- イベントレポート
新しい日常を支えるサスティナブルな配送のあり方とは?「Only greens don't lose? -ゴミの出ないお野菜の定期便-」
高齢化の進む農業にシンプルで使いやすいオンラインシステムを開発し、より多くの生産者と消費者がつながる未来を目指す”ORDERING SYSTEM for AGED PERSON”は、ナナナナ祭2020で「Only greens don't lose? -ゴミの出ないお野菜の定期便-」と題したイベントを開催しました。
秋田の農園と東京の暮らしをつなぐ「ゴロクヤ市場」のお野菜の定期便を体験していただくにあたり、使い捨てで消耗しがちなダンボールではなく配送用コンテナをオリジナルで製作。また生産者の方によるファームツアーをオンラインで開催し、利用者との間に新しいサスティナブルな関係性を構築する実験を試みました。
畑と自宅をつなぐオンライン&オフラインイベント
「Only greens don’t lose? -ゴミの出ないお野菜の定期便-」は、「2way box」というオリジナルコンテナを使ったお野菜の定期便を体験していただくとともに、生産者の方に直接お話を聞くというオンライン&オフライン連携イベントです。参加者の方々に、2way boxにてお野菜セットをお送りし、2way boxの使い方と感想を参加者の方に伺い、定期便の中に入っていたお野菜の農園にてオンラインファームツアーを行いました。
実際に購入者へお届けしたお野菜定期便
本来、私も秋田に行き農家さんと畑からオンラインでつなぐ予定でしたが、コロナウイルスの影響により、農家さん自身にオンラインでファームツアーを行っていただきました。
オンラインファームツアーを担当してくださった、きたかたグリーンファーム竹内さん
定期便の方も、自社配送を試みました。できるだけ消耗しないもので梱包するとともに、新鮮なお野菜を手にしてもらうため収穫の次の日に全て配送しきるという工夫を施してお送りしました。
オリジナルコンテナが構築する、新たな「関係性」
今までの定期便(上)と2way boxを使った新しい定期便(下)の比較
ゴロクヤ市場では普段から定期便の配送を行っていますが、お野菜を配送するときに必ずダンボールを消耗しなければいけないことが引っかかっていました。送る側にもコストですし、送られる側にとっても捨てるだけのものを必ずしも使う必要はないと考えたのです。
不要になったら送り返せて、送り返さなくてもご家庭で収納用品として使うことができるオリジナルコンテナを製作することで、ゴロクヤ市場とお客さんの間でずっと同じものを共有し続けるという新たな関係性の構築を実験してみよう、とイベントの実施を決めました。
また、コンテナで配送する場合、送るものによってコンテナのサイズを変更することができないため、無駄な送料がかかる可能性があります。それを自社配送にすることで、無駄な送料のカットもできるのではと考えました。
ダンボール代や送料をカットし、産地とつなぐ実験から見えた意義と課題
実際に参加者の方々からは、「家に帰るとお野菜がコンテナに入って玄関に届いていて嬉しかった」「いつもの定期便より価格のわりにお野菜がたっぷり入っていたような気がした」とコンテナの意義を感じられる満足度の高い声をいただきました。また、オンラインファームツアーについても「水耕栽培が気になっていたのでオンラインで見れてよかった」という声を聞くことができました。
Zoomで水耕栽培の様子を見せていただき、好評でした
普段、ダンボール代や送料にまわっているお金をお野菜に還元して配送できた点や、農家さんの人となりを全国にいながら知ってもらえたという点は私たちとしてもよかったと思っています。
一方、いろんなお野菜のサイズに合わせて、コンテナ自体を少し大きめにしているので、小さいお野菜でまとめた時に少し寂しい感じがしました。これは今後の課題だと思っています。
また、自社配送で届けると、不在かつオートロックの自宅にはお届けができないことや、配送専門ではないので、再配達が次の入荷時になってしまうため、タイムラグが発生することは、現代のライフスタイルならではの課題であり、検討の余地があると思いました。
「新しい日常」に必須となる、サスティナブルな配送を目指して
コロナウイルスの影響により、農家さんや農家代理からの定期便やお野菜セットが届くという仕組みは普及の一途を辿っていますが、さらにこの市場が拡大していくには、サスティナブルな配送がマストになってくると考えています。
そうした時に備えて、どのような定期便の配送が、購入した側にとっても送る側にとっても良いものにできるかを先立って実験できたような企画になりました。
購入者の方に直接お会いする機会もあり、励みになりました
そして、今回のイベントでは多くの学びがありました。まず、オンラインのファームツアーでは先述の通り、農家さんの人となりを知っていただくことができました。単なる宅配便ではなく、その先の生産者とつながるという体験は、購入者にとって満足度の向上に繋がるのだと確信が持てたので、今後も引き続きやっていきたいと思います。
左:佐藤(東京) 右:竹内さん(秋田)
また、自社配送の場合、あらかじめ置き配が可能か、オートロックかどうかヒアリングしてから、自社配送と宅急便を利用する人と分ける必要がありました。これをヒアリングした上でも配達が困難だった場合に備えて、独自の不在票や宅急便に切り替えるシステムを用意しておかなければいけないと思いました。
今後は、配送に興味のある方や配送業者、物流拠点を持っている方などと連携し、ますますプロジェクトを発展させたいです。
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