

みんなの考えを形に!AIと3Dプリンターでかなえる自分だけのモノづくり!

登壇者:田川晴登

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/ai3d

「AI3D」は、生成AIと3Dプリンターの統合プラットフォームを開発することを目指すプロジェクトです。

田川:100BANCHでの6ヶ月間では、「生成AIの独自プラットフォームをつくる」という元々の目標がありましたが、初心者の自分たちには難易度が高すぎて実現できませんでした。しかし、2回のイベントに参加し色々な気づきや喜びを得ることができました。10月に秋葉原で行われた「会いに行ける科学者フェス」に出展し、レーザーカッターで彫刻をしたオリジナルグッズや3Dプリンタで積層したものを展示したり、販売したりしました。また、京都府京田辺市の市民祭り「たなフェス」に参加して子供向けの工作教室を展開しました。これらのイベントでは、普段の活動では気づけないようなことや、「子供はものづくりが大好きなんだな」ということに気づくことができました。また、「何かに尖っていないとみんなにはウケないな」ということを強く感じました。この反省を活かして、今後展開していきたいことが3つあります。まず、イベントへの出展は引き続き行っていきます。また、自分たちで生成AIをつくるのではなく、既存の3Dモデル生成AIを利用した研究開発が行えるよう取り組んでいきたいと思っています。最後は飴細工のチャレンジです。3Dプリンタと生成AIに飴細工を掛け合わせて活用できないか、現在研究開発を行っています。

「今後は、生成AIで起こした図面をもとに飴のフィラメントを用いて3Dプリンタの飴細工をつくる取り組みを行っていきたいなと思っています。」と田川は話しました。

 

SHISHIMAI habitat city (Shibuya edition)

獅子舞にとって暮らしやすい都市とは?生活の豊かさを測る新しいフレームを創造する

登壇者:稲村行真

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/shishimai-habitat-city

「SHISHIMAI habitat city」は、日本全国500件以上の獅子舞を取材してきた知見を活かし、「渋谷に獅子舞が生息するとしたら道順、舞い方、獅子のデザインはどうなるのか?」 を想定し、実際に獅子舞として舞い歩くというプロジェクトです。

稲村:これまで獅子舞研究家として日本全国の獅子舞を取材してきました。その中でできた御縁から展示会をやったり、祭りを企画したり、講演会やイベント出展、学校での授業など、色々と派生したことをやってきました。2020〜22年は獅子舞の取材がなかなかできず、「この街にはどういう獅子舞がいるんだろう」と獅子舞を想像する癖みたいなものがつきました。そこから実際に獅子舞をつくってみようということで、2022年の1月から獅子舞ユニット「獅子の歯ブラシ」を結成し、各地でアート作品としての獅子舞をつくる活動をしています。1つの土地に1週間ほど滞在し、その土地を散歩しながら素材を集め、獅子舞をつくり、ゲリラ的に舞い歩いて舞いやすい場所を考えたり人々がどういう反応をしたか検証したりしています。 秋田市では段ボールや新聞紙を使ったカジュアルな感じの獅子舞になりました。渋谷では109の前で獅子舞をやりましたが、10秒ほどで警備員さんに止められました。100BANCHのサテライトがある徳島県神山町では、稲の収穫や竹刈りを手伝い、獅子舞をつくって舞い歩いたところ、色々なところで受け入れてもらえました。たくさんの場所で舞ってきた結果、獅子舞の生息条件には、空間の余白、時間の余白、経済的な余剰、共同体の存在、他者への寛容さが必要だとわかり、それを「獅子舞生息可能性都市」という本にまとめました。

「今後、獅子舞を用いたワークショップなどで都市開発に関わったり、新しいお店に獅子舞を置いて人を集めたり、そういうこともやってみたいです。様々なデータを分析し、獅子舞にとって住みやすい街を検証していきたいです。」と稲村は話しました。

 

Reiwa no Land Reform

東京の街を食べられる森にするため、 都市システムを草の根的にアップデートしたい

登壇者:森原正希

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/reiwa-no-land-reform

「Reiwa no Land Reform」は建築、都市計画、ランドスケープの側面からデザインアプローチを展開し、街を食べられる森にすることを目指すプロジェクトです。

森原:100BANCHのGARAGE Program期間が終わった後、世の中では戦争などもあって「そもそも何を作ればいいんだろうか」と色々と考えました。建築がどうとかデザインがどうとかはどうでもよく、「世の中にとってこれから作った方がいいもの、作るべきものって何なんだろうか」「悲しんでいる人を減らしたり、おかしいことをきちんと変えていったりすることにデザインや設計の力が使えた方がいいんじゃないか」と考えるようになりました。建築の実務をやっていると、様々な建物ができているけれど、「都市としてこのままでいいんだろうか」と思うこともあり、それに代わるオルタナティブな技術、技術的な哲学、倫理観や建築の手法を探すため、人類以外の生き物にも目を向けて考えてきました。生き物の巣と建築は造形的に似ていたりするので、それを解明しようとしています。また、生成AIを使って、地域のデザインなどを読み取って、その地域の“らしさ”や良さを再認識していくプロジェクトチーム「Project NESS. 」もやっています。実際に墨田区の京島という地域で生成した写真を銭湯で展示し、意見をもらってみることをやってみました。写真があることによって意見が生まれて集まることで、それを使った都市計画や都市のつくりかえ方は全然変わったものになるんじゃないかと思います。これを応用し、再開発の危機に立つ赤羽の飲み屋街で同じことをやってみました。高齢者を30名ぐらい集めて生成AIを触ってもらったんですが、これによってデータが裏でとれて、本当に必要なことがわかってくるんです。「フードバンクがほしい」「コミュニティバスがほしい」「公園を大事にしたい」、そういった潜在的なデータが得られるので「これを都市計画に使うとどうなるんだろう」というのがこれからやっていきたいことです。また、これまで建築家は受け身の状態が多かったけど、これからは自分たちで仕掛けていこうと、色々なデザイナーやアーティストの方々と3つほど企画展を準備しています。1つは、これから地球はどうやって生きていかなければいけないのかというコレクティブなテーマ。もう1つは、「恋愛・性事情の話など性を楽しめる場所は本来どうあるべきなんだろうか」、ということを考えるきっかけを与えるラブホテルの展示です。また、建築をつくる過程ではなく解体する過程を示すような企画展も準備しています。

「元々は意匠設計やデザインがやりたかったのですが、建築はもうちょっと違う方向に働かなきゃいけないと思います。世の中の色々なしがらみや問題をプラスに転じていく、翻訳していく道具となるような建築を実践していきたいです。」と森原は話しました。

 

ONOFF

社会の分断を解消し、ONとOFFの境目をシームレスに

登壇者:安藤智博

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/onoff

「ONOFF」は、地域コミュニティ、伝統と革新、人々の稼働と休息という三つの分断を繋ぎ止め、古ゴザを活用したピクニックシート「GOZA」の開発と、ピクニックカルチャー企画「ONOFF」の二本柱で実施するプロジェクトです。

安藤:私たちは2023年4月に100BANCHに入居し、畳店を見学して畳の課題を色々と聞きました。捨てられている畳やゴザをうまく活用して人を街に連れ出すしくみにできないか活動してきました。4月にはピクニックゴザのプロトタイプを完成させ、実際にナナナナ祭2023の休憩所で展開しました。その結果「これは売れるんじゃないか」と手応えを感じて販売を始めたんですがまったく売れませんでした。そこでどうすれば売れるのか考え、つくったゴザシートを無料で貸し出してアンケートをとり、ニーズに沿った商品の企画開発を進めてきました。そこでいただいたフィードバックから、畳を4分の1畳の小さいサイズにした1人でも2人でも使いやすいプロトタイプができました。これをもって営業を進めた結果、10月に音楽フェスとコラボすることができ、たくさんの方にゴザを使っていただくことができました。また、11月には富山のクラフトフェアに出展し、作品のコンセプトを紹介しながら50枚ほど販売することもできました。ニーズを満たす最低限のプロトタイプを制作し、これまで捨てられてきたものをアップサイクルして金銭的な価値を生み出すことができたのは、この1年で自分たちの成し遂げた1つの大きなことかなと思います。また、最初は都市におけるONとOFFの境目をシームレスにするための手段としてゴザを使っていましたが、なかなかこんがらがったコンセプトのためにチーム内でも議論がありました。そこで「小さな休息と行楽を、ONからOFFへと軽やかに」というもっとシンプルなコンセプトに見直し、名前も「ONOFF」から「NOFF」に変えてやっていくことになりました。

「今後は、人々の休息に着目し、日本のピクニックカルチャーを推進しながら、オリジナルゴザシートの開発と街中での実証実験に取り組んでいきます。これから花見の季節がですが、もっと色々な方にゴザシートを使っていただいて広めていきたいと思います。」と安藤は話しました。

 

SHOKKEN

食べ物で不自由のない社会をつくる

登壇者:バイラム ファールク・オメル

プロジェクト詳細:https://100banch.com/projects/shokken

「SHOKKEN」 は、原材料・アレルギー・栄養成分など細かな条件を指定して食品を検索できるアプリを通じ、アレルギー、信仰、病気などで食事に制約がある人たちが楽に「食」を選べるようになることを実現するプロジェクトです。

オメル:「SHOKKEN」の始まりは、自分が通っていた大学での100BANCHとのコラボ授業でした。3日間の授業で社会問題を定義し、解決策を提案していくものです。その時に自分が定義した問題は、アレルギーの人が食品をより簡単に見つけられるようにすることです。この問題に意義を感じ、授業が終わった翌日から準備し100BANCHに入居して、アレルギー以外に病気で食に制限がある人や健康意識が高い人、文化や宗教などで食に制限がある人など、様々な食における苦しみを解決すべく、アレルギー、原料、栄養成分の3つの項目でフィルターできる食品検索アプリ「SHOKKEN」をつくって独立しました。しかし、本当に解決したいことは何だったのかわからなくなり、プロジェクトがしばらく止まってしまいました。そんな時に「フードテック革命 世界700兆円の新産業『食』の進化と再定義」という一冊の本に出会います。食品とテクノロジーを融合して食における問題を解決していくというもので、その中の「食のパーソナライズ化」という概念に感銘を受けました。TikTokやYouTubeなどはパーソナライズ化されており、アプリを開くと自分が見たいものがすぐに出てきます。これをやりたいと思い「SHOKKEN」から「ShokuFinity」へ変化しました。個人には、好みや調理実績、好き嫌い、食に求めること、その時の気分など多くの条件があります。それに食品データをかけ合わせ、ユーザーを理解し、その人が食べたいものを先回りして提案する。これが「ShokuFinity」がやろうとしていることです。多種多様な食品から選ぶ「苦」から解放し、食の本来の楽しさを最大限味わってもらいたいと思っています。

「今後は100年後の世界へ向け、もっと大きな団体として活動し、アレルギー、病気だけに限らず、家庭、国、コミュニティ規模でいろいろと活動していきたいと思います。」とオメルは話しました。

 

実験報告会当日は各メンバーのピッチを聞いた感想を、ナビゲーターの和久がその場で視覚的に共有。プロジェクト同士の共通点やつながるアイデアが見えてきて、新たな活動が生まれる兆しが感じられました。

 

実験報告会の各発表内容はYouTubeでもご覧いただけます。​​

AI3D https://youtu.be/FdzjdA-PHVE?si=a20KfwHivU-bFmNi

SHISHIMAI habitat city (Shibuya edition) https://youtu.be/722TKHHjtDc?si=JFnaXC1VPymOu3FF

Reiwa no Land Reform https://youtu.be/kMI00cYqNkY?si=BVYkdvgOv9NjlxOC

ONOFF https://youtu.be/_r2nFRsjPdA?si=wsMxXMQnn9UbnzHF

SHOKKEN https://youtu.be/6ctb5X4Hk04?si=2ZfUhzv7mL1V8ydW

次回の実験報告会は3月26日(火)に開催。ぜひご参加ください!

 

(撮影:鈴木 渉)

 

<次回実験報告会>

「臭いものに蓋はしない。納豆を起点に個性が輝く社会を」100BANCH実験報告会

 

 

【こんな方にオススメ】
・100BANCHに興味がある
・GARAGE Programに応募したい
・直接プロジェクトメンバーと話してみたい
・食をテーマにしたプロジェクトに興味がある
・納豆が好き!

【概要】

日程:3/26(火)

時間:19:00 – 21:30 (開場18:45)

会場:100BANCH 3F

参加費:無料(1ドリンク付き)

参加方法:Peatixでチケットをお申し込みの上、当日100BANCHへお越しください

詳細はこちらをご覧ください:https://100banch.com/events/59249/

 

  1. TOP
  2. MAGAZINE
  3. 100年先の未来を描く5プロジェクトが登壇 2024年2月 GARAGE Program実験報告会

100BANCH
で挑戦したい人へ

次の100年をつくる、百のプロジェクトを募集します。

これからの100年をつくるU35の若きリーダーのプロジェクトとその社会実験を推進するアクセラレーションプログラムが、GARAGE Programです。月に一度の審査会で採択されたチームは、プロジェクトスペースやイベントスペースを無償で利用可能。各分野のトップランナーたちと共に新たな価値の創造に挑戦してみませんか?

GARAGE Program
GARAGE Program エントリー受付中

6月入居の募集期間

3/26 Tue - 4/22 Mon

100BANCHを応援したい人へ

100BANCHでは同時多発的に様々なプロジェクトがうごめき、未来を模索し、実験を行っています。そんな野心的な若者たちとつながり、応援することで、100年先の未来を一緒につくっていきましょう。

応援方法・関わり方