- イベントレポート
100年後、私たちは何を食べている? 〜白熱の「EAT VISION」トークレポート〜前編
昆虫食・薬草食から、新農法に新漁法、廃棄食材のリデザインetc.
食糧課題の解決や未来の食スタイルテーマに掲げる100BANCHの計5プロジェクトが一堂に集まり、100年先の“食べる未来”をプレゼンテーション&思考実験を展開。各プロジェクトが試作中の未来フードの試食会も実施します。
ホストは、深刻化する食料問題に向き合い、農業と情報科学の融合をテーマに研究を重ねる、岩田洋佳先生(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)。
100年後のボクらは世界は何をどう食べている?
100BANCH MAGAZINEの公開取材をかねたイベントです。
【出演プロジェクト】
・Now Aquaponics!(水産養殖☓水耕栽培)
「水槽」という生態系から、コミュニティと未来について考える。
アクアポニックスとは、水産養殖と水耕栽培をかけあわせ、魚と植物を同じ環境で育てる農法。100BANCHの2F:GARAGEに水槽を設置、ひとつの小さな生態系そのものであるこの農法を大都会・渋谷で実践することで、私たちが食べているものがどのように作られているかを可視化し、地方と都市を繋ぐ媒体とします。また、アクアポニックスを通じて都市と自然、または地球環境と私たちの関わりなどのテーマについてのコミュニケーションが生まれる機会を作り、オブジェクトとしての水槽そのものがその空間にいる人々のコミュニティ形成にどう影響するのか——といったことを検証する行動社会学的実験の側面もあるプロジェクトです。
https://100banch.com/projects/now-aquaponics/
・Future Insect Eating(昆虫食)
人類の運命を握る昆虫食に、美しいデザインとレシピを。
近い将来、人口増加と地球温暖化などの進行によって食糧問題がより深刻になっていくことを見越し、世界各国で「昆虫食」への意識が高まりを見せつつあります。栄養価も高く繁殖もしやすい昆虫は、まさに人類の食文化が新たな段階へと脱皮する可能性を秘めた未来の食材。しかし、まだまだマジョリティ的には“ゲテモノ”扱いされがちで、昔から食べる習慣があったごくわずかな地域を除いては、食文化として定着しているとはまだまだ言い切れません。
本プロジェクトは、美しく五感を刺激するメニューとレシピの開発、そして未来の昆虫食はどのようなデザインになっているかを考える思考実験——という2軸で、昆虫食を「我々の生活と接続しうる、文化しての食」に落とし込み、それを最終的には事業化していくことを目指しています。アウトプットとしてはそれぞれの料理のアイディアやイメージのほか、家庭でも再現できるレシピブックの制作も検討中です。
https://100banch.com/projects/future-insect-eating/
・ECOLOGGIE(コオロギの養魚飼料活用)
コオロギの大量繁殖技術と養魚飼料としての普及で食料問題を解決
世界の食料需要が増加し、水産養殖の重要性が高まるなか、養殖魚の飼料である魚粉の価格高騰が課題(ここ10年でその価格は3倍近く高騰)となっています。
本プロジェクトは、栄養豊富で、国連も次世代の食糧資源として注目する昆虫のコオロギを人工的に大量繫殖させるシステムを確立し、コオロギを養魚飼料として活用することで経済的にも環境的にも持続的な水産養殖の新しい形を目指します。
100BANCHでは、温度や湿度をセンサーでモニタリングするIoT生産システムを構築し、未来へと繋がる大量養殖システムのプロトタイプ制作を行います。
https://100banch.com/projects/ecologgie/
・Food Waste Chopping Party(廃棄食材を使った料理)
フードロスを「美味しく、楽しく解決」するヒントを。
フードロスの問題を参加者とともに考える参加者体験型料理イベントのプロジェクトです。お店で売れ残ったり、マーケットからは「規格外」とみなされて売り物にならない食材を使い、参加者全員で創意工夫を凝らした料理をつくることで、美味しく、楽しく一般社会にフードロスへの知見を育んで行きます。100BANCHでは実際にパーティを開催したり、野菜を使い切る伝統的な手段としての保存食作りワークショップなどを行うほか、10月に来日予定の映画『0円キッチン』ダービット・グロス監督との共同企画も行う予定です。
https://100banch.com/projects/food-waste-chopping-party/
・The Herbal Hub to nourish our life.(薬草料理)
からだとローカルを元気にする「薬草カレー」づくり
西洋ハーブやスパイスを一切使わず、日本の在来ハーブである「薬草」を使ったカレー作りのプロジェクトです。体にいいのはもちろん、いわゆる“健康食品”のようなマニアックな枠で飛び出してきちんと食品として流通させうる味、生産量を担保することで経済としても成立するものを開発し、販売につなげることを目標にしています。100BANCHに集う多彩なフィールドの方々とコミュニケーションをとりながらメニューやブランド戦略などのアイディアを煮詰め、ブラッシュアップしたものを実際に試作し、また改善点や課題を考えてアイディアを練り直し……という繰り返しでプロトタイピングを行い、ある程度形になったら、商品開発前にお披露目パーティも計画しています。
https://100banch.com/projects/the-herbal-hub-to-nourish-our-life/
EAT VISION 〜100年後のボクらは何をどう食べている?〜 | |
日時 | 2017年9月18日(月・祝) 17:00-19:00 (16:30受付開始) |
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会場 | 100BANCH(渋谷)3F:LOFT |
定員 | 80名 |
こんな方にオススメ |
・食やライフスタイルの未来に関心がある方 ・100BANCHのプロジェクトとのコラボレーションを検討されている方 ・一次産業産業や食関係の仕事に従事されている方 |
プログラム |
・17:00〜17:05 オープニングトーク ・17:05〜17:35 5プロジェクトによるプレゼンテーション ・17:35〜18:30 パネルディスカッション ・18:30〜19:00 試食体験 |
出演 |
ホスト:岩田洋佳(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授) プロジェクト: ・Now Aquaponics!(水産養殖☓水耕栽培) ・Future Insect Eating(昆虫食) ・ECOLOGGIE(コオロギの養魚飼料活用) ・Food Waste Chopping Party(廃棄食材を使った料理) ・The Herbal Hub to nourish our life.(薬草料理) |
試食 |
・昆虫料理 ・薬草料理 ・破棄食材料理 ほか |
参加費 | 無料 |
主催 | 100BANCH 編集部 |
イベント前にFood Waste Chopping Partyというワークショップを行います。
Food Waste Chopping Partyとは、賞味期限ギリギリの買いすぎた食材、腐る寸前のしなびた野菜、数年前にもらった海外土産の調味料など、家庭で使えないまま廃棄しそうになっている食材や、農家から提供いただく規格外野菜を使い参加者全員で調理し、美味しいご飯に変化させる料理イベントです。
当日は、参加者の方々に食材を持ち寄っていただき、その場でレシピを考えながら料理するというゲリラクッキングを行います。食材がどう変化するかはみなさん次第。普段の料理からは想像がつかない、クリエイティブで新しいレシピをみんなで生み出しましょう。
今回作った料理はEAT VISIONイベント参加者の皆様にも試食してもらいます!
※会場は100BANCHではなく、カフェ・カンパニー テストキッチン(渋谷区神宮前5-27-8)ですのでご注意ください。
Food Waste Chopping Party | |
日時 | 2017年9月18日(月・祝) 13:30-16:00 |
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会場 |
カフェ・カンパニー テストキッチン 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-27-8 Los Gatos 2F |
プログラム |
・13:30 会場 ・13:40 スタート&挨拶及び趣旨説明 ・13:45 グループ分け ・13:50 料理スタート ・16:00 料理終了(100BANCH移動) |
参加費 | 無料 |
主催 | Food Waste Chopping Partyプロジェクト(担当:大山) |
What’s Behind On This Event?
Food Waste=食料廃棄物
私たちの日常生活の中にはFood Wasteが溢れています。量としてみると、世界中で生産される食料のおよそ1/3がこのFood Wasteとして廃棄されているといわれています。Food Waste Chopping Partyでは、参加者全員で、Food Wasteになる直前の食材を使った料理を作ることによって、食料廃棄物を減らす意識を高める運動をしています。
東京大学 大学院農学生命科学研究科 教授岩田 洋佳
幼少期をタイ、インドネシアで過ごす。
東京大学 農学部卒。東京大学 大学院農学生命科学研究科で博士号を取得。
統計学・情報科学と農学の融合をテーマに、農研機構で研究に従事後、2010年より東京大学 生物測定学研究室 准教授、2023年より教授。
現在は、ゲノム科学と情報科学の融合による品種改良の効率化、植物と微生物の交互作用の品種改良を介した強化、リモートセンシングを用いた農業・林業の効率化などを主な対象に研究を展開中。