• イベントレポート

カオスが作り出す、究極のコスモ。──ナナナナ祭2024を終えて

Assassin from India(インドからの刺客)はインドと呼ばれる文化形成によって様々なコラボレーションやアップ/ダウングレードを目指すプロジェクトです。
ナナナナ祭2024で彼らが試みたのは「マ!?インドフルネス」。いわゆるマインドフルネスとは異なり、インドの持つカオスな世界観からヒントを得た、自己から意識を逸らす体験です。ちょっと不思議な体験を来場者の方々にしてもらった様子を、インドからの刺客の高野がお伝えします。

人生に必要なのは、コスモ(秩序)とカオス(混沌)のどちらだろうか?僕らはこんな究極の問いについに答えを見出したかもしれない─。ナナナナ祭2024で「インドからの刺客」のプロジェクトが導いたその答えを紐解いていこう。

 

マインドフルネスでこの世界は豊かになったのだろうか

仏教がルーツとなり、サンフランシスコを中心としたIT系企業を中心に流行した「マインドフルネス」。情報が溢れる外界と自己を切り離し、より意識の中心を自己へと集中させる瞑想の一種だ。

マインドフルネスへは、ゆっくりとしたテンポとシンプルな響きのBGMを使い、目を閉じて呼吸を整えていくことで導入を容易にしている。そして、マインドフルネスは極度に雑念や周囲の雑音、雑踏を取り除いたある種のコスモであると言えるだろう。

しかし、このコスモによって世界は変わったのだろうか。盛んにその効用が叫ばれてから10年以上が経過するが、IT業界を取り巻く競争は相変わらず激しいし、世界情勢は安定しない、日本では精神を病む人が減ったというニュースは我々の耳には入ってこない。

そこで、僕らはある仮説を生み出した。

やはり、必要なのはコスモではなくカオスなのではないかと。

そして、マインドフルネスがコスモを生み出すのなら、その逆のカオスを生み出す装置を開発しようと。そしてそれを「インドフルネス」と呼ぶことにし、ナナナナ祭でプロトタイプを展示することにした。

 

インドフルネス体験とは?

カオスを生み出すインドフルネス体験を作るといっても、ゼロから作り出すのはなかなか難しい。そこで、数学理論である「カオス理論」にそのヒントを見出すこととした。カオス理論とは、簡単にいってしまえば「変数が少し変わるだけで結果が全く予想できなくなる」ような状態を指す。そこからカオスの要素を紐解いていく。

  • 構成要素は日常に溢れている
  • 常に変化している
  • 予測不可能で、不規則である

これらをヒントに、2つの方向性で映像と音楽を作成し、ブースで視覚、聴覚で体感してもらうこととした。マインドフルネスは、1時間程度は時間を要するものだがプロトタイプによるインドフルネスは展示の都合もあり体験を10分前後とした。

ナナナナ祭での検証結果

ナナナナ祭の2024年7月12日、13日、14日の3日間で展示を実施した。インドフルネスの体験人数は3日間合計で170名となった。

体験者全員に、体験の評価を行っていただいた。縦軸にカオス/コスモ、横軸に安心/不安を設定し自分が感じた感覚に近い場所にシールを貼ってもらった。

評価の結果を分析すると、来場者を3つのクラスターに分類することができた。カオスだけどそこに安心感を感じるクラスターA、カオスにやや不安感を感じるクラスターB、コスモで安心感を感じるクラスターCだ。

クラスターBが最も多く、全体感としてはインドフルネスはやや不安な印象を与える結果となった。しかし、体験者から頂いた感想のコメントはやや様相が異なっていた。以下、体験者のコメントの一部を紹介する。

 

「途中から自分の周りが静かになりました」

「マインドフルネスがサウナでインドフルネスが水風呂」

「なんだこれは?と思う時間が平和だと思った」

「逆にスッキリするかもしれない」

「不安ではない、意外とゆったりした」

「瞑想は無じゃなくて結局何か考えてる。圧倒的情報を浴びることが逆に無になる」

「精神や心理学を学んでるものなんですけど、実感わきました、面白かったです」

「明確に座れる場所が良かった。他のブースは何かさせられるが、インドフルネスは何もさせない。行けば誰かしらいる」

「何もさせない唯一無二の場所で、フラッと雑談できた」

「異質な場所だった。とりあえずうるさいので浮いてた」

「編み物をやってるんですが、集中しすぎると箸が持てなくなるのでこういう環境でやってます」

コメントを読んでみると、実はクラスターCの声が多いことに気づく。あくまで仮説だが、体験時間が短い人(クラスターA,B)はカオス〜不安側で評価をして、体験時間が長い人(クラスターC)はコスモ〜安心側で評価をしたとも考えられる。いずれにしても、クラスターCのコメントが目立つ形となった。

そしてこの結果から、万人にとってというわけではないが一部の人間にとっては「カオスは究極のコスモを提供できる」という結果が導けたのだ。

冒頭の問いに戻ろう。

人生に必要なのはコスモかカオスか。我々が導いた答えは「人生に必要なのはカオスかコスモかという選択ではない。カオスやコスモにディープダイブする体験こそが大事であり、その先に究極のコスモが見出せる」だ。

 

今後に向けて

マインドフルネスが性に合わないという人は、カオスに身を任せてみると道が開けるかもしれない、そういったオルタナティブな選択肢を我々インドからの刺客は大事にしていきたい。

インドからの刺客では、そんなオルタナティブな選択肢を提供できるアプリを開発し、誰でもどこでもカオスにディープダイブできる環境を世の中に提供することがゴールだと考えている。

最後に、ナナナナ祭の運営やプロジェクトのサポートを担っていただいた100BANCHの運営スタッフと、当日まで時に協力し時に切磋琢磨できた他プロジェクトのみんなに謝辞を申し上げさせていただく。

 

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