- イベントレポート
Future Jungleとはなんですか? ──ナナナナ祭 2023ブラッシュアップ合宿
いよいよ開催が目前に迫ったナナナナ祭。メンバー、事務局ともに現在、最終準備の最中ですが、ナナナナ祭に向けたプログラムづくりは例年2月頃からスタートしています。そこから、ディスカッションしたり、試作をつくったり、連携先を探したりと色々な活動をしながら企画をつくりこんでいくのですが、今年はナナナナ祭全体で大事にしたいことを共有し、企画をブラッシュアップする場として、5月に徳島県・神山町に合宿に出かけました。今回はその模様を100BANCH事務局の黒田がレポートします。
100BANCHの周年を記念して開かれるナナナナ祭は実験成果やさらなる挑戦を対外的に発信する、年に一度の大舞台。「祭り」という「ハレ」の舞台を通して日常の「ケ」のリズムを意図的に崩し、普段では起こらない触発を生むという役割を担っています。
多種多様なプロジェクトが思い思いの未来を描き、プログラムをつくっていくのがナナナナ祭の面白さでもあるのですが、祭りをつくる過程では、参加メンバーに共通で意識してもらうためのテーマを設定しています。
2022年のテーマは「地球の上で未来をつくる」。地球の上に立ち、地球の中に存在している生命体として、カーボンニュートラルや環境負荷にならない活動を行っていくのは自らが生きるためにも不可欠です。
地球あってこその未来。未来をつくる100BANCHとしては当然のごとく、この課題に取り組んでほしい。そんな想いから今年のナナナナ祭では、参加プロジェクトそれぞれに自らの取り組みが地球にどのように影響しているか/していきたいかについて考える機会を設けてきました。
そしてテーマのヒントを得るべく、ナナナナ祭2022の参加メンバー総勢17人で徳島県・神山町へ向かいました。
徳島県神山町:
徳島県中部の山あいに位置する、人口約5000人のまち。約86%が山(標高300〜1500m)であり、自然資源が豊か。鮎喰川に沿うように集落や農地が点在しており、今も昔ながらの農のある暮らしがある。人口減少社会の課題を先取りして見つめながら、まちを次代につなげるための先進的な取り組みを重ねていることから、「創造的過疎地」とも称される。
神山合宿1日目のお昼ご飯は「かま屋」で、神山で育った季節の食材を生かし調理した定食をいただきました。
ただ美味しいだけではなく、「少量生産と少量消費をつなぐ」というシンプルな活動を通じて、田舎に起こる後継者不足や獣害の被害などの社会課題を解決していこうというFood Hub Project 神山の一環の取り組みです。
その後、100BANCHのサテライトオフィスでもある神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックスにてNPO法人グリーンバレーの竹内さんから神山についてのお話を伺います。
神山は2011年にすでにフリーWi-Fiが飛んでいる環境があり、サテライトオフィスという言葉が浸透するよりも前のタイミングでIT企業のサテライトオフィスができたそうです。
さらに、住民が一緒に制作に参加でき、神山の風土を生かした山の中や施設を利用して作品をつくることを前提にアーティストを招致するアーティストインレジデンスの取り組みを行い、人が訪れ、手入れをできる環境を整えることで、結果的に移住の促進や山の保全にもつながる取り組みを20年以上も前から取り組んでいます。
毎日の目の前のことに取り組むだけではなく、何十年も先を見越した時間軸で考え、行動することが神山は根付いているのだと感じるお話でした。
今回の合宿では、プログラムを詰め込み過ぎず、フィールドワークの時間を多くとって体験を共有することを優先していました。そこで何をし、何を感じ、何を持ち帰るのかは参加者次第。筋書きはありません。
山に入って、川に入り、
火を焚き、大自然の中でピザを焼いたり、テントサウナをしたり。
今ではほとんど機械化されている田植えをみんなで手作業したり。
竹をイチから切って組んで流しそうめんをしてみたり。
一見ただ遊んでいるようにも見えますが、(もちろん全力で遊び、たのしむ気持ちは忘れず!)普段の都会での生活で切り離されてしまっている自然と過ごすこと、つまり地球の上で生きることで、今回の共通テーマについて各々で気づきを得られるような大切な時間です。
ナナナナ祭での企画について話し合う面談では、今回の合宿を通して素材や器としての「竹」に興味を持ち、出展の内容をすでにブラッシュアップしているメンバーも!
温泉施設の休憩スペースで面談をするのも、神山合宿ならでは……!?
最終日には神山のお隣町、上勝町へ。
上勝町は、2003年に日本で初めてゼロ・ウェイスト宣言を行った町です。自治体として、未来の子供たちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、ゴミをゼロにすることを決意し、宣言を行ったそうです。
今回伺ったのは、町の唯一のゴミ分別・収集所である上勝町ゼロ・ウェイストセンター。
極力ゴミを出さないように家庭向けに生ゴミコンポストの購入に対しての助成金や、どうしてもお年寄りの方でゴミ分別・収集所に来られない方のために、収集サービスなどの取り組みがあるそうです。地道な努力の結果、今ではリサイクル率が80%を越えているそう。
ゴミ分別・収集所では、「燃えるゴミ」ではなく「どうしても燃やさなければならないもの」という名前にするといったことから、住民や見学に訪れた人の意識を変えていく工夫が印象的でした。
生きているだけで毎日毎日、ゴミを出している私たち。使うことを考えるだけではなく、そのあとの捨てることや生かすことまでを考えて設計することが、未来をつくり、育てていく上では欠かせないことなのだと気付かされた上勝町のフィールドワークで合宿の締めくくりとなりました。
あっという間の2泊3日の神山合宿。フィールドワークを通して、メンバーが感じたことはさまざまだったようです。今までも、ナナナナ祭を通してたくさんのプロジェクトが進化してきました。
はたして今回の合宿、そしてナナナナ祭2022を通してプロジェクトはどんな変態を遂げるのでしょうか。
7月1日から7月10日、エネルギー溢れる未来の姿を用意して渋谷・100BANCHにてお待ちしています!