- メンバーズボイス
一人でも応援すれば採択!Garage Program審査会は「熱量」が決め手 [3日目]
100BANCHのGARAGE program が1月の審査会をもって採択100件を達成しました。2017年7月のオープン当初から目標としていた「2年間で100プロジェクト創出」を予定より少し早く達成できたことを、事務局一同とても嬉しく思っています。
これを記念して、100BANCHの運営に欠かせない7つの原理をWeb公開。この7原理は、昨年製作した100BANCHのアニュアルブック(1/100 BANCH BOOK)発行にあわせてまとめたものを僅かにリバイスしました。
100BANCHが、どのようにしてユニークで創造的なプロジェクトを集積させているか、事務局が大切にしている原理を紹介します。
いつの時代も新しい事を始めようとする人は孤独です。まだ誰も見たことのない未来を想像し、創造しているのだから、はじめから全員の共感を得られるわけがありません。ただ、孤軍奮闘しても、独りでは直ぐに潰れてしまいます。
そこで、たった一人でもいいからその人に共感し、「応援するよ!」と背中を押し、伴走しながら鼓舞してくれる人が登場したらどうでしょう。勇気をもって未だ誰も見ぬ未来を切り拓けるのではないでしょうか。
100BANCHは、今すぐ万人受けしないアイデアでも、たった一人が「それいいね、応援するよ!」「100年後には案外、当たり前になっているかもね!」と言ってくれたら、その一人とともにプロジェクトとリーダーを全力で支援することにしました。
他者に同意を求めることは不要です。メンター陣による支援者同士の合議制を取らないGARAGE Program採択基準にもその思想が反映されています。
「なんでもできる場所」をつくるのは容易ではありません。でも「できないことが、できるだけない場所」はつくれると考えました。
どうにも「禁止」と「未来」は相性が悪く感じます。あらゆる可能性の芽を潰さないよう、100BANCHの中くらい「禁止を禁止」してみようと思いました。(もちろん、公序良俗に反しない範囲で)。
場所に制約をつくることは、後からいくらでもできます。(採択メンバーが無茶苦茶するので、最近、増えてきている懸念も…。)まずはできないがない状態から始めてみました。使い手の想像力と創造力次第で、場所の使い方もアップデートできたらいいという気概でいます。
100BANCHで「これできるかな?」「きっと、できるよ」という会話は、常套句。これからも、そんな会話がたくさん生まれるように、思う存分やりたいことができるように、できないことが、できるだけない場を心がけていきます。
「これからは電気の時代や」と松下幸之助がパナソニックを創業したのは、23歳のとき。青年が起こしたベンチャーは周囲に無謀と言われたかもしれません。それが、100年経った今、世界で社員27万人を抱える大企業に成長しました。
「250年計画」をご存知でしょうか。幸之助さんは一世代が活躍する期間を「25年=1節」として、それを「10節=250年」にわたって繰り返し、理想的な世界を実現していこうと説きました。
100BANCHがめざす「次の100年」を創造するとき、100年が4節であるならば、その1節、1節を担う若い世代に寄り添い、彼らを応援しながら、ともに未来をつくっていきたいと思います。
若さとは、荒削りで未完成。ときに誰にも見向きもされず、理解されず、無謀と捉えられる者もいるかもしれません。でも、それがいいのです。
野心や情熱をたぎらせる若者が活躍する場があれば、未来の幸之助が生まれるかもしれない。若者がつくる未来を信じ、彼/彼女らの良いときにも悪いときにも寄り添って、ともに未来をつくっていきます。
新しいことを生み出すのに最適な時間とは、いったいどのくらいでしょうか。じっくり時間をかけて醸される価値もあるし、一人で篭って生み出される創造性もあるでしょう。
100BANCHは、あえて「短期集中」に挑戦し、圧倒的な時間の短さで実験成果を求めています。その集中力から生まれる創造性やエネルギーに可能性を感じているからです。
アスリートがゾーンに入リ、もっともパフォーマンスを発揮するような環境を提供できたら、どんなに短期間でも十分な時間となるかもしれません。
そして、そんな短期集中を「同時多発」させたいと考えました。時と場所を同じくして、新しい価値をつくろうとする者たちがトップスピードで動き、考え、語りあう世界は、きっと誰も見たことがない未来に通じていると思うからです。
100BANCHでは未知との遭遇が絶えません。そのうえ、その未知について「ほとんど理解できない」ことが、だんだん楽しくさえなってきます。自分が知っている「常識」はまったく歯が立たない。そんな出会いこそ重要だと思います。
ハナから自分が「分かる」「解っている」というものは必ずしも良いとは限りません。
自らが「非常識だ」「理解できない」と思っていた物事において、いざ体験してみたとき「案外いいものだ」「悪くない」と発見したときは感動的です。常識にとらわれていた自分の箍(たが)が外れる瞬間の開放感は、人間のDNAに刻み込まれているのかもしれません。
その大いなる気づきが他の人たちにも伝播し、共感を得たときには、脳の快感すら覚えます。100BANCHは、そんな不可解との遭遇が感動に変わる、常識にとらわれない場所でありたいと思います。
人間の意思の数だけ未来の指向性があり、同じ時代を生きていても、その視点の先は多方面に向かっています。
未来を描こうとする人が、それとは異なる未来を目指す人とたまたま場を同じくして、共感したり議論したり笑い合ったりする機会は、交差といえます。さらに、ふと気づいたら共同でコトを起こしていたり、相手の視点や経験談で物事を語り出したりする模様は、変化といえます。
気づいたら相手の思考が自分の視点に混ざり込み、自分の一部になったり、相手にも影響を与えたりする。この化学変化から新しい未来が生まれるはずです。
このような交差点であり変化点が100BANCH。
そんな、「視点が交差し混じり変化する」機会を意図的に設計し、ときに偶発的に引き寄せています。一度混ざり合ったら、もう元の自分には戻れない新しい進路があっていい。100BANCH自体も、そうやって時々刻々と変化していきたいと考えます。
“The best way to predict the future is to invent it.( 未来を予測する最善の方法は、それを発明すること)” コンピューティングの父、アラン・ケイの名言に賛同して、100BANCHは外部から収集する未来予測を善しとしない。「自らが実現したい未来を自らがつくる」という意志とその実践こそが、豊かな未来を創造する最良の手段だと最初に決めました。
次の100年をつくろうとするとき、大切なのは、未来をつくりたいという意思(Will)と、そのWillを持つ人です。未来を予測することは誰にとっても難しい。けれど、未来を一人称で語り出し、「自らが未来をつくる」という意思を持つ人にだけ、未来がグッと近づいてくるのです。
改めて、「Willから未来はつくられる」。100BANCHは、Willを持った人々が集まる場所であり続けたいと思います。
いかがでしたでしょうか。100BANCHはこの7原理のもと、2年目に突入しました。100プロジェクトを迎えましたが、GARAGE Programは引き続き募集を継続中です。今回紹介した7原理の、具体的なエピソードが掲載された『1/100BANCH BOOK』は、100BANCH及びamazonで販売していますので、興味をもたれた方はぜひ手にとって読んでみてください。