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世界第4位 移民大国・日本が今必要なこと:未来の街〜ご近所は外国人?〜 イベントレポート
日本で暮らす外国人は2019年280万人を突破、
東京に限って言えば、すでに20代の10人に1人が外国人。
世界第4位の移民大国となった日本。
しかし、日本は外国人にとって住みやすい国なのでしょうか?
そんな「日本語教育」「移民社会」における共通の課題認識から、NIHONGO・永野将司が筑波大学人文社会系准教授 関崎博紀とディスカッションを重ね、2019年11月2日「未来の街〜ご近所は外国人?〜」を開催することになりました。
本イベントは、マスコミでは取り扱われていないリアルな現場のレクチャーからはじまります。
日本は選ばれる国ではなくなった?
日本に暮らす外国人の人口、ビザの種類・仕事といった基礎情報を確認し、話題は今年4月から新設された「特定技能」へ。
—関崎が来場者へ質問に回る様子
「昨年末、国会で話題になった新しく労働者を受け入れるための特定技能ビザは1年間で47,000人の受け入れを計画していました。半年が経過した9月の時点で何人が取得したと思いますか?」
という質問に、
「3,000人くらい?」
「半分くらい?」
とマイクを渡された参加者たちが回答していきます。
「47,000人の計画に対し、実際はたった300人です。」
—NHK政治マガジンより引用 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/23518.html
予想外の現実に参加者の多くが衝撃を受けていました。
さらに、イギリスの金融機関HSBCホールディングスが実施した「働きたい国ランキング」をトピックに「対象国は33カ国です。日本は何位でしょう?」と参加者への問いかけは続きます。
ここでは全ての参加者が予想を付箋に書いてみることに。先ほどの結果を受け、数字は28位、30位、26位と控えめな数字が目立ちます。
1位から順番にランキングが発表されるも「JAPAN」という文字は出てきません。半分が過ぎ、残りもわずか、最後の最後でようやく「JAPAN」が。
結果は33カ国中32位。
—HSBC Expat Explorer Surveyより引用 https://expatexplorer.hsbc.com/survey/
なぜこのような結果になったのでしょうか?
日本に暮らす外国人、大学や日本語学校で学ぶ留学生について、マスコミでは取り上げられない現場での実情を永野と関崎が紹介します。
2030年には640万人もの労働力が不足するという試算もある日本。今でさえコンビニ・居酒屋から外国人スタッフがいなければ機能しないでしょう。
外国人の力は必要。だが、選ばれない国になりつつある日本。
これから日本はどうなっていくのでしょうか?
2030年 日本はどうなるのか?
イベントの後半は、グループに分かれて「未来の街」をイメージするアイディアソンを行いました。
少子高齢化の影響から労働力が大幅に不足し、経済的にも大きな転換期を迎えることが予想される、「2030年問題」。
その時、日本はどうなっているのでしょうか?
「2030年の日本で外国人が増えているか?」
「2030年の日本はどのようになっているか?」
「そのためには何が必要か?」
まず個人でワークシートを埋めた後、チームでの話し合いが始まりました。非常に活発な話し合いが1時間行われた後、チームごとの発表へと移ります。
「一時的な活動場所として日本に滞在してもらうような動きをしていくことで・・・」
「ウチのチームは〇〇市の住人が多いので〇〇市に焦点を絞って考えてみました・・・」
「日本の強みである部分に絞って・・・」
「日本人は無駄な仕事が多いので、それを削っていく・・・」
関崎:普段から、外国人と接することは多いですが、大学で日本語を教えるという立場で留学生と接している私には、目から鱗のアイデアばかりでした。日本の強みをどうやってアピールするか、外国人をどう呼び込むか、外国人住民との交流をどうやって進めるか、どれも大切なテーマで研究もたくさん行われています。でも、今日飛び出したアイデアは、どれをとっても普段は考えつかない、斬新なものでした。
イベントに参加した関崎ゼミの大学院生からも普段は接点のない人から新鮮な意見が聞けたと感想が寄せられました。
「非常に面白いイベントでした。様々な立場の人たちが集まって話し合うことで、考えもしなかったアイデアが聞けたり、話し合いの中から面白いアイデアが生まれたり、大学では体験できない有意義な時間を過ごすことが出来たと感じています。今回のようなイベントを通して世の中にどんどん発信していくことで、私たち日本人にとっても外国人の方々にとっても住みやすい街になっていったら本当に最高ですよね!」
イベント終了! その後は・・・
2時間半という長時間のイベントが無事に終了。しかし、ほとんど誰も帰ろうとしません。
机に座ったまま議論を続けるチーム、他のチームが発表したアイディアの詳細を聞きに行く人。議論の熱はイベントを終えても加熱する一方です。
最終的には会場の都合で退出をお願いする形となってしまいましたが、「場所を移して更に数時間話した。」という連絡ももらいました。
今回のイベントを通して参加者からは、
「様々な業界と年齢層、グループから考えや発想を聞くことができ、自分の考えをより深く、広くすることができたと思います。」
「色々な方の思い、考え、アイディアなどを聞くことができ、新たな発見と自分でもできそうなことがあるかもしれないと感じた1日でした。」
「次のアクションにつながるテーマで次回があればいいと思います。」
という感想が寄せられた。
これまでも、筆者の私は「このままでは日本に外国人は来なくなってしまう」と繰り返してきました。
(インタビュー記事:https://100banch.com/magazine/13956/)
実際に、海外で人材募集をすると想像以上に「日本に行きたい」という人数が減っていることに危機感を抱いています。
だからこそ、この「危機的な状況」「不都合な真実」を直視した上で、外国人という「住民」の存在を考えていく必要性から関崎と今回のイベントを企画しました。
これまでにも日本各地で「街づくり」のイベントは各地で行われています。しかし「外国人住民」の存在をテーマにした開催は私の知る限りは極少。
今回のイベントのように、「外国人」を「労働力」ではなく「住民」として考えていくことが「2030年問題」を乗り越える第1歩となるのは間違いないと思います。
後日、共同開催した関崎と相談し、このワークショップを様々な自治体で開催していければと思っています。次回は、2019年1月11日 つくば市 つくばスタートアップパークでの開催を予定しています。
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