- イベントレポート
發明の貯蔵庫<INVENTORY>における顕教と密教ー科学を文化の次元で捉える──ナナナナ祭2024を終えて
2020年7月、100BANCHで開催された「ナナナナ祭2020」のオープニングイベントでは、運営3社の代表が登壇。「こんにちは未来 - 3年間の100BANCHから見えた未来 -」をテーマに、3年間の100BANCHを振り返りました。
「100BANCHって里山みたい」「出しゃばらないのが一番」などとそれぞれの言葉で100BANCHを表現しつつ、ここで若者たちから感じている「未来」がやってくることを心から楽しみにしている様子が印象的でした。
パネリスト:
楠本修二郎(カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長)
林千晶(株式会社ロフトワーク 共同創業者・代表取締役)
只信一生(パナソニック株式会社 コーポレート戦略本部)プレゼンター・登壇:
100BANCH 運営事務局 松井創・則武里恵・澤田美奈子
イベントのはじまりは、3年間の100BANCHの運営を振り返るということで、3年間の総括の紹介の後、ゲストの楠本修二郎さん、林千晶さん、只信一生さんに、100BANCHの入居者の姿がどんな風に映ったか、お話をうかがいました。
「こんにちは未来 – Willから未来はつくられる -」全編映像はこちら
只信:ずっと思ってるのは、100BANCHって「里山」っぽいんですよね。3年間で178ものプロジェクトが集まってくる場所になったということは、最初に木が植えられて、大きくなって、そこに動物が集まってくるみたいな生態系の成長を感じる。またぼくも来たいなあ、って思える空間になりましたよね。
パナソニック株式会社の只信さん
林:動物が寄ってくるのは広葉樹ですね。100BANCHのリーダーたちの特性で「素直・柔軟・大望」という3つが紹介されていたけど、素直っていうのは普通の人が考える素直とは違っている気がして…。それを表す言葉ってなんだろうって考えると「広葉樹」なんじゃないかと思いました。
只信:広葉樹ってたくましいですよ。色がキレイで、みんなが集まって、錦を作る。
林:もし広葉樹だとすると、表面がものすごく緑色で中が白いとか、すごくピンク色になるとか、色もさまざまなの。百種類以上あるけど、どれも素直な色ではないし、幹が曲がりくねっていたりする。でも、そういう感じのほうが100BANCHの子たちらしいんじゃないかなー(笑)。
松井:多分、自分で「素直です」って言う人は100BANCHにはいないんだけど、運営の僕らからみたら本当に素直だと思う。
楠本:ひねくれた態度はとるけど、真っ直ぐなんですよ。
則武:柔軟、貪欲に学ぶ姿勢が、素直なんですよね。
100BANCH 運営事務局の松井(左)、則武(右)
林:ハンナ・アレントの『人間の条件』に、労働・仕事・活動っていう話があるじゃないですか。100BANCHの若い子たちをみてると、生命を保つための労働ではなく、何かを生み出す「仕事」や、多くの人とのかかわりの中で自らの独自性をもって社会に働きかける「活動」をしながら、ちゃんと未来をつくっているのがすごいなあって。
株式会社ロフトワークの林
林:わたしたち40代50代がそれを力を与えて促進してあげる、若い子たちが考えてることを一緒に引き出していくのが未来をつくるってことなんじゃないかな、っていうのを100BANCHをみてると感じます。
只信:大人がやるべきことは場の提供と機会と適切なアドバイスをするだけで十分ですよね。ぼくらが出しゃばらないことが100BANCHの良さなんじゃないかなっていう気もするんだよね。
林:イタリアの「レッジョ・エミリア」という注目されている教育があるんですけど、子どもたちは我々が学ぶ対象であって教える対象ではないって明確に言ってるんです。今の100BANCHの子たちを見ると「お願いします!」って思うの。でも「ここは助けられるよ」とか「気をつけたほうがいいかもね」っていうアドバイスはできる。
楠本:100BANCHに集まってる以外の日本の若い子たちにも、何十倍もそういうパワーがあると信じたいですよね。それをどういうふうにすればいいのかな、っていつも思うんだけどね。
カフェ・カンパニー株式会社の楠本
只信:地道に100BANCHを続けて発信し続けることが、もしかして我々大人の世界の中の役割なのかもしれないな、ってちょっと思いますよね。
3年間の100BANCHの活動で集まったプロジェクトは、178。これをあらためて見渡し、抽出された未来の兆しから見えてくる、100年後の未来の当たり前、をまとめました。
まとめを推進した100BANCH 運営事務局の澤田が13の切り口を紹介、ゲストの方それぞれが気になる切り口を選んで掘り下げるディスカッションが行われました。
100BANCH 運営事務局の澤田
最後は、3名のパネリストの方に100BANCHに向けた応援メッセージをいただきました。
3社代表のみなさん
林:成功しそうなものを選んだ時期もありましたが、VCも選ぶようなプロジェクトは、100BANCHでは、正直あんまりうまくいかなかったなあ、と。逆に成功しないかもしれないけど面白い、助けたい、と思うプロジェクトがすごく伸びたり、クラウドファンディングでお金を集めた、っていうことがものすごく100BANCHを通じて学んだことです。
時代がかわっていっていて「大成功しそうなもの」にとらわれることはなくて、一人のニンゲンとして助けてあげたいとか関わりたいと思ったものが結果としてなんかうまくいくんじゃないかな、って思います。「自信がないけど思いがある」って人たちにどんどん応募してほしいな、って思いました。
楠本:みなさんとお会いして、みんな目がキレイで。それをその「素直」って言い方が良いのかわかんないけど、そこはまっすぐ突き刺さってくるし、なんか光ってる感じがいつもするから。あの…大好きです。
只信:パナソニックとしてもみなさんからエネルギーを与えていただけるようなカタチで参加し続けるように頑張りたいと思います。本当に思いっきり遊んで思いっきり悩んで思いっきり泣いて、最後、思いっきり笑ってください。本当に良い3年でしたね、ありがとうございました!