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ストロー愛を追「吸」したら未来の社会が見えてきた:野村優妃(株式会社リベラベル CEO)

「みんなが知らない選択肢に対して、いろんな選択肢、可能性があることを知ってほしい。好きなドリンクごとに、好きなストローを選べる時代をつくりたい。」

そう話す、GARAGE Program 29期生「strawmaestro」の野村優妃(株式会社リベラベル CEO)は、2019年12月に100BANCHに入居。ストローそのものの可能性を追求することで、今まで当たり前に感じていた消費を見つめ直すきっかけをデザインしたいという思いから、ストローの研究や様々な素材のストローを試すことができる試吸式というイベントの企画運営に取り組むなど、様々な実験に挑んできました。
現在でもストローブランド「Dlink Straw」を立ち上げ、飴ストローを開発するなど精力的に活動を続けています。
そんな野村が100BANCHでの活動や自分自身の振り返り、当時の心情の動きなどを語りました。

野村優妃|(株式会社リベラベル CEO)

カフェの中に社会の多様性を表現しオフラインのプラットホームとなりカフェから社会をエンパワメントする!をモットーに起業準備中。無意識の中に意識するきっかけを作る1つの取り組みとして環境問題をストロー考えるきっかけをカフェから発信していくためにstrawmaestroプロジェクトを立ち上げる。普段は通訳の仕事をしつつ、プロボノとして株式会社キュカのマーケターを行う。

 

1000本以上のストローを集め、「ストローマエストロ」に

野村:みなさんは、世の中にどれくらいの種類の素材のストローがあるかご存じでしょうか。2016年頃にウミガメの鼻にストローが刺さるという衝撃的で悲しい動画が世の中に広まったことをきっかけに、環境問題の文脈からプラスチックストローの問題が注目されるようになり、そこから様々な素材のストローが誕生したという流れがありました。当初、「プラスチックストローは悪だ」「ストローなんかなくなってしまえ」といった動きから、紙ストローのような代替品が誕生しつつも、「紙ストローはまずい」といった声もあるような時期に私のストローマエストロ(strawmaestro)の活動が始まりました。今日は、その活動を振り返りながら、自分の心情を「ゆひの心情グラフ」として、赤裸々にお話をさせていただこうと思います。

2017年8月 フィリピンで一本の竹ストローに出会う

野村:2017年頃、私はフィリピンに留学していたのですが、フィリピンでもプラスチックストローは使われないようになっていました。その時、たまたま入ったカフェで竹のストローでドリンクが提供されたんですね。私にとってはプラスチックストローが一般的だったので、このプラスチックじゃないストローは何の素材なんだろう?と思いました。それが最初にストローに興味を持ったきっかけでした。

2019年10月23日 ストローマエストロの誕生 

野村:日本に帰国してみると、環境問題の観点からプラスチックストロー廃止の動きや、「紙ストローまずい」「 ストローなんかなくなってしまえ」といったネガティブな声が広まってきていました。私はフィリピンで出会った竹ストローをきっかけに、竹以外にも色々な素材のストローがあるんじゃないかと興味本位から色々と調べ始めたのですが、さとうきびストロー、草ストロー、黒糖でできたストロー、コーヒーのストローなど、本当に色々な素材からできたストローがあることを知るようになり、趣味感覚でコレクションをするようになっていました。

SNSなどでストローに関してネガティブな声が流れてくる中、私の心はモヤモヤしていました。「紙ストローじゃなくって、さとうきびストローとかあるし、結構おいしいよ?」と、ストローもいろいろな選択肢があることをみんなにもっと知ってほしい。そういう想いが湧いてきて、100BANCHに応募、「strawmaestro」のプロジェクトが立ち上がりました。そこからストローマエストロを「ストローの魅力を伝える人」と定義をして100BANCHをきっかけに色々な活動をするような流れとなっていきます。

野村:この時のゆひ心情グラフです。世の中でものすごくネガティブになっているようなことでも、私の発信をきっかけに色々な選択肢を知ってほしい、という使命感が原動力に変わっていくタイミングですごくワクワクしていたのを覚えています。

 

100BANCHで模索した、ストローの未来

2019年12月 ストローの研究と実験

2019年12月、「ドリンクごとにストローを選べる時代へ」というスローガンを掲げ 、100BANCHに入居しました。きゅうりを切り抜いてみたり、吸えそうなものは色々と吸ってみようと、ストローの研究と実験を重ねていました。この頃、100BANCHの2階のスペースで毎週末いろいろな野菜をくり抜いてストローにして吸ってる子たちがいる、と噂が立つくらいストローの実験をしていました。ストローの概念にとらわれずに探求心を持って可能性を探っていた時期だったと思います。

 

2020年7月試吸式ワークショップ開催

2020年の7月には野球の始球式にかけて、試しに吸ってみる式「試吸式ワークショップ」を開催をしました。100BANCHで1年に1度行われるお祭り「ナナナナ祭」は当時、ちょうどコロナ禍で、初めてのオンラインの開催だったんです。そこでオンラインでも何か楽しくストローの選択肢を試して一緒に考えていくようなワークショップをしたいと思い、8種類の異なる素材のストローキットをつくって参加者の元へ届け、みんなでオンライン上でいろんな素材のストローの違いを楽しむといったワークショップを行いました。

 

2020年10月23日 Dlink Straw の誕生

その後、自分でもストローをつくってみたいと思い「ドリンクごとにストローを選べる時代を作る」というスローガンを掲げ、Drink(ドリンク)とlink(リンク)するストローで、Dlink Strow(ディーリンクストロー)というブランドを立ち上げてみました。

元々、ストローマエストロは、チームで行っていたプロジェクトですが、自分がストローを通して発信していきたい想いは、どちらかというとみんなが知らない選択肢に対して、「こんな選択肢があるんだよ」「いろんな可能性があるんだよ」と、知ってほしいところにモチベーションを感じていました。一方でチームの他のメンバーは、環境問題の解決策になるようなストローの可能性を探りたいと考えていたんですね。当時は自分の中で言語化できていなかったのですが、その違いがまだ見えてなく、モヤモヤする時期を過ごしていました。そんな時に100BANCHオーガナイザーの則武さんから「優妃ちゃんはストローがものすごく大好きで、世の中からストローが悪者にされているのが嫌で、ストローの良さをもっと伝えていきたいという素直な気持ちを伝えていくことだけにフォーカスしたらいいんじゃないか」とアドバイスをいただいたことがすごくターニングポイントとなりました。少しずつ少しづつ、自分がストローを通して、発信していきたい思いも言語化されていって、小さな形ではありましたがアウトプットできてきた時期でした。

 

キャンディストロー発案 クラウドファンディングに挑戦

ブランドを立ち上げたことをきっかけに「ストローの常識を壊す、次世代ストローブランド『DLINK STRAW』」というタイトルで、食べられるキャンディーストローを開発して、クラウドファンディングで発売しました。キャンディーストローは、食べられる、甘い、 溶けるからこその有限性、ドリンクの味が変わる、といった特徴があり、ドリンクに漬けて20分ぐらいはストローとして使っていただいた後、ボリボリと食べて飴として楽しむもよし、そのままドリンクに溶かして砂糖として使うもよし、といったこれまでにないようなストローの価値を生み出そうとつくりました。それまでストローは無料で使ってきた方がほとんどだと思うので、ストローにお金を払って使っていただく体験そのものが挑戦だったと思っています。

キャンディーストローは多くの方に手に取っていただけて、メディアにも取り上げていただいたり、ストローの可能性をみなさんに知っていただくようなきっかけになりました。

でも心情グラフ、めちゃくちゃ落ちてますね。クラウドファンディングが終わった頃から、「この先、自分がストローマエストロ、Dlink Strawのブランドとしてどのような未来をつくっていけばいいんだろう」と、燃え尽きたような感覚に陥っていました。ストローが嫌いになるくらいストローのことを考えたくなくなったり、夜中に則武さんに泣きながら「もうストローマエストロやめる!」と電話をかけたりしたこともありました。メディアでとりあげられたり、クラウドファンディングを通じてプロダクトを手に取っていただくことで、その方々からのお声や反応をものすごくプラスに受け取れる一方で、自分が本当にストローを通して届けたい想いとは違う受け取られ方をされることもあったりして、このままでいいんだろうか、とモヤモヤも重なり、考えこんでしまった時期だと思います。

 

ストローを通して伝えたい想い

2021年7月 ストロードキュメンタリー

野村:そんな中、2021年にはナナナナ祭をきっかけに「ストロードキュメンタリー『This is STRAW』あなたはまだ本当のストローを知らない」というドキュメンタリー作品を制作しました。

あらためて私がストローを通して、ストローマエストロとして、伝えていきたい想いをまとめた集大成のドキュメンタリー作品として制作したというのがこの時期です。この動画を自分が老後に見た時に、ストローマエストロとして自分が伝えたかった想いが伝えられるような、記録として残せるような作品を作り上げられたことは、とても大きかったと思います。 

 

2021年12月 Drink Straw リブランディング

そして、Dlink Straw のリブランディングを行いました。Dlink Strawというブランドとストローマエストロ を当初は自分の中で一体化させていて、自分のアイデンティティがものすごく迷走していた時期でした。2021年12月頃、ちょうどクラウドファンディングを終えた後のタイミングでの会社設立をきっかけに、デザイナーさんにチームにジョインしていただき、Dlink Strawを「ストローマエストロの優妃」とはまた違う1つのブランドとしてリブランディングしました。リブランディングにあたって、何ヶ月も何ヶ月も「Straw for your life」「あなたをもっと”らしく”する。日常に『ありのままでいられるひととき』をつくるストローブランド」という言葉を1つずつ紡ぐ時間を大切にして過ごしていた時期だなと思います。

 

2023年11月11日 Essential D-kit をローンチ

2023年の11月11日には Dlink StrawからEssential D-kit という、ストロー&ストローケースを発売しました。使いまわせるステンレスストローで、お家だけでなく、ケースに入れて外に持って行っていただき、職場のデスクやカフェなどでの利用をイメージして作ったアイテムです。自分が本当に欲しいと思っていたストローとストローケースを形にすることができたので、ものすごく自分の中で良いきっかけだったと思っています。

振り返ってみると、フィリピンで本当にたまたま竹ストローに出会ったことをきっかけに自分がストローをコレクションするようになって、いろんな素材のストローについて発信していき、そこから自分でも作ってみたいと食べられるキャンディーストローを作り、スランプも経験して、自分が本当にブランドを通して伝えていきたい想いや自分らしさを見直すきっかけを通して、今のDlink Straw、ストローマエストロ、野村優妃があるのかなと思っています。

 

“自分らしさ”と向き合う何かのヒントに

100年後の未来をつくる100BANCHのみなさんは、未来を思い描き続けていると難しいこともあると思います。道の過程でものすごいスランプや、未来が見えなくなるタイミングも絶対にあると思います。

そういったことと共存しながら、自分らしさを大切にして、未来を一緒につくっていけたらいいなと思っています。

 

今回のお話の内容は、YouTubeでもご覧いただけます。

https://youtu.be/xr-i8M8cUa4?si=4aMQCamKHVo2TUYq

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