ひとつじゃないから、この世は面白い。 カルチャーショックで目の前の世界を変える。
Culture ShockS
ひとつじゃないから、この世は面白い。 カルチャーショックで目の前の世界を変える。
心からいい未来をつくりたいと思って活動しているのに、なぜか周囲から偽善者扱いされてしまう。 「やっても意味がない」と言われてしまう…。
これはなにか新しいことをしようとしている人が、直面しがちな壁なのではないでしょうか。
誰もやったことないような試み、社会課題の解決、チャリティ、オーガニック、エシカルなど、自分はこんなに情熱を燃やしているのにどうにも伝わらない。
一緒にプロジェクトをしている仲間とは盛り上がるのに、本当にわかってほしい身近な人(親や同僚、友人など)には、興味を持ってもらえない。
このモヤモヤを乗り越えるには、まず「目の前の1人」と向き合うことからはじまるのでは?
そんな共通の思いを持つ100BANCH 3プロジェクトのコラボレーションにより、本イベントが実現しました。
なお今回は特別ゲストとして、企画を担当した3プロジェクトのメンターである関谷武裕さん、鈴木敦子さんのお二人にも参加いただきました。
■Culture ShockS
異文化との向き合い方を考えるウェブメディアを運営中。カメルーンから日本に帰ってきたときの逆カルチャーショックを、カメルーンの妖精「カメ美」がつっこむ4コマなどで展開中。
■FREE Project.
家庭内における親子関係を探る事で子供が自己肯定感を上げ、どの様に自由と主体性をいかに持つ事が出来るのかを探るプロジェクト。
https://www.facebook.com/FreeProject08c/
■NIHONGO
日本語ができない「言語難民」と呼ばれる外国人の人々が日本中で不当な扱いを受けている状況を改善すべく、安価で良質な日本語教育を提供し、多文化共生の基礎を構築するプロジェクト。
まずはメンター関谷さん、FREE Project草田、NIHONGO永野から自らの体験談の紹介がありました。
——わかってもらえなかったことは?
関谷「僕が立ち上げた『トーチweb』の企画がまさにそうでした。主に50〜60代向けの時代劇漫画コンテンツの販売をしていた会社に対して、会社のリブランディングと新規市場の開拓を掲げ、オルタナティブな漫画作品を発信する20〜30代向けメディアの企画とそのコンテンツの販売を提案した際、「ノウハウが無い自社でそんな企画は上手くいくはずがない。評価の定まっていないコンテンツは売れないに決まっている。」と理解してもらえない方がいました。結局、8000万円ほどの予算を3年で回収するというプランを提出しつつ、あとは企画への情熱で押し切って、結果2年で収益化しましたが、その過程の数字や書店やお客さんの反応を見てもらいながら会話を続けていって理解を得たという経験があります。」
——わかってもらえなかったことは?
草田「全てのトピックに関して親との対話が難しいと感じる時期がありました。親と子供の狭間の年代になった今は『伝え方に問題があったのでは』と思うようになり、現代の価値観を理解してもらえるよう堀江貴文さんの本を親に薦めたりして努力しています。(笑)」
——わかってもらえなかったことは?
永野「日本語の先生というニッチな職業。日本語を教えるのに専門的な知識が必要であることを理解してもらえないことが多いです。」
参加者もアイスブレイクとして、自己紹介を兼ねてわかってもらえなかったことをお互いに共有します。
家族、仕事、コンプレックスなど、それぞれわかってもらえなかった具体的な経験を言葉にして伝えました。
「わかってもらえない」壁を乗り越えるにあたり今回使用するのが、意見の異なる人と会話する方法を説いた本『なぜこの人はわかってくれないのかー対立を超える会話の技術』のフレームワーク。
ABD(Active Book Dialog)という、その場で一緒に読書・対話を行う形式と併せて進めていきます。
目次の一覧は以下の通り。
集まったメンバーのわかってもらえないことを知った上で、ここから今回のフレームワークとなる本を分担して読んでいきます。
興味のある目次を一つ選び、名前を書いていきます。
選んだ目次のゲラを読みます。
次に、読んだ部分の中で印象深かったり、語りたいことを色紙4枚に書き出します。要点の洗い出しではないことがポイント。
色紙をページ順に壁に貼り、リレープレゼンスタート。1分間という短い時間の中で、それぞれ担当した部分の論点を発表していきます。絵で表現したり、寸劇風に発表したり、それぞれメンバーの個性が溢れるプレゼンとなりました。
発表を聞いて印象に残った点を3つのグループに分かれて話し合います。制限時間になっても話し合いが止まらないほど、白熱した議論が繰り広げられました。
本の内容を踏まえ、2つのグループに分かれて「わかってもらえなかったこと」とその壁を乗り越える解消法を話し合います。
「自分の『普通』=相手の『普通』ではないことを認識することが大事。」
「自分にとって大切なことはなんだろう、と再確認してみる。」
「相手に興味を持って、まず信頼関係を築く。」
最後に、ゲストのお二人から各グループで話し合った内容のまとめと本イベントの感想をいただきました。
関谷「家族間のコミュニケーション不全について悩みを抱えるメンバーが多かったので、身近な人に対しての伝え方について主に話し合いました。結果、お互いに大事なものを尊重した上で話を進めることが大切、という結論になりました。
このイベントの感想としては、わかってもらえない人と戦おうとするのではなく、どうすればその人たちと寄り添ってより良い社会・関係を築けるのかを具体的な事例から考えるという、非常にポジティブな姿勢で臨んでいるのが良かったです。全ての人々がお互いを尊重しながら生きていく社会を実現するのは難しいでしょうが、少なくとも自分が関わる人たちとは互いを尊重して生きていきたいなと思います。」
「わかってもらうには、伝えたいという情熱と、相手を理解したいという態度が必要。」(関谷)
鈴木「このグループでは、壁を乗り越えるために本で紹介されているエクササイズをしたり、擬似親子のロールプレイングにチャレンジしたりして客観視する機会が必要ではないかと話していました。また、この場所には思いが伝わらないことを経験している人たちが集っているので、話のベースが合っていますよね。そのような経験をしたことがない人たちや、そもそも異なる概念で生きている人たちとどう話すべきか、という話題もあがりました。イベント内で実践した本の読み方(ABD)は本当の自分の気持ちを探るのに効果的な方法だと思いました。今後、組織のあり方や仕事のあり方、新しい価値の生み出し方について他人と一緒に考える際に実践してみたいと思います。」
今回、わかってもらえない壁を乗り越えるきっかけを得た参加者の皆さんや100BANCHプロジェクトメンバーは、100年後の未来に向かってどのように働きかけていくのでしょうか。代表して、本イベントの企画メンバーからのメッセージをお送りします。
【Culture ShockS 安村】
今回は、参加者それぞれの「伝わらなかった」体験と、本にでてくる考え方を、掛け合わせたとき、一人ひとりにどんな気付きが生まれるのか? という実験でした。
イベント企画時は、ソーシャル系の活動に興味がある方がいらっしゃるのかなと思っていましたが、当日はそれに限らず、起業家の方、カウンセラーやヒーラーをしている方、就職先に迷う学生さん、親子関係について迷う方など、想像以上に幅広い方々にご参加いただきました。
それぞれの頭に浮かぶ「目の前の一人」や「伝わらないこと」は多様でしたが、行き詰まるポイントは共通していて、お互いに気付きのある対話が生まれたのではないかなと思います。
さまざまな国でのカルチャーショックに向き合う活動をするうえでも、この共通性はヒントになる気がしています。
一方でメンターのお二人のコメントにあったとおり、今回集まったのは、「自分の伝え方を変えたい」という強い思いのある方々。その分、対話しやすかったように感じます。
参加者のみなさんや主催メンバーが、こういったことに興味のない「目の前の一人」と、これからどう向き合うのか。日々の生活のなかで、実験を続けていくと、未来は変わっていくのではないかなと思っています。
【FREE Project 草田】
これからの時代が機械によって代替されると言われる中で、「目の前の人から」という点を重要視する参加者の方々は如何にして今後の社会を捉えられているのかを探る実験する場になったかと思います。
資本に支配されて生活する現代社会や似た者同士で集う日本の習性を踏まえて、今、私たちがどう生きたいのか、目の前の人やモノとどういう関係性でいたいのかを問う事が大切なのだと改めて学ぶ機会になりました。
【NIHONGO 永野】
「目の前の1人に自分の思いを伝える」
その大前提として「本来はコミュニュケーションが可能なのに」という暗黙の了解が見えました。では、私のプロジェクトテーマである言語難民と呼ばれる外国人へはどのように思いを伝えるのか?そもそも気持ちを伝えようとすら思わないのでは?それは目の前にいる人間を見ないようにすること?・・・今回のイベントを通して私には新たに多くの問題意識が生まれました。それらの疑問をトピックにしたイベントを現在企画中です!(6月予定)
なぜ私の思いは伝わらないのか—。
解決の糸口は意外にも、相手ではなく自分を見つめ直すことにあるのかもしれません。