• イベントレポート

宇宙時代の日常を着る【宇宙服の場合】 Vision1/ヘルメット──ナナナナ祭2024を終えて

宇宙服をテーマにしたファッションに取り組むプロジェクトICHIGIKUは、ファッションのジャンルに新しく「宇宙(Universe)」を追加することを目指して活動しています。
今回のナナナナ祭2024で彼らは、宇宙服の中でも「ヘルメット」に着目。来場者の方々に宇宙時代のファッションとしてのヘルメットを試着・試歩体験してもらいました。宇宙がもっと身近になった未来を思い描き、意見交換の場ともなった展示の様子をICHIGIKUの松広が振り返ります。

「宇宙」というある種の共同幻想から、素材とアートの境界線を探る

ICHIGIKU では、「宇宙と共に生きる服」を主題に、地球文化に一つの軸を提案することを目指しています。

今回のナナナナ祭では、宇宙を想像することから、現在のファッションを再考する機会をつくることを出発点としました。その為に、地球と宇宙を繋ぐアイコンとして、「ヘルメット」を採用しました。

同時に、ヘルメットを被るだけの機能ではなく、眺めるといったオブジェクトとしての形で表現することを目指しました。その想いの背景には、どこまでがデザインであり、どこまでがファッションとして成立するのか。もしくは、どこからがアート作品になりうるのか。ファッションとアートが混沌する共通項に「宇宙」という壮大な世界を照らし、ヘルメットが思考する機会となると考え、本企画を提案しました。

 

ヘルメットをオブジェクトに採用することで、被るだけではなく眺めてもらいたかった

ICHIGIKUでは、既成概念を壊すこと、既成概念を創造することを「宇宙服の場合」と題しました。

その上で、宇宙生活を想定したとき、必要になるであろう機能を要素分解し、ヘルメットにデザインをする。そしてオブジェクトとして展示することから、視覚デザインとして具現化することで、来場してくれる方々に、宇宙と今の生活を結ぶ機会を提案しました。

例えば、宇宙空間で離れてしまわないように、ヘルメットの頭頂部にチェーンフックを設置し、お互いを繋ぐデザインのもの。周波数や音を選択可能できることを想定し、海豚をモチーフとしたもの。

電磁波からの防衛を想定し、銅コーティングしたもの。耐熱機能の観点から、防火シートをマントとしてデザイン化し、フードの形状をしたヘルメットも提案しました。また被る概念を取り壊す意味の表現としては、籠の役割をデザインに反映させたりもしました。さまざまな、生活する上での機能をヘルメットデザインとして、本展示において提案することによって被ることから眺めるという空間を演出し、宇宙生活を想定してもらうことができたと思います。

また来場者には、これから求めたい機能とは何か。各自からリアクションペーパーをもらい、これからの未来に必要な機能や環境を共有することもできました。

 

宇宙が地球人に考えさせること

本展示では、ヘルメットをオブジェクトとして展示すること以外に、もう一つの演出として、映像作品の鑑賞を取り入れました。

タイトルは、「走馬灯と遺言」。

この映像の発想自体は、メンバーの谷がみた夢の話が構想元になっています。

宇宙にいた二人の星人が、赤く燃える地球を眺めていたときに、自然と溢れた涙の意味を探しに、地球に降り立つ。そこで見つけたヘルメットを被ると、最期の地球人たちの記憶が連続して浮かび続けていく。まるで、走馬灯のような瞬間に、星人は記録をすることから未来人にメッセージを残すことを描いた物語です。

地球から離れて暮らす宇宙空間に、もしも地球に残された文化をインストールし、想いを馳せる場面があるとしたら、それはすごくロマンチックなことかもしれない。同時に、その考えは私たちの生活を考え直す機会や未来の地球社会を創造することにもつながる。宇宙の視点から、地球を眺めた時に何を思うだろうか。映像作品も、多くの人に鑑賞いただき、たくさんの言葉や想像を交換することができました。

これからも、【宇宙服の場合】という、ある種の共同幻想を作品として表現し、ICHIGIKUとして製品作りや空間演出を手掛けていきたいと考えています。

宇宙を想定とした素材や空間に興味がある方、ぜひ ICHIGIKUのプロジェクトを追ってください。

 

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